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〈私〉の存在の比類なさ
ワタシノソンザイノヒルイナサ
- 著: 永井 均

<私>とは何か。「他者の問題」とは何か。
哲学の根本問題を考え続ける著者会心の論考!
解説・茂木健一郎
永井均は今と同じあり方で存在しながら、彼が私でなくなることは想像できる。このとき、彼には何の異変も起きていない。しかしもはや彼は私ではない。この私を<私>と表記しよう。<私>から展開される永井哲学は、他者や倫理など根源的な問題を刺戟し続けてやまない。著者自身、「本書こそが独在論の入門書として最もふさわしい」と断ずる必読の哲学書。
ここで何よりも重要なことは、エリザベス2世や永井均やアインシュタインには、並び立つ同種の者(仲間)が、すなわち隣人が存在するが、<私>にはそれが存在しない、ということである。私は、ウィトゲンシュタインがある講義ノートで用いた表現を借りて、<私>とは「最も重要な意味において隣人を持たない」ものである、と規定したい。そして私は、他者の問題とは、最も根本的には、この本質上隣人を持たないものの(本質上隣人を持たないというそのことを含めた)隣人を捜すことである、と考えているのである。――<本書より>
※本書の原本は、1998年、勁草書房より刊行されました。
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目次
1.他者
2.独在性と他者――独我論の本質
ウィトゲンシュタインの独我論
独我論と他者――あるいは宇宙の選択の問題
3.独在性の意味――山田友幸氏の批判に答え、入不二基義氏の所論を批評する
独在性の意味(2)――大庭健氏の批判に答え、入不二基義氏の所論を更に検討する
4.書評(1)大森荘蔵著『時間と自我』
書評(2)野矢茂樹著『心と他者』
書評(3)B・マクギネス『ウィトゲンシュタイン評伝』 レイ・モンク『ウィトゲンシュタイン 1・2』
5.差異と実質――ヴィトゲンシュタイン・ソシュール・フッサール
書誌情報
紙版
発売日
2010年07月14日
ISBN
9784062920001
判型
A6
価格
定価:1,056円(本体960円)
通巻番号
2000
ページ数
304ページ
シリーズ
講談社学術文庫
初出
原本は、1998年、勁草書房より刊行された。