濁った激流にかかる橋

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電子あり

濁った激流にかかる橋

ニゴッタゲキリュウニカカルハシ

講談社文芸文庫

激流によって分断された町の右岸と左岸。それをつなぐ唯一の異形の橋。かつての小川は氾濫をくり返し、川幅は百倍にもなり、唯一の橋は拡張に拡張を重ね、その全貌を把握できぬほどの複雑怪奇さを示す。そして右岸と左岸にはまったく気質の異なる人々が住む。この寓話的世界の不思議な住民たちの語る9つの物語。諧謔的かつ魔術的なリアリズムで現代の増殖する都市の構造を剔抉した読売文学賞受賞作。


寓話的都市の崩壊と再生。

激流によって分断された町の右岸と左岸。それをつなぐ唯一の異形の橋。かつての小川は氾濫をくり返し、川幅は百倍にもなり、唯一の橋は拡張に拡張を重ね、その全貌を把握できぬほどの複雑怪奇さを示す。そして右岸と左岸にはまったく気質の異なる人々が住む。この寓話的世界の不思議な住民たちの語る9つの物語。諧謔的かつ魔術的なリアリズムで現代の増殖する都市の構造を剔抉した読売文学賞受賞作。

笙野頼子
壊れているのだけれど形は元のまま。生きた本当の人間を渡さない橋。新しい文学や時代意識を阻む、分かりやすいけれど嘘だらけの、改良しようとすると抑圧される、そんな橋であった。それは「上から見た国家視点で書く現実世界」とか「マジョリティのためにある真実」を渡すための「マスコミ言語的」愚民橋である。渡れるのはマッチ棒大の人形のみ。格差社会を繋ぎ、難解で恨みに満ちた現実の激流を越えて渡れるような、そんな新しい橋は、まだまだ遠い。――<「解説」より>


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書誌情報

紙版

発売日

2007年07月12日

ISBN

9784061984820

判型

A6

価格

定価:1,650円(本体1,500円)

ページ数

400ページ

シリーズ

講談社文芸文庫

電子版

発売日

2016年03月11日

JDCN

0619848200100011000K

初出

底本:講談社刊『濁った激流にかかる橋』(’00年7月)。

収録作品

  • 作品名

    濁った激流にかかる橋

    初出

    初出:『群像』’97年10月号

  • 作品名

    泥水の激流の右岸に住むさいづち頭の子孫

    初出

    初出:『群像』’98年7月号

  • 作品名

    霧のかかる騒がしい橋からのひそやかな墜落

    初出

    初出:『群像』’98年10月号

  • 作品名

    ドエル・リバーサイドのひとりぼっちの幽霊

    初出

    初出:『群像』’99年1月号

  • 作品名

    橋の上で赤い銅貨のような光を浴びる女

    初出

    初出:『群像』’99年5月号

  • 作品名

    かの有名な氾濫原のバレリーナとその子孫

    初出

    初出:『群像』’99年7月号

  • 作品名

    恋と市長と水しぶきのかかる橋

    初出

    初出:『群像』’99年11月、12月号

  • 作品名

    公式記録による世界でもっとも美しい激流

    初出

    初出:『群像』’00年2月号

  • 作品名

    伝令、激流にかかる橋を征服する

    初出

    初出:『群像』’00年5月号を大幅に改稿

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