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影十手活殺帖
カゲジッテカツサツチョウ

遂に出た、新ヒーロー!
逃げ来たる女の背後にひそむ謎。青年和三郎の正義感と野村市助のユニークな眼差が光る新しい時代ミステリーの秀作!
石段の尽きるところに、樟の大樹が生えている。その樹下に佇む頬被りの女のもとへ、どうやら男は歩をすすめているようだ。男が石段をのぼりきると、女は頬被りをとった。
投島田の髷に縁取られたおもては、なかなかに美しいが、どこか妖しげに崩れたところがある。堅気の女ではあるまい。
「小春ゆうのは、あんさんか」
男の口調は苛立っている。
「よう来てくれはりましたなあ、紙治はん」
小春とよばれた女は、頭をさげた。
「馴れ馴れしゅうよばんといてんか。こっちは、あんさんがどこの何者んや知らんのさかいな」
「北の新地の女におます」――「入聟菊之丞」から
書誌情報
紙版
発売日
1999年06月11日
ISBN
9784062097406
判型
四六
価格
定価:1,980円(本体1,800円)
ページ数
274ページ
初出
収録作品参照
収録作品
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作品名初出
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作品名
血煙因縁坂
初出
『季刊歴史ピープル』1998年陽春号
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作品名
白浪反魂丹
初出
『季刊歴史ピープル』1998年盛夏号
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作品名
冬霞妻敵討
初出
『季刊歴史ピープル』1998年盛秋号
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作品名
忠臣徒名草
初出
『季刊歴史ピープル』1999年新春号
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作品名
入聟菊之丞
初出
著者紹介
解説: 中島 誠(ナカシマ マコト)