順番が来るまで

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順番が来るまで

ジュンバンガクルマデ

講談社文芸文庫

文士が生きた昭和の風景!

「年のせいか、ふしぎとほんとうのものが見えるようになった」
昭和文壇を生き抜いた老文士。珠玉のメモワール集!

「世上のくるしみをくるしみとすべからず」――貧窮の底で筆一本に己を託した樋口一葉。その存在を光とし、長い不遇に堪えた最晩年『接木の台』『暗い流れ』を著し文学史にその名を刻んだ和田芳恵最後の随筆集。生家が破産、石もて追われた故郷北海道の思い出、編集者として接した林芙美子ら作家の愛憎交々の回想、死の“順番”を待つ老年の心境を明澄に描く表題作五二篇。削りに徹した滋味深い文章は正に職人芸!

大村彦次郎
この歳月の前後、日本の文士社会は衰滅した。よくもわるくも文壇を代表するような、個性的なキャラクターの持主が相次いで姿を消していった。(略)時代が変ったのである。それまで文士の生きかたを支えてきた社会的基盤が崩れ去った。和田さんはその最期に立ち会うかのように、文壇を船にたとえれば、その船の<底荷>のような役割を果たして、消えていったような思いがする。――<「解説」より>

※本書は、北洋社刊『順番が来るまで』(昭和53年1月)を底本としました。


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書誌情報

紙版

発売日

2011年08月12日

ISBN

9784062901321

判型

A6

価格

定価:1,540円(本体1,400円)

ページ数

272ページ

シリーズ

講談社文芸文庫

初出

北洋社刊「順番が来るまで」(1978年1月)を底本とし、多少ふりがなを加えた。本文中明らかな誤植と思われれる箇所は正したが、原則として底本に従った。

収録作品

  • 作品名

    1 私の名前

    初出

    『オール読物』1976年8月

  • 作品名

    1 小さな店主

    初出

    『小説現代』1974年11月

  • 作品名

    1 母というもの

    初出

    『北の話』1974年8月

  • 作品名

    1 十四の春

    初出

    『北の話』1972年4月

  • 作品名

    1 古停車場の思い出

    初出

    『北の話』1975年2月

  • 作品名

    1 代用教員のころ

    初出

    『北の話』1973年8月

  • 作品名

    1 アキアジシリッポ

    初出

    『北の話』1972年8月

  • 作品名

    1 冷たい雨の札幌

    初出

    『北の話』1976年12月

  • 作品名

    1 むかしなじみ

    初出

    『北の話』1973年12月

  • 作品名

    1 旅まわりの子役

    初出

    『すばる』1976年6月

  • 作品名

    2 生まれ故郷

    初出

    『小説歴史』1976年4月

  • 作品名

    2 北方の原点

    初出

    『北の話』1971年10月

  • 作品名

    2 あの頃の暮れ

    初出

    『読売新聞』1974年12月31日

  • 作品名

    2 晩秋に思う

    初出

    『読売新聞』1975年10月16日

  • 作品名

    2 小説で果たした夢

    初出

    『旅』1973年2月

  • 作品名

    2 火の車

    初出

    『新刊ニュース』1971年4月

  • 作品名

    2 樋口一葉のことば

    初出

    『ちくま』1976年4月

  • 作品名

    2 文壇の片隅から

    初出

    『海』1974年8月

  • 作品名

    2 はやりの袢纏

    初出

    『文藝』1977年2月

  • 作品名

    2 「綴方」から「削り方」へ

    初出

    『文藝』1974年10月

  • 作品名

    2 「家庭小説」あれこれ

    初出

    『日本近代文学館』1972年7月

  • 作品名

    2 書評をめぐって 現代文芸評論小史

    初出

    『言語生活』1973年5月

  • 作品名

    2 考えたり、思い出したり 内向の世代

    初出

    『早稲田文学』1976年7月

  • 作品名

    2 小説と事実 長篇「暗い流れ」を書き終って

    初出

    『北海道新聞』1977年2月25日

  • 作品名

    2 ひとつの事件

    初出

    『新潮』1977年8月

  • 作品名

    3 一葉と私

    初出

    『いさり火』1975年2月

  • 作品名

    3 荷風先生寸感

    初出

    集英社版日本文学全集『永井荷風』月報 1972年7月

  • 作品名

    3 思い出の久保田万太郎

    初出

    『久保田万太郎全集12』月報 1968年3月

  • 作品名

    3 私の見た伊藤整さん

    初出

    『伊藤整全集17』付録 1973年7月

  • 作品名

    3 平林たい子小論

    初出

    『新潮』1972年7月

  • 作品名

    3 丹波さんのあれこれ

    初出

    『丹波文雄文学全集7』月報 1975年10月

  • 作品名

    3 子規と藤村

    初出

    『子規全集8』月報 1976年7月

  • 作品名

    3 林芙美子の出生地

    初出

    『文学界』1974年7月

  • 作品名

    3 吉川英治と「あるぷす大将」

    初出

    『吉川英治文庫33』1975年8月

  • 作品名

    3 穢土即浄土

    初出

    『今東光代表作選集3』月報 1973年2月

  • 作品名

    3 思い出すこと

    初出

    『回想の吉田晁』1974年10月

  • 作品名

    3 臼井吉見と「展望」

    初出

    『本の本』1976年4月

  • 作品名

    4 本との出合い

    初出

    『本』1976年8月

  • 作品名

    4 芸談のこと

    初出

    『歌舞伎』37号 1977年7月

  • 作品名

    4 将棋あれこれ

    初出

    『将棋世界』1974年2月

  • 作品名

    4 その一瞬

    初出

    『風景』1975年10月

  • 作品名

    4 いのち

    初出

    『婦人公論』1965年6月

  • 作品名

    4 飼犬の死から

    初出

    『高知新聞』1973年6月5日

  • 作品名

    4 五十年ぶりの帰郷

    初出

    『北海道新聞』1973年10月31日

  • 作品名

    4 女性いまむかし

    初出

    『はあと』1974年6月

  • 作品名

    4 春信の手、真一の手

    初出

    『サンケイ新聞』1972年6月23日

  • 作品名

    4 暮れの風

    初出

    『朝日新聞』1974年12月27日

  • 作品名

    4 雀色の空

    初出

    『うえの』1973年8月

  • 作品名

    4 一葉歿後八十年

    初出

    『東京新聞』1976年3月22日

  • 作品名

    4 二枚の短冊

    初出

    『サンケイ新聞』1976年8月20日

  • 作品名

    4 近頃のこと

    初出

    『青春と読書』1975年8月

  • 作品名

    4 順番が来るまで

    初出

    『新潮』1974年8月

著者紹介