講談社文庫作品一覧

学生街の殺人 新装版
講談社文庫
「理由を知りたいだけなんだ」
毎週火曜日にいなくなる
恋人の足跡を追う。
この街には、あらゆる過去が埋まっていた。
切なく胸を打つ
東野圭吾の一冊完結ミステリー
☆☆☆
学生街のビリヤード場で働く男が殺された。
過去を隠し偽名で働いていた彼の同僚だった光平は
疑われ、警察の捜査を受ける。
一週間後、恋人の広美もエレベーターで殺された。
続発する殺人の謎、
火曜日に必ず姿を消していた広美は何者だったのか。
すべては学生街の青春のなかにある。
一冊完結の傑作ミステリー。

籠城忍 上田城攻防戦
講談社文庫
真田親子が徳川軍を2度とも撃退した上田合戦。その籠城戦で真田忍者たちはどんな活躍をしたのか。書下ろし歴史小説シリーズ第2弾!
寡兵の真田軍が徳川の大軍を二度にわたって撃退したことで有名な上田合戦。最初の戦いは天正13年(1585年)のこと。上野の沼田領をめぐってその地の国人である真田昌幸と、徳川家康が対立する。上杉と北条、徳川の三大勢力が接する東信濃から西上野にかけて領土を得ていた昌幸は、属していた徳川の命令に反発し、それを拒むどころか上杉に主を乗り換えたのだ。家康は大軍の遠征を決意するが、その前に真田の本拠の上田城への潜入を、伊賀者の棟梁・服部半蔵に命じた。片や出浦対馬守率いる真田の忍の軍団・三ツ者が、昌幸の命によって上田城下の守りに入った。真田1700と徳川7000の激突に先駆けて、三ツ者vs伊賀忍者、佐助と才蔵vs服部半蔵の暗闘が始まった……。

うるうの朝顔
講談社文庫
「そうやってズレたまま生きていくの?」
たった一秒が、あなたを変える。未来へ踏み出す一歩となる。
奇跡の花と不思議な青年をめぐる再生の物語。
生きていくうちに心も世界も少しずつズレていく。
この物語は、あなたのズレを優しく整えてくれる。
――凪良ゆうさん
心の霧を晴らしてくれる、人生のヒントが詰まった物語です。
――けんごさん
綿来千晶は、息子に手を上げた夫と離婚したばかりで鬱々とした日々を過ごしていた。彼女は、偶然入った霊園事務所で日置凪という青年に出会う。
親しみやすく価値観の合う凪に、ぽつぽつと悩みを打ち明けると、「ひとつだけ、おとぎ話をさせてください。」と「うるうの朝顔」という不思議な朝顔の種を取り出した。
なんでもその花を咲かせると、現実とはほんの少しだけ変わった過去をもう一度体験でき、その瞬間から始まっていた心の「ズレ」が直るという。
その夜、千晶には、姉が父に殴られた日の記憶がよみがえり……。
第17回小説現代長編新人賞受賞作!
![ムーミン谷の仲間たち [新版]](https://dvs-cover.kodansha.co.jp/0000414905/adGsXiBhRoAogpIwGvH68V30ZqY4srHbU06NDnXm.jpg)
ムーミン谷の仲間たち [新版]
講談社文庫
「あんまりだれかを崇拝すると、本物の自由はえられないんだぜ。そういうものなのさ」
自由と孤独を愛するスナフキンは、はい虫にまとわりつかれて腹を立てますが、名前をつけてあげた、はい虫が去ってしまうと……(「春のしらべ」)
「ママ! パパ! ちびが食べられちゃったよう」
うそをつくのが止まらないホムサは、ちびのミイにこっぴどくだまされて……(「ぞっとするはなし」)
(ついに来たのよ。とうとう、なにもかもが最悪になるんだわ)
理由のない恐怖におびえるフィリフヨンカ。ついに、ほんとうに嵐がやってきて……(「この世のおわりにおびえるフリリフヨンカ」)
「人はおどされてばかりいると、だんだん姿が見えなくなっちゃうものでしょ?」
おばさんに皮肉をいわれつづけて姿が見えなくなってしまったニンニ。ムーミンママを助けようと怒ったときに……(「目に見えない子」)
だれかとの出会いによって、ムーミン谷の生きものたちが自由と自分らしさを取りもどす、9つのお話。
『ムーミン谷の仲間たち(原題 DET OSYNLIGA BARNET)』は1962年に発表された作品で、原題は「見えない子ども」というような意味になります。発表された順番だと6番めのムーミンのお話になり、全9冊のなかで唯一の短編集です。
ながく愛読されてきた児童向けのハードカバー版「ムーミン童話集」(1990年初版 全9巻)の改訂版「ムーミン全集[新版]」が2019年より刊行されました。スナフキンの「ランドセル」を「リュック」、「大きな洋服だんす」を「クローゼット」にするなど、いまの言葉にあわせた、より読みやすいムーミンの物語になりました。
講談社文庫では、1978年からムーミンの物語をご紹介してきました。本書は、2025年ムーミン誕生80周年記念として、2020年の改訂版のテキストにあらためた[新版]です。トーベの手になる美しい挿絵とともに、ムーミンの物語をお楽しみください。
《収録》
解説……山室 静
ムーミン谷の魅力6『ムーミン谷の仲間たち』だれにも、変わる、瞬間がある……冨原 眞弓
*この本は『ムーミン全集[新版]6 ムーミン谷の仲間たち』(2020年講談社刊)の文字づかい等を改めたものです。
*中学生以上漢字にふりがな
(C)Moomin Characters (TM)
![ムーミン谷の冬 [新版]](https://dvs-cover.kodansha.co.jp/0000414904/x2j0hGawSUMoAHZyPbMjDoup2PYwCdgomoqGMWLi.jpg)
ムーミン谷の冬 [新版]
講談社文庫
「もうこの世界は、ムーミンが生きるところじゃなくなったんだ」
春がこないうちに、冬眠からひとり目ざめたムーミントロール。
はじめて見る、まっ白な雪、生きものの音がひとつもしない、止まってしまった世界に絶望します。
せっかく出会った、ちびのミイは、ママのおぼんでスキーを満喫していて、相手にしてくれません。
パパの水あび小屋に住む、なぞめいたトゥーティッキ、ムーミントロールのご先祖さま、美しくも恐ろしい氷姫など、冬の世界のいきものたちは、「わけがわからない、へんなやつだらけ」。
ついには、食べものがなくなったむこうの谷から、おおぜいの生きものがムーミンママのジャム倉庫めざしてやってきて――。
さあ、春はやってくるのでしょうか?
『ムーミン谷の冬(原題 TROLLVINTER)』は1957に発表された作品で、原題は「トロールの冬」という意味です。発表された順番だと5番めのムーミンのお話になります。
ながく愛読されてきた児童向けのハードカバー版「ムーミン童話集」(1990年初版 全9巻)の改訂版「ムーミン全集[新版]」が、2019年から2020年にかけて刊行されました。人気の登場人物である「おしゃまさん」を「トゥーティッキ」に、冬眠するムーミンたちがおなかにつめこむ「松葉」を「モミの葉」に、「せともののストーブ」を「タイルストーブ」にするなど、いまの言葉にあわせた、より読みやすいムーミンの物語になりました。
講談社文庫では、1978年からムーミンの物語をご紹介してきました。本書は、2025年小説ムーミン誕生80周年記念として、2020年の改訂版のテキストにあらためた[新版]です。トーベの手になる美しい挿絵とともに、ムーミンの物語をお楽しみください。
《収録》
解説……山室 静
ムーミン谷の魅力 5『ムーミン谷の冬』トロールのサーガ、または「冬もまた楽し」……冨原 眞弓
*この本は『ムーミン全集[新版]5 ムーミン谷の冬』(2020年講談社刊)の文字づかい等を改めたものです。
*中学生以上漢字にふりがな
(C)Moomin Characters (TM)
![ムーミン谷の夏まつり [新版]](https://dvs-cover.kodansha.co.jp/0000414903/UvwJ2EIABVQbAlyxdWQrUrbq27wkfXQn0LWomgzr.jpg)
ムーミン谷の夏まつり [新版]
講談社文庫
ジャスミンの香りにつつまれた6月の美しい午後、火山の噴火がムーミン谷をおそいます。
洪水がおしよせてきて、ムーミン一家は、流れてきた大きなおかしな家に移り住むことに。
なんとそれは、 ”劇場”でした!
舞台監督フィリフヨンクの妻、エンマにおそわりながら、劇を知らないムーミン一家は、自分たちで芝居をやってみることに。
ムーミントロールやスノークのおじょうさんが逮捕されたり、ちびのミイと24人の子どもたちがスナフキンにひろわれたり。
さあ、手にあせにぎる夏至の大冒険がはじまります――!
『ムーミン谷の夏まつり(原題 FARLIG MIDSOMMAR)』は1954年に発表された作品で、原題は「おそろしい夏まつり」という意味です。発表された順番だと4番めのムーミンのお話になります。
ながく愛読されてきた児童向けのハードカバー版「ムーミン童話集」(1990年初版 全9巻)の改訂版「ムーミン全集[新版]」が2019年に刊行されました。「しあげの練習」を「リハーサル」、「頭のまげ」を「結った髪」、「うす絹」を「チュール」にするなど、いまの言葉にあわせた、より読みやすいムーミンの物語になりました。
講談社文庫では、1978年からムーミンの物語をご紹介してきました。本書は、2025年小説ムーミン誕生80周年記念として、2019年の改訂版のテキストにあらためた[新版]です。トーベの手になる68点もの挿絵とともに、ムーミンの物語をお楽しみください。
《収録》
解説……下村隆一
ムーミン谷の魅力 4『ムーミン谷の夏まつり』この世は舞台、ひとはみな役者……冨原 眞弓
*この本は『ムーミン全集[新版]4 ムーミン谷の夏まつり』(2019年講談社刊)の文字づかい等を改めたものです。
*中学生以上漢字にふりがな
(C)Moomin Characters (TM)

アルツ村 閉ざされた楽園
講談社文庫
DVから逃れた女性が迷い込んだのは、高齢者だけが身を寄せ合って生きる山奥の村だった──現役医師作家のメディカル・サスペンス!
夫のDVに耐えかねて札幌の自宅を飛び出した明日香は、道北の見知らぬ村にたどり着いた。7歳になる娘のリサといっしょに。村で匿ってくれたのは修造という高齢男性と、床に臥すハツの夫妻だった。修造は認知症なのか、明日香のことを孫娘と勘違いして「なっちゃん」と呼ぶ。近隣の住民からも温かく迎えられた明日香親子であったが、この村は何かがおかしい。住民は皆高齢で、しかもほぼ全員が認知症を患っているように思われるし、そもそも自立した生活が成り立っていないようなのだ。村まるごとが高齢者用施設ということなのか。老老介護、ヤングケアラー、介護破綻……日本における「認知症のいま」を問う問題作。そして衝撃のラスト!

氷柱の声
講談社文庫
語れないと思っていたこと。
言葉にできなかったこと。
東日本大震災が起きたとき、伊智花は盛岡の高校生だった。
それからの10年の時間をたどり、人びとの経験や思いを語る声を紡いでいく、著者初めての小説。
第165回芥川賞候補作。

数学の女王 道警 沢村依理子
講談社文庫
江戸川乱歩賞受賞作『北緯43度のコールドケース』シリーズ!
爆弾魔の真のターゲットは?
博士号を持つ異色の警察官が札幌で発生した爆破事件に挑む。
「伏尾美紀は日本の警察小説を変える作家になるのかもしれない」杉江松恋(解説より)
圧倒的ストーリーテリング。骨太の警察ミステリー。
札幌の新設大学で発生した爆破事件。
博士号を持つ警察官・沢村依理子が捜査に加わる。
公安との駆け引きの中で進む捜査は行き詰まり、沢村に特命捜査の命が下される。
爆弾魔の真の目的は?
かつて研究者として大事な人を失った過去を持つ沢村は、事件の真相に迫る。
乱歩賞受賞作家による骨太警察ミステリー。

二重らせん(下) フジテレビとテレビ朝日 欲望のメディア
講談社文庫
フジテレビのオーナーとなった鹿内家だが、突然のクーデターによって鹿内宏明が放逐され、
日枝久による支配体制が確立される。しかし、その後も、フジの親会社・ニッポン放送株の
10%を握る鹿内宏明の存在が、日枝に重くのしかかった。
それを振り払うためのニッポン放送、フジテレビの上場が、思わぬ「簒奪者」を呼び込むことになる――。
絡み合うようにうごめく二つの「欲望のメディア」。
膨大な内部資料を入手し、その相貌を赤裸々にする。
第四章
簒奪者の影
「上場請負人」の退場
ITバブルのあだ花
堀江貴文とフジサンケイの接点
会社員の枠をはみ出した男
「納期が遅れたら命を貰う」
「改革の旗手」と通産官僚
村上世彰のルーツ
失敗に終わった「前哨戦」
「グリーンメーラー」という批判
プロジェクト・プラネット
一一八五億円もの売却益
「放送」の特権に風穴を開ける
村上のニッポン放送訪問
フジテレビの「露払い」を演じる
第五章
争奪戦
膨れ上がる「失念株」
「お宝をどうするのか」
村上の「両面作戦」
産経新聞会長・羽佐間の本心
「ただ儲けるだけ」ではダメだ
四人だけのチーム
堀は埋められた
十二年ぶりの極秘会談と秘密交渉
グループ内部の溝と断絶
「出口探し」に焦る村上
屈辱の株主総会
潰れた「三木谷カード」
堀江貴文の挑戦
「もう会うのは止めよう」
村上世彰の新たな策略
「ニッポン放送はなくなってしまいますよ」
謀略に次ぐ謀略
「彼はやりすぎだな」
ホワイトナイトの登場と終戦
アナウンサーはなぜ自殺したか
第六章
亡者の群れ
阪神タイガースという禁断の果実
潜行取材する司法記者
鹿内家の孫の入社
「絶対、天罰が下る」
エピローグ

二重らせん(上) フジテレビとテレビ朝日 欲望のメディア
講談社文庫
フジテレビとテレビ朝日は1959年、日本テレビ、TBSに続く民放テレビ第三局、第四局として産声をあげた。
テレビ局が「カネのなる木」だということが明らかになるにつれ、多くの政商、旧軍人、メディア企業、政治家たちが群がった。なかでもフジ、テレ朝の2社に深く食い込んだのが、出版社「旺文社」を経営する赤尾好夫である。
自らが支配するラジオ局文化放送を通じて両社の株を握り、テレビ朝日では東映社長の大川博を追い出し、経営権を握った。
その息子・赤尾一夫もテレビ朝日の大株主として独特の存在感を発揮、さらにマネーゲームへと狂奔していく。
テレビの系列化に乗り遅れた朝日新聞はその間隙をつき、テレビ朝日を支配しようともくろむ。
一方のフジテレビのオーナーとなった鹿内家だが、突然のクーデターによって鹿内宏明が放逐され、
日枝久による支配体制が確立される。
しかし、その後も、フジの親会社・ニッポン放送株の10%を握る鹿内宏明の存在が、日枝に重くのしかかった。
それを振り払うためのニッポン放送、フジテレビの上場が、思わぬ「簒奪者」を呼び込むことになる――。
絡み合うようにうごめく二つの「欲望のメディア」。
膨大な内部資料を入手し、その相貌を赤裸々にする。

本格王2025
講談社文庫
本格ミステリを愛するプロが選ぶ、傑作ミステリ短編集!
今年イチオシの「謎」はこれだ!
☆☆☆
目次
序 本格ミステリ作家クラブ会長 麻耶雄嵩
「速水士郎を追いかけて」真門浩平
「概念探偵」潮谷験
「スティームドラゴンの奇走」霞流一
「縄、綱、ロープ」青崎有吾
「放送部には滅ぼせない」坪田侑也
「誰も読めない」白井智之
解説 乾くるみ
☆☆☆

イデアの影 The shadow of Ideas
講談社文庫
この世は、すべて幻なのです。
現実なんてものはない。
ただ、映っている影だけが見える。
そうではありませんか?
薔薇のパーゴラのある家で、「彼女」は支配的な夫と家政婦と静かな三人暮らしの日々を送っていた。
夫が紹介する英語の家庭教師として、下宿人として、彼女の庭を、彼女の夢を、訪れては去ってゆく男たち。
彼らの死という現実を手放し、幻想とのあわいに生きるうちに、
彼女の心はゆっくりと静かに、躰から離れていく。
比類なき幻想恋愛小説。

楽園のアダム
講談社文庫
大災厄により人類は1%未満まで減少、地球上のほとんどが不浄の土地となってしまった。生き残った人々は、わずかに残った土地で人工知能カーネにより生活を制御され、平和に暮らしていた。”殺人”などとは無縁の世界、のはずだったーー。
〈書評家、驚愕〉
(吉田伸子さん)
一読驚愕、再読感服!
1000年後の地球を舞台にして問われる人間の本質。
物語に張り巡らされた小さな棘は、やがて鋭利な刃となって
読み手の旨に突き刺さる。
(吉田大助さん)
世界文学の動向と呼応する、本格ミステリーにして本格にディストピア・ロマンス。
真相が開示された瞬間、自分の内なる先入観や思い込みの存在に気付き、
打ちひしがれた。大傑作。
(円堂都司昭さん)
人類が暴力抜きで平和に暮らせる条件とはなんなのか。
この物語世界が示す解答にショックを受ける一方、
自分は知らないふりをしていただけかもしれないと思った。

心霊探偵八雲4 完全版 守るべき想い
講談社文庫
「ぼくに近づくと
みんな死ぬんだ」
学校で起きた人体自然発火現象。
炭化した死体は、左手だけが無傷だった。
読むなら今!
累計750万部特殊設定ミステリー
ーーー
学校プールで男が謎の焼死を遂げた。
教育実習生となった晴香は、
幽霊に怯える小学生の証言を追う末に、
焼死事件の第一発見者となってしまう。
周囲に延焼せず左手だけ燃え残った異常現象。
八雲は、二十八年前の火災が事件に関係していることに気づくが、
その頃晴香に危機が迫る。
特殊設定ミステリー最新作。

私と弟のにじいろの幸せ
講談社文庫
普通の幸せって、何?
小説現代長編新人賞『檸檬先生』で鮮烈デビュー!
Z世代の新鋭が描く、切なさと温かさに満ちた青春&家族小説!
東京で大学生活を謳歌していた茂果は、友人の由紀からあるアニメを布教される。
柔らかな表情、手描き感のあるタッチ、自然な体重表現、甘い雰囲気の色使い、繊細な塗り。紹介された絵師のイラストは、弟の穂垂が描いたものだった。
Twitterの裏アカウントでBL作品を創作し、普段から異性との恋愛話をしない穂垂に対して、茂果は同性愛者なのではないかと考え、やがて過干渉してしまう。境界の曖昧さ、線引きの難しさを、姉弟の視点から見つめ直す。
小説現代長編新人賞受賞後第一作

北斎殺人事件 新装版
講談社文庫
ボストン美術館で殺された老日本人画家とは何者か。一方日本では、謎の生涯を送った浮世絵師葛飾北斎の正体に迫ろうと研究家たちが資料を追う。北斎は陰密だった? 日本とアメリカを結ぶキーはどこか? 『写楽殺人事件』に続く浮世絵推理の傑作。日本推理作家協会賞受賞作。

SAT-light 警視庁特殊班
講談社文庫
SATを出すまでもないが警官には危険と思われる、凶悪事件に発展しそうな事案を担当する組織が新設された──新・警察ミステリー誕生!
警視庁特殊班は新設部署である。庁内では「SAT-light」と呼ばれている。SATやSITなどの特殊部隊が出動するまでもないが、一般の警察官が対処するには危険すぎる事案を担当する。具体的には、カジノや裏風俗店への着手支援、一般人の身辺保護、反社会勢力の組織の摘発などだ。そんな特殊班が今回出動したのは、都内で起きた地下アイドルへのストーカー案件。生活安全課ストーカー対策室からの要請を受け、対象女性の保護に出向いたものだった。ナイフを向けて保護対象に接触しようとした被疑者を班員が無事確保。ミッションは完了したかに思われた。だが、被疑者の自供から芸能事務所による「管理売春」の疑惑が持ち上がる。SAT-lightは真相究明に乗り出すことになった……。

現代生活独習ノート
講談社文庫
「リフレッシュ休暇をもらったが、もはや私にはリフレッシュする気力自体が残っていなかったのだった。」
入社希望の学生のSNSチェックに疲れ果てた会社員。代々続く母と娘の台所戦争。遅れても許せてしまうことが美点のロバによる配送サービス……。膨大な情報の摂取と判断に疲れてしまった現代人の生活に寄り添うやさしさと、明日を生きるための元気をくれるユーモア満載! 味気ない日々をゆるゆると肯定し、現代人の張りつめた心をゆるめる短編集。
「もう何もしたくないという切実な本音に寄り添ってくれる稀有な小説」――金原ひとみ
本屋大賞2位『水車小屋のネネ』、Xで何度もバズった芥川賞受賞作『ポトスライムの舟』など、
書店&SNSで話題を集める著者による、「脱力系」日常譚の真骨頂!

vs.井上尚弥 怪物に出会った日
講談社文庫
あの日、命を懸けたーー。
「ある意味、満足だった。それは自分を下した男が最高の男だったから」
――ファンカルロス・パヤノ(文庫特別書き下ろし章より)
井上尚弥に挑み、敗れ去った男たちの生き様を描いた
第34回ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞作!
リング上で体感した井上尚弥の強さとは何か。闘った後の人生はどう変わったのか。怪物に挑んだ者しか知らない真実を追い、米国、メキシコ、アルゼンチンへ。執念の取材と誇り高き敗者たちの言葉が織り成す、極上のスポーツノンフィクション!(『怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ』改題)
【本書の内容】
プロローグ
第一章 「怪物」前夜(佐野友樹)
第二章 日本ライトフライ級王座戦(田口良一)
第三章 世界への挑戦(アドリアン・エルナンデス)
第四章 伝説の始まり(オマール・ナルバエス)
第五章 進化し続ける怪物(黒田雅之)
第六章 一年ぶりの復帰戦(ワルリト・パレナス)
第七章 プロ十戦目、十二ラウンドの攻防(ダビド・カルモナ)
第八章 日本人同士の新旧世界王者対決(河野公平)
第九章 ラスベガス初上陸(ジェイソン・モロニー)
第十章 WBSS優勝とPFP一位(ノニト・ドネア)
第十一章 怪物が生んだもの(ナルバエス・ジュニア)
エピローグ
第十二章 あの日書けなかった七十秒の真実(ファンカルロス・パヤノ)
文庫版エピローグ
【著者略歴】
森合正範(もりあい・まさのり)
1972年、神奈川県横浜市生まれ。東京新聞運動部記者。大学時代に東京・後楽園ホールでアルバイトをし、ボクシングをはじめとした格闘技を間近で見る。卒業後、スポーツ新聞社を経て、2000年に中日新聞社入社。「東京中日スポーツ」でボクシングとロンドン五輪、「中日スポーツ」で中日ドラゴンズ、「東京新聞」でリオデジャネイロ五輪や東京五輪を担当。雑誌やインターネットサイトへの寄稿も多い。本書で第34回(2023年度)ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞。