にぎやかな天地(上)
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にぎやかな天地

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熟鮓、醤油、鰹節といった日本の伝統的な発酵食品を後世に残す豪華限定本を作ってほしい――。謎の老人松葉伊志郎から依頼を受けた船木聖司は、早速祖母の死とともに消えていた糠床を蘇らせる。その後、料理研究家の丸山澄男の協力で日本各地の職人を訪ねるうちに、微生物の精妙な営みに心惹かれていく。(2012年6月、講談社文庫として刊行) この宇宙に死はひとつもない。 祖母の死について考え抜かれた言葉と、微生物の人知を超えた営みが織りなす壮大な物語 熟鮓(なれずし)、醤油、鰹節といった日本の伝統的な発酵食品を後世に残す豪華限定本を作ってほしい――。謎の老人松葉伊志郎から依頼を受けた船木聖司は、早速祖母の死とともに消えていた糠床を蘇らせる。その後、料理研究家の丸山澄男の協力で日本各地の職人を訪ねるうちに、微生物の精妙な営みに心惹かれていく。 この地球上にいる肉眼では見えない微生物の数は、人間どもの数億倍、いや数兆倍、いや、もう数を示す単位では表現できない個数にのぼるであろう。 そのなかには、人間に害を為し、死に至らしめるやつらも厖大に混じり合っている。 人間の肉眼で見ることができないのは、なにも遠くの宇宙の星々や星雲だけではないのだ。星も星雲そのものも、人間の持つ言葉を超えた巨大さで生死を繰り返し、微生物たちも、いまこの俺の掌のなかで、この部屋の空気のなかで、階段の手すりで、ドアのノブで、鼻の穴や口のなかや食道や肺のあちこちで、生死を繰り返しつづけている……。――<本文より>

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にぎやかな天地(下)
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にぎやかな天地(下)

発売日:2012年06月15日

聖司が生まれる前に父親が亡くなり、仕事を再開した母親に代わって彼を育てた祖母が生前遺した「ヒコイチ」という言葉がきっかけで大前美佐緒という女性を知り、聖司は道ならぬ恋心を抱く。一方、父親の死にも思わぬ真相が……。発酵という営みに人の生死や結びつきを重ね合わせ、命の根源に迫る長編小説。(2012年6月、講談社文庫として刊行) 日本の伝統食はこんなに奥が深い。 熟鮓(なれずし)、醤油、鰹節……発酵という営みから「命」の根源を照らし出す傑作長編 聖司が生まれる前に父親が亡くなり、仕事を再開した母親に代わって彼を育てた祖母が生前遺した、「ヒコイチ」という言葉がきっかけで大前美佐緒という女性を知り、聖司は道ならぬ恋心を抱く。一方、父親の死にも思わぬ真相が……。発酵という営みに人の生死や結びつきを重ね合わせ、「命」の根源に迫る長編小説。 ※本書は、2008年4月に中公文庫より刊行されたものです。

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