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恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白
ハジサラシホッカイドウケイアクトクケイジノコクハク
- 著: 稲葉 圭昭
北海道警察は稲葉だけを“悪徳刑事”に仕立てることで組織を防衛した。当時の道警幹部のうち何人が稲葉を非難できるというのか。彼らは稲葉が上げてくる拳銃摘発の実績を失うのが怖かったのか、または道警の組織的ダメージを考えると手が出なかったのか、そのいずれかの理由で、稲葉の“暴走”を見て見ぬふりをしてきたのだ。あれから9年、警察は何も変わってはいない。今こそ、全国の警察は稲葉の話に耳を傾けるべきではないか。
犯罪者へ転落した「エース刑事」の懺悔。
9年の服役後、腐敗した警察組織のすべてを明かす。
圧倒的迫力のクライム・ノンフィクション。
2000年4月、莫大な量の覚醒剤が北海道函館新港に運ばれた。その量130キロ、末端価格にして約40億円。“密輸”の手引きしたのは、北海道警察銃器対策課と函館税関だった――。
根っこまで腐りきった道警が日常的に犯してきた違法捜査の数々。ガサ状なしの家宅捜索、クビなし拳銃の押収、おとり捜査、やらせ逮捕。そして、彼らが行き着いたのは、覚醒剤の“密輸”だった。「銃対のエース」ともてはやされ、上司の指示の下、数多くの違法捜査に手を染めた著者は、最後には警察組織に裏切られ、覚醒剤の魔力に魅せられていく。
2002年7月、著者は覚醒剤の使用をエス(=情報提供者)に告発され、逮捕される。道警史上初となる現役警部の逮捕によって、“道警の闇”が次々と明るみに出た。これが、北海道警察のみならず、全国の警察組織を震撼させた「稲葉事件」だ。捜査の過程では著者の元上司と告発したエスの二名が自殺。問題の根の深さがあらゆるメディアで報道された。
数多くの警察小説やノンフィクション作品のモチーフとなった「稲葉事件」の当事者が、9年の服役を経て、新事実とともにそのすべてを告白する。
目次
序章
第一章 機動隊 柔道特別訓練隊員
第二章 暴力団捜査
第三章 クビなし拳銃
第四章 銃器対策のエース
第五章 エス――情報提供者
第六章 警察庁登録五〇号事件
第七章 違法捜査
第八章 泳がせ捜査――道警が関わった覚醒剤一三〇キロ密輸
第九章 薬物密売
第十章 逮捕
第十一章 法廷での告白
終章
書誌情報
紙版
発売日
2011年10月07日
ISBN
9784062172691
判型
四六
価格
定価:1,870円(本体1,700円)
ページ数
266ページ
著者紹介
(いなば・よしあき) 1953年北海道生まれ。大学卒業後、北海道警察に「柔道特別訓練隊員」として採用され、機動隊に配置される。以後、機動捜査隊、札幌中央署刑事二課、北見署、旭川中央署、道警本部銃器対策課に勤務し、警部に。「銃器対策のエース」と呼ばれ、銃器対策課で押収した拳銃は100丁以上に上る。2002年、覚せい剤取締法違反(使用・営利目的所持)、銃刀法違反で逮捕、懲役9年を宣告される。2011年9月23日、刑期満了。