
宮部みゆきの怖い話
ミヤベミユキノコワイハナシ
マイページに作品情報をお届け!
怖さ一気読み!背筋が凍る怖さ満載! とにかく怖い!読み切り小説4本! 超ベストセラー作家が贈る、本物の恐怖小説 ――あれはね、すごくお腹を空かしているんだよ。おゆうは一瞬、姉が「あれ」と吐き捨てるように呼ぶものの正体を、振り返ってこの目で確かめたいと思った。だが振り向こうとした寸前に、「あれ」が唸るような声をあげるのが聞こえてきて、気持ちがくじけた。 「そこに何かいるっての?何もいないじゃない」 ――鬼さんこちら、手の鳴るほうへ。 首は泳ぐように太郎の顔のすぐそばまで近づいてきた。真っ赤なくちびるが割れて、太郎の顔に、墓場の土のように冷たい息がかかった。女の首はひと言、呻くように言った。「今度はとり逃がすものか、首をとってやる」
TOPICS

宮部みゆきの怖い話
発売日:2010年01月14日
怖さ一気読み!背筋が凍る怖さ満載! とにかく怖い!読み切り小説4本! 超ベストセラー作家が贈る、本物の恐怖小説 ――あれはね、すごくお腹を空かしているんだよ。おゆうは一瞬、姉が「あれ」と吐き捨てるように呼ぶものの正体を、振り返ってこの目で確かめたいと思った。だが振り向こうとした寸前に、「あれ」が唸るような声をあげるのが聞こえてきて、気持ちがくじけた。 「そこに何かいるっての?何もいないじゃない」 ――鬼さんこちら、手の鳴るほうへ。 首は泳ぐように太郎の顔のすぐそばまで近づいてきた。真っ赤なくちびるが割れて、太郎の顔に、墓場の土のように冷たい息がかかった。女の首はひと言、呻くように言った。「今度はとり逃がすものか、首をとってやる」