斬り
電子あり

辻斬り

ツジギリ

マイページに作品情報をお届け!

理由(わけ)などない。 三十俵二人扶持(ぶち)の戯作者気取り。家にも職場にも居所のない男が殺(あや)めた男、女…。斬れば癒される。 時代小説大賞 受賞作家が描く 渾身の書下ろし 刀を掴んだまま男が尻餅をつき、痙攣する顔で見上げたとき、作之助は思わず精を漏らしていた。 生まれて初めての経験である。 力がこもったのは身体から刀を引き抜くときであった。男が両手で刀身を掴んでいるからではなく、なにか見えない力が絡みついているようであった。思いきり男の肩を蹴るようにして、あとずさった。突然、人を殺したという実感が作之助を襲った。――(本文より)

TOPICS

辻斬り
最新刊情報

辻斬り

発売日:2007年08月10日

殺す以外にはない。それが答えだった 同心だった作之助は主犯を取り逃がし今や無役の貧乏御家人。どこにも本当の居場所はない。恋川春町に出入りしながらいっぱしの戯作者(げさくしゃ)を気取り、かろうじて矜持を保つ日々。ふと芽生えた殺意を抑えきれず、飾り職人を刺してしまう。人を殺める暗い歓びを知った作之助に、追っ手は迫る。これぞ時代暗黒小説(ノアール)。

PUBLICATIONS

全2件