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磯崎新論
シン・イソザキロン
- 著: 田中 純

2022年12月28日に91歳で亡くなった世界的建築家・磯崎新。
「デミウルゴスの化身」たらんとした「アーティスト/アーキテクト/アーバンデザイナー」が求めた〈見えない建築〉とは何か?
群像連載の前人未到/正面突破の決定版「磯崎新論(シン・イソザキろん)」がついに単行本化!
「それゆえわたしはここで、たとえ無謀ではあっても、アーティスト/アーキテクト/アーバンデザイナーの全領域の総体をテクストとしてまるごと扱い、自分なりの磯崎新(ルビ:デミウルゴス)像をくっきりとした輪郭で描くことを選ぶ。「シン・イソザキ論」という、庵野秀明の『シン・ゴジラ』や『シン・エヴァンゲリオン』をもじったような別名の併記は、磯崎最初期のSF的マニフェスト「都市破壊業KK」における「SIN/ARATA」という二体の分身への自己分裂に対応している。それをルビで表わすこともまた、この種の分裂状態を象徴する磯崎特有の書体の擬態(ルビ:もどき)である。「シン」は間違っても「真」ではなく、「磯崎新論(ルビ:シン・イソザキろん)」という表記はむしろ、みずから「新(ルビ:SIN)」なるもの─他者─であろうとする自覚の表現なのだ。」(本文より)
ⒸJun Tanaka
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目次
目次
前口上
第I部 胎動 1931-1956
第1章 沈んだ島、牡丹の庭
第2章 前衛の季節
第3章 (反)重力の衝撃
第4章 (祖)父なる建築家
第5章 コア・ジョイント・ラビリンス
第II 部 都市の暗殺者 1957-1970
第6章 複数のデビュー作
第7章 都市の孵化と破壊
第8章 虚体の形而上学
第9章 ミラノ/大阪、見えない廃墟
第10 章 エロス的/ゲリラ的マニエリスムへ向けて
第III 部 反建築の展望台 1971-1986
第11 章 青空・手法・不在
第12 章 プラトン立体の機械的作動
第13 章 〈建築〉と間の修辞法
第14 章 つくば、「つくりもの」のヘテロトピア
第15 章 設計競技の政治的/肉体的ダイナミクス
第IV 部 歴史と大地の亀裂 1987-1995
第16 章 構造の力線
第17 章 ひもろぎ/コーラ、仮面的形式の場
第18 章 建築(家)の両性具有的身体
第19 章 造物主義論の射程
第20 章 「しま」の美学、あるいは「つくることの悲劇」
第V部 〈アーキテクチュア〉という戦場 1996-2022
第21 章 「日本なき日本」への垂直的下降
第22 章 千年紀、虚実の間
第23 章 「進むべき道はない、だが進まねばならない」
第24 章 デミウルゴスの巫
結論 磯崎新とは誰か
余白に
1 見えない建築へ──追悼 磯崎 新
2 磯崎新という謎──憑依・寄生するデミウルゴス〔磯崎新『デミウルゴス』解説〕
3 磯崎新「東京大学教養学部美術博物館」改造計画案をめぐって
4 磯崎新と雑誌『希望』
跋
註
書誌
図版一覧
索引
書誌情報
紙版
発売日
2024年11月07日
ISBN
9784065359860
判型
四六
価格
定価:5,225円(本体4,750円)
ページ数
784ページ
電子版
発売日
2024年11月28日
JDCN
06A0000000000846677P
初出
前口上および第1章~第24章…「群像」2022年1月号~2023年12月号、結論…書き下ろし。余白に 1 見えない建築へ──追悼 磯崎新…「群像」2023年3月号、2 磯崎新という謎──憑依・寄生するデミウルゴス〔磯崎新『デミウルゴス』解説〕…磯崎新『デミウルゴス――途上の建築』2023年 青土社、3 磯崎新「東京大学教養学部美術博物館」改造計画案をめぐって…『磯崎新「東京大学教養学部美術博物館」改造計画案 資料集』2023年、4 磯崎新と雑誌『希望』…「群像」2023年11月号。
著者紹介
1960年生。芸術論・思想史。東京大学名誉教授。博士(学術)。2002年『アビ・ヴァールブルク 記憶の迷宮』でサントリー学芸賞(思想・歴史部門)、2008年『都市の詩学』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、2009年『政治の美学』で毎日出版文化賞、2010年フィリップ・フランツ・フォン・ジーボルト賞を受賞。著書に『残像のなかの建築』『都市表象分析 I』『ミース・ファン・デル・ローエの戦場』『冥府の建築家』『過去に触れる』『歴史の地震計』『デヴィッド・ボウイ』『イメージの記憶(かげ)』など。