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悪足掻きの跡始末 厄介弥三郎
ワルアガキノアトシマツヤッカイヤサブロウ
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兄、都築孝蔵は六百五十石取りだが、親重代の借金があってゆとりはない。弟の弥三郎には、婿養子の口がかかったことはなく、永遠に兄や、兄が死ねば甥の世話になって生きるしかない。幕府役人は公用語に無頓着でかつ無神経だった。俗語をそのまま公用語に使用した。役所の書類に肩書が付されるとき、弥三郎ならたとえば「都築孝蔵厄介」とされた。それに、むっとした弥三郎は、自らの意志で人生を拓きはじめる。 厄介は死ぬまで厄介 たった一人の女さえままにならず 屋敷の片隅で老いさらばえなければなりません 江戸時代、兄もしくは甥の世話になっている者を厄介と呼んだ 旗本都築孝蔵厄介、弥三郎の自由を求めた壮絶なる人生の記 「用心棒の仕事がある。手伝え」 「やばい仕事なのですか」 「やばくはない」 「いただきましょう、その仕事」 兄、都築孝蔵は六百五十石取りだが、親重代の借金があってゆとりはない。弟の弥三郎には、婿養子の口がかかったことはなく、永遠に兄や、兄が死ねば甥の世話になって生きるしかない。幕府役人は公用語に無頓着でかつ無神経だった。俗語をそのまま公用語に使用した。役所の書類に肩書が付されるとき、弥三郎ならたとえば「都築孝蔵厄介」とされた。それに、むっとした。弥三郎は、自らの意志で人生を拓きはじめる。