
私は好奇心の強いゴッドファーザー
ワタシハコウキシンノツヨイゴッドファーザー
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ああ、上映のベルが鳴る。ホラー映画は観る前にタマげ、「18禁」上映館には入れずじまい。「エレファント・マン」の素っ気なさに残尿感。寄り道満載抱腹エッセイ! やがて上映のベルが鳴り、場内が暗くなると、父は立て続けに大きな咳をした。同時に「もう」と母が呟き、肘で父を突っつく気配がした。暗がりの中で、私は笑いたいような泣きたいような、何とも言えない気持に満たされていた。映画が始まる前に、私たち親子3人は、それぞれに「至福のとき」を味わっていた。――(本文より)
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私は好奇心の強いゴッドファーザー
発売日:2007年09月14日
「私は好奇心の強い女」……。新聞広告でみかけた魅惑の題名。思わず新聞を切り抜く原田少年だが、親に知られると恥ずかしい。ごまかしついでに始めた映画宣伝コレクションは、やがて原田少年を「ゴッドファーザー」へと誘う(表題作)。赤ん坊・原田宗典が、少年、青年、そして父親へと成長する間、いつも映画は傍にあった。軽妙にかつ愉快に描かれるシネマへの愛と家族への思い。やがて胸が熱くなる名エッセイ集。(講談社文庫) 銀幕の前で育った少年。映画は偉大な父なのだ。 偉大なる父(ゴッドファーザー)と生来の妄想力が、ムネノリ少年を映画好きにした。「007」でスパイを目指し、18禁作品上映館への突入を敢行した彼は、2児の父となっても映画少年でありつづける。3代にわたる銀幕との付き合いの末に訪れた「至福のとき」とは? 抱腹絶倒、そして誰もの胸に迫る、傑作シネマ&家族エッセイ。