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長篇小説 芥川龍之介
チョウヘンショウセツアクタガワリュウノスケ
- 著: 小島 政二郎

芥川の人と文学の秘密を赤裸に暴く
若き日に師事した芥川龍之介の姿を活写した、著者晩年の作。芥川文学の、漢文脈による洗練された修辞をはじめとした教養主義は、「私」を語ることのできない「物語作家」に彼をおしとどめ、「小説家」へと転身をはかろうとした試みの不可能性に悲劇を読み解く。芥川の作品の持つ窮屈さは、養子・龍之介の養家への気兼ねの表れだとも喝破する。身近に接した芥川を、老成した小説家の眼で捉えた快作。
出久根達郎
芥川は、面白い話をつづる一流の「物語作家」ではあるが、人生の諸相をえぐりだし、人の生き方を示す「小説家」ではない。小島はそのような結論を下す。極論かどうかは、問題ではない。読者の私たちが、そうかも知れないなあ、と共鳴したなら、小島の思う壺にまんまとはまったのである。なぜなら、本書は、「小説」だからである。「長篇小説 芥川龍之介」だからである。評論ではない。評論めかした小説なのである。――<「解説」より>
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書誌情報
紙版
発売日
2008年08月10日
ISBN
9784062900225
判型
A6
価格
定価:1,540円(本体1,400円)
ページ数
304ページ
シリーズ
講談社文芸文庫
初出
『長編小説 芥川龍之介』1977年11月、読売新聞社刊を底本とし、明らかな誤植と思われる箇所は正したが、原則として底本に従った。