高杉晋作(下)

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高杉晋作(下)

タカスギシンサク

文芸(単行本)

《限りなく哀れな生死》
薩摩土佐、ともに美しからず!日本の国際化する瞬間に着目し、忠臣蔵をしのぐダイナミックな歴史と傑出した個人を描く傑作!

居間と客間と、わずか2部屋の狭い家に2人は起居を共にした。滞留が7日8日と過ぎた頃、布団を並べて寝た望東尼(もとに)は、晋作に問いかけた。「筑紫の旅で、何か得るところがありましたか」「さよう……世間、というものを知ったことかな」「世間の冷たさ、でしょうか」晋作は寝返りをうった。望東尼の白い顔が闇の向こうにあった。「世間を相手に一喜一憂しても始まらない。要は時勢を動かすこと。世間は長州の勢いで動く」望東尼は、晋作を見つめていた。この絶望の底で、何という不敵な……。──人は困ってはいけない。困ったと思うだけで何の考えも浮かばなくなる。人の仕出かした事態が、人の智恵で打開できぬ筈がない。「では……あなたも、死物狂いなのですね」──本文から


書誌情報

紙版

発売日

1994年11月14日

ISBN

9784062073646

判型

四六

価格

定価:1,602円(本体1,456円)

ページ数

262ページ

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