歴史とは靴である 17歳の特別教室

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歴史とは靴である 17歳の特別教室

レキシトハクツデアルジュウナナサイノトクベツキョウシツ

文芸(単行本)

 ところで、歴史は、しばしば好き嫌いで論じられます。
 ぼくもよく聞かれます。
「先生、歴史が好きですか?」
「先生、歴史上の好きな人物は?」
 などと言われます。
「うちのお父さん、歴史が好きなんです。先生の本もよく読んでます」
 とか言われることもあります。
 好き嫌いで論じられるものは嗜好品です。酒やタバコと同じです。
 はたして歴史学は、好きか嫌いかで選べるものでしょうか。
 どうもちがう気がします。
 歴史的にものを考えると、前より安全に世のなかが歩けます。歴史はむしろ実用品であって、靴に近いものではないか。ぼくはそんなふうに考えます。
(中略)
 なにごとも歴史的な考えかたは大切になります。常日ごろから、時間と空間を飛び越えて、似たようなことはないかなと考えながら暮らすと成功パターンも知れ、危険が避けられ、成功しやすいのです。(本文より)


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目次

◎歴史と人間
植木鉢の破片じゃなくて
空間や時間を飛び越せる動物
記号、シンボル、抽象化
針とビーズ
実験精神旺盛な磯田少年
カミ・クニ・カネの「3K」
ブタやトイレに歴史はあるか
いずれオールド・スタイルも変わる
なぜ慶應に入りなおしたのか
歴史は実験できない
ただし、ある程度の法則性はある
歴史とは靴である
矛盾が大事
教科書は「平均値」にすぎない
磯田家の「明治維新」

◎休憩中の会話
「これが好きだ」というものを、真剣に追いつづけられたら幸せです

◎歴史の「現場」
ニセモノはなぜ生まれるか
一次史料と二次史料
「いまだから言える」ということ
すべてが史料になりうる
文字をもつ人、もたない人
「日本」は着ぐるみがつくった?
練供養からくまモンまで
時代小説が描くもの
元号はこうして決まる
おめでたいときも、災害のときも
「革命」思想と日本
難陳というディベート
AIの時代に
これからは「発想結合」
比較・解釈・仮説
あまり傲慢であってはいけない
教養とはムダの別名である

書誌情報

紙版

発売日

2020年01月30日

ISBN

9784065181898

判型

四六変型

価格

定価:1,320円(本体1,200円)

ページ数

152ページ

初出

本書は、鎌倉女学院高等学校にて、2019年6月11日におこなわれた特別授業の内容を元に再構成しました。

著者紹介

著: 磯田 道史(イソダ ミチフミ)

磯田道史(いそだ・みちふみ) 1970年、岡山市生まれ。歴史家。国際日本文化研究センター准教授。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。『武士の家計簿』(新潮新書)で新潮ドキュメント賞、『天災から日本史を読みなおす』(中公新書)で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。『近世大名家臣団の社会構造』(文春学藝ライブラリー)、『無私の日本人』(文春文庫)『殿様の通信簿』(新潮文庫)『日本史の内幕』(中公新書)ほか著書多数。該博な知識と親しみやすい語り口で、テレビでも多くの視聴者に歴史の意味と愉しさを伝えている。

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