
マイページに作品情報をお届け!
朝の歓び(下)
アサノヨロコビ
- 著: 宮本 輝

生きてるってことは、朝。夜はいつか、朝になる。
かけちがえたボタンを外そう──良介の言葉に、日出子は両手を広げて答えた……「じゃあ、全部外して」
「奥さんが死んで、私に逢いに来た。そう思ったとき、血がたぎったの」「どうして?」「うんと困らせてやろうって気持ちが半分。やっぱり私を忘れられなかったんだって歓びが半分。どっちも、女にとったら、眠ってた血がたぎるようなことよ」日出子は、体をゆっくり動かして、自分の胸から上を、良介の腕の下にもぐり込ませた。
書誌情報
紙版
発売日
1994年04月11日
ISBN
9784062069861
判型
四六
価格
定価:1,495円(本体1,359円)
ページ数
326ページ
初出
日本経済新聞朝刊平成4年9月14日~平成5年10月17日