フェイクファシズム 飲み込まれていく日本

フェイクファシズム 飲み込まれていく日本

フェイクファシズム ノミコマレテイクニホン

世界がかつてない混沌へ向かおうとしている。その最も顕著な現象が国際ルールの破壊王ともいえる米国トランプ大統領の出現だ。「タリフマン」を名乗り、関税を武器に力の外交交渉を進め、世界の経済秩序を脅かしている。この横紙破りの暴挙の根にあるのは自分の力を誇示して敵対勢力から身を守ろうとする保身にほかならない。だが歴史的な負の屈曲点を示唆する現象は、これだけではない。新型コロナウィルスの世界的流行、ロシアのウクライナ侵略、イスラエルによるガザ地区ジェノサイド、中国の不動産バブル崩壊、権威主義国家の台頭など自由主義経済、民主主義の安定を揺るがす危機が押し寄せている。
 旧ソ連の学者が提唱した「コンドラチェフ循環」という経済の理論がある。技術革新などにより引き起こされた経済の波は、ほぼ50年周期で循環し、「カタストロフ」と呼ばれる創造的破壊を呼ぶ。現代はまさにこの「カタストロフ」の渦中にある。目に見える複数の周期性を持つ現象は、やがて最も大きな流れを生み出す周期性に引き込まれていく。つまり経済は従来の常識を覆して、ある日、不可逆的に変化するということだ。
 問題は、そんな混沌の世界で生き残るために、日本はどう変わるべきかということだ。
 現状を見れば、アベノミクスの後遺症で、いまや国内経済はボロボロだ。デフレから一転して物価は上昇し、庶民の生活を脅かしている。耕作放棄地や空き地が増え、年老いた人々が孤独な生活を送っている。何よりも忖度まみれのメディアが真実を報じなくなった。訪れるであろう世界の大転換に立ち向かえる体質ではない。だが未来を生きる次世代のために指を加えて見ているわけにはいかない。
 そこで著者は、日本を創りかえるための基礎政策を提言する。
●トランプは世界をどう変えるのか ――分断とフェイクファシズムを乗り越える
●税制と年金はどうあるべきか ――インフレと格差を克服する税制改革を
●アベノミクスをどう終わらせるか ――持続可能性を失った日本は滅びる
●イノベーティブ福祉国家にする ――「下請け軍事国家」から「教育・科学技術立国」へ
●どうすれば少子化を防げるのか ――福祉の普遍給付か選別給付か
●失敗するマイナ保険証とIT産業 ――医療崩壊を防ぐ真の医療DXとは何か
●エネルギー転換はなぜ必要かー-原発政策ののろいを解く
●崩壊する農業と農村を立て直す道は――食料・農業。農村基本法の見直しは農村破壊だ
 能力の低下が著しい日本の政治家にこそ読んで欲しい一冊だ。


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書誌情報

紙版

発売日

2025年07月15日

ISBN

9784065405000

判型

四六

価格

定価:1,650円(本体1,500円)

ページ数

240ページ

著者紹介

著: 金子 勝(カネコ マサル)

1952年東京都生まれ。経済学者。東京大学大学院経済学研究科博士課程終了。1988年から法政大学教授。2000年から慶応義塾大学教授。現在は淑徳大学大学院客員教授、慶応義塾大学名誉教授。制度経済学、財政学、地方財政論を専門とし、アベノミクス批判、脱原発などの立場から社会への提言を続けている。近著に『裏金国家 日本を覆う「2015年体制」の呪縛』(朝日新書)など。

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