講談社文庫作品一覧

親はあっても子は育つ(ぼくの体験子育て論)
講談社文庫
近い将来やってくるだろう食糧難、神聖なるべき母乳まで汚染した公害……、破局を目前に、孫子の血肉をくらって安逸に暮す親たちは、子供の未来のために今なにをなすべきか? 育児書や教育産業主導の育児を拒否し、親子の温もりが通いあう人間的子育てを希求する、二人の娘をもつ著者の真情あふれる子育て論。

谷捨蔵の憂鬱
講談社文庫
京都の畳職人・谷捨蔵は、昔に比べると仕事がめっきり減ってしまった。近代化の波が、畳業界をも襲ったのである。しかもあと継ぎ息子は、畳なんかはもう前代の遺物だといって、家業をかえりみず、バンドにうつつをぬかしている。50年も畳一筋に生きてきた谷捨蔵の憂鬱は、深まるばかりである……。という表題作のほかに傑作8編を収録。

幸福へのパスポート
講談社文庫
パリのアパルトマンで、フランスとの同化と日本からの逃避をこころみる留学生。その日常に闖入する小事件の数々――旧知らしい日本女性との接触、幸福へのパスポートと銘うつ結婚相談への誘い、そして憧憬した女子学生との再会――を通して青春への訣別が……。澄明な眼と筆致で滞仏生活を描出した、現代文学の秀作。

湖沼学入門
講談社文庫
有名無名の湖に沼。吹雪にうもれた赤城大沼、水の色濃く神秘的な青木湖、多彩な顔をもつ五色沼、茫漠とした尾岱沼、雨にけむる本州北端の十三湖……それぞれの味わい深いたたずまいに浸って、昼は絵筆をとり、夜は酒を酌む。四季おりおりの自然と人情にふれる旅情の中に、人生の味がにじむ紀行エッセイの傑作。
青春の門 第六部 再起篇(下)
講談社文庫

竜のいる島
講談社文庫
夏休みに、父のアトリエのある八間島に遊びに来た一郎太は、島の友達のトメ・デンと釣りに行った時、海中を巨大な黒い生物の影が走るのを見た――太古の昔に生存した首長竜の謎をめぐって、海から陸へ、伝説から化石の発掘へと展開する、スリリングで臨場感あふれる、海洋大冒険小説。サンケイ児童出版文化賞大賞・国際アンデルセン賞優良作品賞、W受賞作品。

ミステリー傑作選(11) どんでん返し
講談社文庫
時代の移り変りに関係なく多くの人に読み継がれていく名作ミステリー短編を読者に贈り続ける名匠14人の豪華アンソロジー、超廉価版!
-収録作家-陳舜臣・小林久三・佐野洋・山村美紗・小泉喜美子・鮎川哲也・麗羅・草野唯雄・森村誠一・菊村到・海渡英祐・戸板康二・石沢英太郎・夏樹静子

旅するこころ
講談社文庫
いい旅をするための知識と心がまえを説く本。旅ブームの今日だが、軽薄な旅が多すぎる。旅の専門家である著者が、旅の思想、歴史、問題点などを豊富な事例で語り、次の旅への効用を大にしてくれる。ーー旅する人間の精神風土は、年々荒廃してきていないだろうか。例えば、自然に対する我々の感応の貧しさ。自然は旅における環境であり、旅先自体でもあるのだから、今こそ自然と人間のかかわりを見つめ直す好機である――との視点から、旅のさまざまな面を論じる「いい旅の仕方、考え方」。

秘剣揚羽蝶 源氏九郎颯爽記
講談社文庫
白装孤影の剣士・源氏九郎の秘剣揚羽蝶は、凄絶な死闘の中にも、華麗に舞う……。消えた公儀御用の純金の行方を追い、佐渡金山の大陰謀をあばく「花の幻」、上野寛永寺の御府庫金をめぐる「秘剣の宴」、琉球王女の哀愁を托す「夢の舞曲」、千年黄楊の櫛の謎を究明する「血汐櫛」の4篇を収録する、伝奇時代小説。

幽霊達の復活祭
講談社文庫
波の静かな月の美しい夜、粗末な礼拝堂の一室で復活祭を祝うパーティが開かれた。出席者は社会的存在感の薄い、さまざまな国の“幽霊”たちばかり。会話は機智にとみ諷刺にみちて、不思議な幻想の世界をかもしだす――みずみずしい感覚と大胆な手法から成った初期短篇集。ほかに、「火草」「桟橋にて」「首のない鹿」「あいびき」の四篇を収録。

結婚
講談社文庫
限りない期待と、多くの不安に心がゆれる結婚――それはたまたまめぐりあった1組の男女の単なる共同生活なのか、あるいは美しい愛情物語なのか。持続する愛とは?思わぬもろさを含む夫婦生活をつなぐものは?夫と妻の間に横たわる問題を、オムニバス風の手法で追求した表題作ほか8編を収録。

おんなみち(下)
講談社文庫
世津のひとり娘有紀は、母の許さぬ恋にはしった。信吉も結婚し、ひとり青華堂を守って老いねばならない世津に孤独の翳が濃かった。急坂を一気に登る男道、だらだら坂を遠廻りして下りる女道、男と女も求め合う心が深いだけ、行き違う哀しみも深い……。女の愛の風雪を流麗な筆に綴って感動を呼ぶ完結編。
青春の門 第六部 再起篇(上)
講談社文庫
再会した織江と共に、未知の歌の世界に賭けていく信介。ひさしぶりに充実した毎日をすごす二人は!?

絶唱
講談社文庫
山陰の大地主の跡取りとして、何ひとつ不足のない青春を過す園田順吉が、初めて知った真実の恋。相手は小作人の娘・小雪だった。身分差ゆえ周囲の反対は激しい。ふたりは松江に逃げ、順吉の友人の庇護でささやかな新世帯をもつ。だが、戦争の激化が再び彼らの純愛を搖さぶり始めた! 愛の高貴を描く不朽の青春文学。三原順子・広岡瞬の主演でドラマ化され、好評を得た青春純愛物語。

大地の冬のなかまたち
講談社文庫
クラス委員でありながら、遅刻常習犯のサブ。ある日学校へつくと、サブの席に炭鉱からきた和男がすわっていた。なまいきでひねくれた和男と競い合いながら、サブはやがて和男に興味をもっていく。『天使で大地はいっぱいだ』に引き続き北海道の大自然を舞台に、たくましく成長していく子どもたちの姿を描いた長編力作。野間児童文芸推奨作品賞受賞。

脱出
講談社文庫
ブラジルへ渡航寸前、ふとした口論から、一人の男を刺殺してしまった混血児・岡田サチオ。夜の新宿を逃げまわる彼に、救いの手を伸べてきた4人の若者がいた。週刊誌記者、学生、歌手志望の男、ゴーゴーガール。彼らはサチオの渡航を助けようとするが、真意は何なのか? 息詰まる迫力で展開される、サスペンス劇の会心作。

三国志(八)
講談社文庫
多士済々の人物を擁する魏に対し、蜀は玄徳の子劉禅が暗愚の上、重臣に人を得なかった。いまや蜀の興廃を双肩に負った孔明は魏を叩くべく兵を起す。かくて祁山の戦野は敵味方50万の大軍で埋まる。連戦7年1代の軍師孔明もついに五丈原に散る。――群雄相剋、生々動流の相を描く古今の絶唱。〈全8巻〉

三国志(七)
講談社文庫
武人の権化・関羽は孤立無援の麦城に悲痛の声を残して帰らぬ人となった。また往年の白面郎曹操も静かな落日を迎え、同じ運命は劉備玄徳の上にも……。幾春秋、戦塵に競い合ったさしもの英雄も、ついに相次いで仆れ、3国の均衡はにわかに破れた。――中国大陸に動乱の一世紀を戦った群雄の挽歌。〈全8巻〉

鷹ノ羽の城
講談社文庫
大友義鑑のいたずら心から、肥後の巨漢武将と南蛮女との間に、子が生まれた。容貌のため人鬼と称された彼は、父から嫌われ、周囲から怖れられつつ、堂々たる偉丈夫に成長する。彼が合戦の先頭に立つと、敵はその迫力に逃げ腰となった。怪異な容貌と優しい心をもつ武士の数奇な人生を描く、ユニークな異色歴史小説。

愛しき哉
講談社文庫
恋に破れた長女、姉の許婚者にひそかな想いを寄せる次女、陰影の濃い男性にプロポーズされた三女、そろって青春の岐路に立った可愛い三人娘に、父親はとまどう。不憫な思いをさせたくない親心とは裏はらに、嫉妬、背信に苦しむ母を知らない娘たち。それを優しく抱く父の心を、あますところなく描いた傑作長編。