出世と恋愛 近代文学で読む男と女

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出世と恋愛 近代文学で読む男と女

シュッセトレンアイキンダイブンガクデヨムオトコトオンナ

講談社現代新書

「青春とは何か」とは男女ともに簡単には定義できない命題だが、前提として必要なのは「精神的親離れ」である。しかし青春期は、自分の将来への不安に迷い、徐々に自分の世界を見つけるが、同時に好きな人ができる時期でもある。
日本の近代文学の主人公である青年たちは、恋を告白できず片思いで終わるケースが多い。たまに恋が成就しても、ヒロインは難病や事故などで、なぜか死ぬのだ。日本の男性作家には恋愛、あるいは大人の女性を書く力がないのではと著者は喝破する。
たかが文学の話ではないかと思うなかれ、近代文学が我が国ニッポンの精神風土に落としている影は思いのほか深い。
明治期の立身出世物語が青年たちの思想に与えた時代背景は見逃せない。同時に戦争が文学に与えた強い影響も。
しかし夏目漱石『三四郎』から20年、女性作家の宮本百合子『伸子』で、「新しい女性」が恋愛や結婚に縛られない「生きる価値」を見つける時代が近代にも到来する。男女ともに時代の変遷とともに成長するのだ。
近代文学で描かれた男女の生き方は、現代日本の「人生の成功と恋愛」にかける人々の思いを読み解く大いなる鍵となる。


Ⓒ斎藤美奈子

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目次

序章 「出世と恋愛」は文学の二大テーマ
第1章 明治青年が見た夢
第2章 大正ボーイの迷走
第3章 悲恋の時代
第4章 モダンガールの恋
終章 「出世と恋愛」が行き着いた先

書誌情報

紙版

発売日

2023年06月22日

ISBN

9784065293577

判型

新書

価格

定価:1,056円(本体960円)

通巻番号

2709

ページ数

256ページ

シリーズ

講談社現代新書

電子版

発売日

2023年06月21日

JDCN

06A0000000000682437M

著者紹介

著: 斎藤 美奈子(サイトウ ミナコ)

1956年、新潟市に生まれる。成城大学経済学部卒業。文芸評論家。1994年『妊娠小説』でデビュー。2002年、『文章読本さん江』で第一回小林秀雄賞受賞。主な著書に『紅一点論』『本の本』(ともにちくま文庫)、『モダンガール論』(文春文庫)、『学校が教えないほんとうの政治の話』(ちくまプリマ―新書)、『文庫解説ワンダーランド』『日本の同時代小説』(ともに岩波新書)、『中古典のすすめ』(紀伊國屋書店)、『挑発する少女小説』(河出新書)などがある。

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