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悪足掻きの跡始末 厄介弥三郎
ワルアガキノアトシマツヤッカイヤサブロウ
- 著: 佐藤 雅美

兄、都築孝蔵は六百五十石取りだが、親重代の借金があってゆとりはない。弟の弥三郎には、婿養子の口がかかったことはなく、永遠に兄や、兄が死ねば甥の世話になって生きるしかない。幕府役人は公用語に無頓着でかつ無神経だった。俗語をそのまま公用語に使用した。役所の書類に肩書が付されるとき、弥三郎ならたとえば「都築孝蔵厄介」とされた。それに、むっとした弥三郎は、自らの意志で人生を拓きはじめる。
厄介は死ぬまで厄介
たった一人の女さえままにならず
屋敷の片隅で老いさらばえなければなりません
江戸時代、兄もしくは甥の世話になっている者を厄介と呼んだ
旗本都築孝蔵厄介、弥三郎の自由を求めた壮絶なる人生の記
「用心棒の仕事がある。手伝え」
「やばい仕事なのですか」
「やばくはない」
「いただきましょう、その仕事」
兄、都築孝蔵は六百五十石取りだが、親重代の借金があってゆとりはない。弟の弥三郎には、婿養子の口がかかったことはなく、永遠に兄や、兄が死ねば甥の世話になって生きるしかない。幕府役人は公用語に無頓着でかつ無神経だった。俗語をそのまま公用語に使用した。役所の書類に肩書が付されるとき、弥三郎ならたとえば「都築孝蔵厄介」とされた。それに、むっとした。弥三郎は、自らの意志で人生を拓きはじめる。
目次
悪足掻きの跡始末 厄介弥三郎
目次
一章 人別作り
二章 兄嫁の脅迫
三章 眉間の皺
四章 桜と桜銀
五章 三九郎の頼み事
六章 深い闇
七章 光明寺賢海法印の正体
八章 冷たい雨
九章 忠次のお練り
十章 志津に似た女
書誌情報
紙版
発売日
2015年01月20日
ISBN
9784062193399
判型
四六
価格
定価:1,760円(本体1,600円)
ページ数
266ページ
初出
一章~九章…「俳句現代」2000年9月号~2001年5月号。十章…書き下ろし。
著者紹介
昭和十六年、兵庫県生まれ。早稲田大学法学部卒。処女作『大君の通貨』で第四回新田次郎文学賞を受賞。平成六年『恵比寿屋喜兵衛手控え』で第百十回直木賞を受賞する。近著に『知の巨人 荻生徂徠伝』『わけあり師匠事の顛末 物書同心居眠り紋蔵』『関所破り定次郎目籠のお練り 八州廻り桑山十兵衛』。