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人類が永遠に続くのではないとしたら
ジンルイガエイエンニツヅクノデハナイトシタラ
- 著: 加藤 典洋

本書は2011年の東日本大震災により起きた、福島第一原子力発電所事故に端を発する未曾有の危機を受け止めようとするなかで気付いた、自らの内奥の変化を問うところから始まる。地球規模とも思える危機に対して、人類はどのように責任を果たすべきなのか? その思考は、やがて過去の問題への問いから未来をいかに生きるかという問いへと移っていく――
「三・一一の原発事故は、私の中の何かを変えた。私はその変化に言葉を与えたいと思っている」――保険すら引き受けてもらえない、誰も責任をとりきれないほどの災害が「新しい性格」を持つと規定された。かつて無限と思われた科学技術の発展が有限ではないかと疑われる現代において、人はいかに生きていくのか。著者の真摯な態度でなされる思考の営みは、読む者を新しい境地へとたしかに誘う。著者後期の代表作である本書は、まさに「いまこそ真摯に読み返されるべき稀有な書」なのである。
ⒸAtsuko Kato
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書誌情報
紙版
発売日
2024年02月12日
ISBN
9784065345047
判型
A6
価格
定価:2,970円(本体2,700円)
ページ数
500ページ
シリーズ
講談社文芸文庫
初出
本書は「新潮」2013年2~4、7~12月号、2014年1月号での連載「有限性の方へ」に加筆訂正を行って刊行された『人類が永遠に続くのではないとしたら』(2014年6月、新潮社)を底本としました。
著者紹介
加藤典洋(1948・4・1~2019・5・16)文芸評論家。山形県生まれ。 1972年、東京大学文学部仏文科卒。国立国会図書館勤務、明治学院大学教授、早稲田大学教授を経て、2014年、同大学名誉教授となる。 1985年、最初の評論集『アメリカの影』刊行。97年、『言語表現法講義』で新潮学芸賞、98年、『敗戦後論』で伊藤整文学賞、2004年、『テクストから遠く離れて』『小説の未来』で桑原武夫学芸賞を受賞。ほかに『日本風景論』『日本という身体――「大・新・高」の精神史』『戦後的思考』『日本人の自画像』『僕が批評家になったわけ』『太宰と井伏 ふたつの戦後』『村上春樹の短編を英語で読む 1979~2011』『もうすぐやってくる尊皇攘夷思想のために』『9条入門』『大きな字で書くこと』『オレの東大物語 1966-1972』『9条の戦後史』などの著書がある。 2019年の没後も、著作の刊行が多数なされている。 本書『人類が永遠に続くのではないとしたら』は2014年の単行本刊行当時、その論考の柄の大きさにより読書界に衝撃を与えた。
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