変わった世界 変わらない日本

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変わった世界 変わらない日本

カワッタセカイカワラナイニホン

講談社現代新書

過去30年の間に国際経済を取り巻く環境は激変した。しかしながら、日本経済は、電気や自動車などの製造業の輸出に過度に偏重したビジネスモデルを変えることができずに変化に大きく立ち後れた。しかしながら、日本の政治家にも官僚にも、こうした現状認識ができずに、場当たり的な対応を繰り返してきた。成功しつつあるかに見えるアベノミクスも、旧態依然とした経済モデルにしがみついており、本質的な改革とはほど遠い。


過去30年の間に国際経済を取り巻く環境は激変しました。しかしながら、日本経済は、円安頼みの輸出立国モデルに固執した結果、長期にわたる低迷を余儀なくされました。猛スピードで変化した世界経済に立ち後れた日本に対して、いち早く金融自由化に取り組んだイギリス経済は劇的な復活を遂げ、IT化に成功したアメリカは歴史に残る黄金期を迎えています。かつて「欧州の最貧国」といわれたアイルランドは、世界経済の変貌にいち早く対応し、「ケルトの虎」と呼ばれるまでに急成長しています。はたして周回遅れの感もある日本に、挽回の余地はあるのでしょうか。残念ながら、アベノミクスは、株価の底上げには成功したものの、円安誘導の輸出立国モデルに固執しており、古い産業構造を温存することを躍起になっています。野口悠紀雄氏は、アベノミクスの金看板である、インフレ目標と異次元金融緩和は、目標も手段も間違っており、国民にカタストロフをもたらす可能性が高いと、厳しく批判しています。これからの日本経済を待ち受けているものはなにか? 経済学の第一人者 野口悠紀雄氏の鋭い分析がふんだんに盛り込まれた作品です。


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目次

序 始まりは80年代      
第1章 経済思想が大転換した  
必然だったソ連崩壊
サッチャーとレーガンの経済改革
市場経済以外はありえない
石油価格の安定とインフレなき成長
第2章 IT革命と市場型経済の復活 
新しい技術 ITの登場
アメリカ経済の復活
イギリスの大変貌:脱工業化と金融立国
90年代、アイルランドの驚異的な経済成長
第3章 中国が工業化に成功した   
改革開放が軌道に
新しい企業が台頭する
巨大EMSというバケモノ                
中国経済の矛盾
第4章 取り残された日本は円安のぬるま湯に
不良債権の処理に追われた日本の90年代
大規模介入で円安に
垂直対水平 
第5章 100年に一度の金融危機    
アメリカ住宅バブル
金融危機の進展
投資銀行モデルとその破綻
アメリカ経常赤字の拡大
円安バブル
第6章 リーマンショック後の世界     
GDPがマイナス10%減
中国の経済対策と不動産バブル
アメリカの金融緩和策  
ユーロ危機 
米中というG2の時代
第7章.日本経済が抱える深刻な問題   
下落する賃金
貿易赤字、脱原発、海外移転
デフレが問題なのか?        
消費税増税で財政再建できるか?
社会保障の見直しこそ最重要   
第8章 アベノミクスは答にならない      
空回りする異次元金融緩和  
動かない実体経済
円安は日本人を貧しくする
目標も手段も間違っている
第9章.日本の成長に本当に必要なこと
何をやってはいけないか?
何が必要か?
政府に依存するのは間違い
人材開国による新しい成長に向けて

書誌情報

紙版

発売日

2014年04月18日

ISBN

9784062882613

判型

新書

価格

定価:880円(本体800円)

通巻番号

2261

ページ数

288ページ

シリーズ

講談社現代新書

電子版

発売日

2014年05月23日

JDCN

0628826100100011000W

著者紹介

著: 野口 悠紀雄(ノグチ ユキオ)

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。 〈主要著書〉 『情報の経済理論』(東洋経済新報社、1974年、日経経済図書文化賞)、『財政危機の構造』(東洋経済新報社、1980年、サントリー学芸賞)、『バブルの経済学』(日本経済新聞社、1992年、吉野作造賞)、『「超」整理法』(中公新書、1993年)、『消費増税では財政再建できない』、『製造業が日本を滅ぼす』(ダイヤモンド社、2012年)、『日本式モノづくりの敗戦』(東洋経済新報社、2012年)、『金融緩和で日本は破綻する』(ダイヤモンド社、2013年)、『「超」説得法』(講談社、2013年)等多数。

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