夜明けの家
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夜明けの家

ヨアケノイエ

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古井文学の頂点を示す最高の連作集。 生死の間(あわい)を縫う最高の連作!どこへも、行きはしない。 生者と死者の静まりゆく50年。表題作をはじめ、名品「島の日」「不軽」「草原」等、古井文学の到達点! 若いのに腹の据わった女だ、とその始末の手際に舌を巻いた。夜の戸外の気温のことを考えると、老人の彷徨はその夏頃からのことだったのだろう。老人の出て行くのを寝床の中から耳にしながら女性はもう止めずにいる。(略) 老耄が人の自然なら、長年の死者が日々に生者となってもどるのも、老耄の自然ではないか。なぜ故人は死んでいて、自分は生きているのか、その区別が恣意のように感じられる時があっても不思議はない。殊に夜明け頃に生死の境はゆるむのだろう。寝覚めして境がゆるむのではなくて、境がゆるむので寝覚めする。故人を迎えに行かなくてはならない。──本文より

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夜明けの家
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夜明けの家

発売日:2008年09月11日

「老耄が人の自然なら、長年の死者が日々に生者となってもどるのも、老耄の自然ではないか。」――主人公の「私」が、未明の池の端での老人との出会いの記憶に、病、戦争、夢、近親者の死への想いを絡ませ、生死の境が緩む夜明けの幻想を語った表題作をはじめ、「祈りのように」「島の日」「不軽」「山の日」など「老い」を自覚した人間の脆さや哀しみと、深まる生への執着を「日常」の中に見据えた連作短篇集。 生と死の間に人生の孤独を描く連作短篇12 「老い」を自覚することで、生命の脆さと、深まる生への執着を、「日常」の中に見据えた表題作を始め、「祈りのように」「島の日」「不軽」など古井文学の一頂点

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