「あいまいさ」の物理学

世界は、秩序と無秩序が混在する「あいまいさ」に満ちている！
私たち人間が、事物を知覚し、認識する時は、無秩序な刺激の相互作用からある秩序を読みとっている。だが、身のまわりの世界は、一筋縄ではとらえきれない。
対称性とその破れ、情報とエントロピー、量子法則、散逸構造、相転移……。自然界と物質の構造、力の働きとそのふるまい、これらを追究してきた物理学の言葉で私たちの知覚現象を考えると、いったい何が見えてくるのか？
秩序と無秩序の間――「あいまいさ」を鍵に、芸術、音楽までをも視野に入れた、世界の新しいとらえ方に、イタリアの気鋭の物理学者が挑む！

目次

1　あいまいさ――人間と自然構造との文化的関連において
2　自然構造
　　1．分子構造や結晶構造を作る原子のモジュール
　　2．2成分からなる構造――分子中の電子間の化学結合
　　3．2体構造――分子中の電子の力学
　　4．2体構造と情報ビット
3　科学・知覚・芸術における対称性とその破れ
　　1．対称性、保存則、そして運動の恒量――エネルギー演算の特権的役割
　　2．摂動による対称性の破れ、そして原子・分子の力学的構造の再構成
4　エントロピーと情報
　　1．エントロピーと熱力学法則
　　2．エントロピーの統計的意味――無秩序と情報
　　3．エントロピー、秩序、情報、対称性――もっと知識を
　　4．言語・音楽言語・発生言語における情報
5　あいまいさの力学
　　1．あいまい構造の知覚の力学
　　2．対称変換・構造変換は意味を変えるか――詩・音楽・視覚芸術における対称性の破れの役割
6　結論

書誌情報

紙版

• 発売日: 1997年02月20日
• ISBN: 9784062571593
• 判型: 新書
• 価格: 定価：814円（本体740円）
• 通巻番号: 1159
• ページ数: 248ページ
• シリーズ: ブルーバックス

著者紹介

著： ジュゼッペ・カリオティ（ジュゼッペ・カリオティ）

訳： 宮崎　忠（ミヤザキ　タダシ）