再発見 日本の哲学 大森荘蔵――哲学の見本

マイページに作品情報をお届け!

電子あり

再発見 日本の哲学 大森荘蔵――哲学の見本

サイハッケンニホンノテツガクオオモリショウゾウテツガクノミホン

講談社学術文庫

隣の部屋のテーブルは、誰も見ていなくてもあるだろうか。つまり、知覚されていなくても物はあるのだろうか。普通はあると考える。でも、本当にそう言えるだろうか。ここに、哲学の思考が生まれる。全身で自らの思索を刻んでいった稀有な哲学者、大森荘蔵の哲学を、筆者自身の思考も交叉させつつ、鮮やかに浮き彫りにした快著! (講談社学術文庫)


他人にも心があり、その心のありようは、おおむね私と同様である、と常識的には考える。しかし、その考えが正しいと保証してくれる証拠はどこにもない。「他我問題」という、哲学の大テーマである。私に他人の「痛み」がわかるか、他人の痛そうな外見と、私が知っているあの「痛み」の感覚が同じとは限らないではないか。――
大森荘蔵は、このような哲学の大テーマを、独自の思索をかさねて考え続けた。その道筋を、著者は初期の論文から晩年に至るまで、ていねいに追っていく。そこには、哲学することの本質が現れている、という確信がある。
著者は、「はじめに」でこう書く。
「私は、大森荘蔵という一人の哲学者が、その全身で自らの思索を刻んでいく姿を描き出したかった。大森ブランドの哲学製品をショーウインドウの並べ、解説したり値踏みしたりするのではなく、それを作り、壊し、未完成のまま低く呻き声をあげている、その生身の身体を、読者の前に差し出したい。乱暴に言い切ってしまえば、そうして、『哲学ってのはこうやるもんなんだ!』と見得をきりたいのである。」
近代日本の哲学者の思索の本質と魅力を描き出す「再発見 日本の哲学」シリーズ、学術文庫版の第一弾!


  • 前巻
  • 次巻

目次

1.「超越」という問題
  物と知覚/電子の存在/他我問題/知覚像語の構成
2.無限集合を生成する言葉
  二元論批判/「超越」の正体/知覚因果説への応答
3.立ち現われ一元論への転回
  「心の作用」の否定/知覚と思い
4.立ち現われの風景
  想起と過去/四次元宇宙と有情の世界
5.言語的制作の可能性
  語り存在/過去の制作/経験の時間と制作された時間

書誌情報

紙版

発売日

2015年07月11日

ISBN

9784062923095

判型

A6

価格

定価:1,100円(本体1,000円)

通巻番号

2309

ページ数

304ページ

シリーズ

講談社学術文庫

電子版

発売日

2015年08月28日

JDCN

0629230900100011000P

初出

本書の原本は、菅野覚明・熊野純彦責任編集「再発見 日本の哲学」の一冊として、2007年、小社より刊行されました。

著者紹介

著: 野矢 茂樹(ノヤ シゲキ)

1954年生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。専攻は、哲学。主な著書に、『論理学』(東大出版会)、『心と他者』『「論理哲学論考」を読む』(以上、ちくま学芸文庫)、『哲学の謎』『無限論の教室』(以上、講談社現代新書)、『哲学・航海日誌』(中公文庫)、『新版 論理トレーニング』(産業図書)、『語りえぬものを語る』(講談社)など多数。

オンライン書店一覧

ネット書店一覧

電子版取扱い書店一覧

関連シリーズ

BACK
NEXT

製品関連情報