誘蛾灯 鳥取連続不審死事件
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誘蛾灯 鳥取連続不審死事件

ユウガトウトットリレンゾクフシンシジケン

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2009年秋、当時35歳だった木嶋佳苗の周りで、多数の男性が不審死した事件が話題をさらっていた。やがて別の連続不審死事件が浮上してきた。現場は鳥取、主役は上田美由紀、スナックのホステスだった。筆者は町を歩き、スナックに通い、裁判を傍聴する。美由紀に惚れ、貢ぎ、騙された男たちをみつける。そして美由紀とも面会を重ねる。その結果、木嶋佳苗事件からは決して見えてこない、地方特有の事件の景色が判明してくる。 2009年秋、当時35歳だった木嶋佳苗の周りで、多数の男性が不審死した事件が話題をさらっていた。やがて同時期、首都圏を舞台とした、この事件とは別の連続不審死事件が浮上してきた。現場は鳥取、主役は上田美由紀、スナックのホステスだった。 「一人の女の周囲で多数の男性が不審死していく」という、二つの事件には、驚くほど共通点があった。主役はどちらも30半ばの小柄な肥満体型の女性で、亡くなった男性たちと肉体関係を持ち、多額の金銭を貢がせていた。 しかし、一見、よく似た事件はまったく別の背景をもっていた。佳苗が、高級マンションに住み、外車を乗り回し、セレブ相手の料理教室に通って、婚活サイトを利用して男性を物色していたのに対し、美由紀は日本全国で最も人口の少ない都道府県である鳥取で多数の子ども抱え、自らが勤務する寂れた繁華街の小さなスナックでターゲットを探していたのだ。 筆者は、鳥取の町を歩き、事件の現場になったスナックに通い、裁判を傍聴する。美由紀に惚れ、貢ぎ、騙された男たちをみつけ、話を聞いていく。そして、拘置所にいる美由紀とも面会を重ねる。 その結果、華やかな臭いを纏う木嶋佳苗事件からは、決して見えてこない、地方特有の事件の景色が判明していく。日本の地方、田舎で何が起きているのか。事件の深層と地方の風景は切っても切り離せない関係にあった。 人口が減り、町が廃れ、そこで暮らす人々には仕事がなく、生活が立ちゆかなくなる。そこで生まれる犯罪。生活弱者が弱者を食い物にした。 ーー美由紀に騙されたのは、あなたかもしれない。

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誘蛾灯 二つの連続不審死事件
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誘蛾灯 二つの連続不審死事件

発売日:2016年01月21日

上田美由紀、35歳。小柄で肥満、鳥取のスナックのホステス。彼女の周りで6人の男が死んだ。この事件の背景には、木嶋佳苗事件とは別の深い闇がある。――美由紀に騙されたのは、あなたかもしれない。筆者は鳥取に通い、美由紀と面会し、彼女に騙された男たちに取材を重ねる。木嶋佳苗が獄中ブログを始めるきっかけとなり、「私の事件を取材してくれていたら…と思い続けたジャーナリスト」と言わしめた一冊が文庫化! 上田美由紀、35歳。小柄で肥満、鳥取のスナックのホステス。彼女の周りで6人の男が死んだ。この事件の背景には、木嶋佳苗事件とは別の深い闇がある。 ――美由紀に騙されていたのは、あなただったかもしれない。 2009年秋、30代の太った女二人が、それぞれ男と関係を持ち、カネを貢がせ、死に追いやっていた――。木嶋佳苗事件との共通項の多さから、世間の話題を集めた鳥取連続不審死事件。筆者は鳥取に通い、上田美由紀と面会し、彼女に騙された男たちに取材を重ね、二つの事件は似て非なるものだと確信する。 鳥取の事件の背景にあったのは、日本の地方をじわじわと覆う闇――人が減り、町が廃れ、仕事を失い、生活が立ちゆかなくなった田舎で生まれる、弱者が弱者を食い物にする状況――だった。 木嶋佳苗が獄中ブログを始めるきっかけとなり、「私の事件を取材してくれていたら…と思い続けたジャーナリスト」と言わしめた一冊が、大幅加筆のうえ、文庫化! 2009年秋、当時35歳の木嶋佳苗の周囲で、複数の男性が不審死した事件が話題を集めていた。同時期、別の連続不審死事件が浮上する。現場は鳥取、主役は上田美由紀、スナックのホステスだった。 二つの事件には驚くほど共通点があった。主役はどちらも30代半ばの小柄な肥満体型の女で、亡くなった男たちと肉体関係を持ち、多額のカネを貢がせていた。美由紀に惚れ込んだ男たちのなかには、刑事や新聞記者もいた。 しかし、二つの事件の背景はまったく異なるものだった。佳苗が高級マンションに住み、外車を乗り回し、セレブ相手の料理教室に通い、婚活サイトを利用して男を物色していたのに対し、美由紀は過疎の進む鳥取で5人の子どもとボロ家に住み、場末のスナックでターゲットを探していたのだ。 筆者は、事件現場、スナックに通い、裁判を傍聴する。美由紀に惚れ、貢ぎ、騙された男たちをみつけ、話を聞く。そして、拘置所にいる美由紀とも面会を重ねる。 そうして、木嶋佳苗事件からは決して見えてこない、この事件の深層――地方の貧困との関係があらわになっていく。人が減り、町が廃れ、仕事を失い、生活が立ちゆかなくなる。そこで生まれる、弱者が弱者を食い物にする犯罪。それは、いまの日本社会に覆いかぶさろうとしている闇だ。

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