日本仏教の思想

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日本仏教の思想

ニホンブッキョウノシソウジュヨウトヘンヨウノセンゴヒャクネンシ

講談社現代新書

この世界は「空」か、「真実の姿」か? 日本仏教は何を求め、伝来(インド・中国)仏教の何を捨てたか? 最澄、空海、法然、道元、日蓮ら知のスーパースターたちの思索を辿り、日本仏教の核心に迫る。

日本仏教は何を問題にしたか――日本仏教の主眼は、世界観の構築にらなかったのである。日本仏教が問題としたのは、感官の対象としての色蘊つまり物質世界が、人間の心的世界にとってどのような価値をもつかということであった。インドの仏教徒にとっては、色蘊は人間の感官の対象にすぎないのであり色蘊にどのような意味が付せられるかはあまり問題とはならなかった。重要なのは、あくまで感受し、意欲を持ち、認識する主体であったからだ。一方、日本仏教にあっては、認識主体の重要性もさることなから、眼前に見ることのできる月や花や雲というすがたの色蘊が、われわれにどのような意味、価値、力を投げかけてくるかということが重要であった。われわれ日本人は、道端に咲く一輪のタンポポを見るとき、その一つの花に宇宙を見てしまう。「その花が、世界の構造の中でどこに位置するのか」などとは問わないのである。――本書より


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目次

●人も自然も仏性をもつ
●日本仏教は何を問題にしたか
●日本仏教史の巨人、最澄と空海
●中国哲学の摩訶不思議な論理
●曼茶羅と世界の構造
●民衆の中へ――鎌倉仏教という展開
●「南無阿弥陀仏」という方法
●狸や狐がいるだけだ
●日本仏教が欠いた知のシステム
●仏教思想のもつ可能性

書誌情報

紙版

発売日

1995年06月16日

ISBN

9784061492547

判型

新書

価格

定価:792円(本体720円)

通巻番号

1254

ページ数

230ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介

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