絶滅の地球誌

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電子あり

絶滅の地球誌

ゼツメツノチキュウシ

講談社選書メチエ

この地球は今、絶滅の危機に瀕している。毎年5万種の生物が姿を消しているとも言われる現在、地球は六度目の「大絶滅」に突入している可能性が高い。その原因を探るために、一見して無関係に思える「核開発」という主題に取り組む本書は、やがて「ニュー・パンゲア(超大陸)」と呼ばれる現代世界の姿に突きあたり、究極の問いに出会う……。前代未聞のテーマに全身全霊を捧げた著者が現実を直視し、真に思考する驚愕の書!


この地球は、今まさに絶滅の危機に瀕している──。
本書は、この紛れもない事実を直視し、人類の未来を思考しようとするものである。
地球という星は、これまで五回にわたる「大絶滅」を経験してきた。そして、多くの専門家たちが警鐘を鳴らしている。現在、地球は六度目の「大絶滅」に突入しつつある、と。ある研究者によれば、毎年5万種の生物が地球上から姿を消している、そんな前代未聞の事態が今まさに進行している。
その原因は何か?
この問いに答えるために、著者は一見すると無関係な主題に向かっていく。それが「核開発」である。兵器としてのみならず発電のためにも使われる技術を、人間はいかにして生み出し、その現状はどうなっているのか。それを追求していくとき、「ニュー・パンゲア(超大陸)」と呼ばれる状態になった現代世界の姿に突きあたり、まさにその状態こそが「大絶滅」をももたらしているのではないか、という疑念がもたらされる。
では、どうすればよいのか? もしも処方箋を求めるなら、われわれは究極の問いに取り組まなければならないだろう。──「人間は人間自身を選別することができるのか? 生きてよい人間と生きなくてよい人間の分断線を引くことが人間にはできるのか?」
もちろん、簡単には答えられない。ことによると、誰にも答えられない問いかもしれない。だからといって現状を黙認すれば、無数の生物が姿を消し、憎悪を抱えたテロリストが生み出され続ける。
だからこそ、現実を直視すること。そして、むやみに絶望するのではなく、ただ愚直に思考すること。
本書は、前代未聞のテーマに全身全霊を捧げて取り組んだ著者からの、希望に満ちた贈り物である。


  • 前巻
  • 次巻

目次

序章 カエルがいない?
第I部 第六の絶滅
第一章 ニュー・パンゲア
 1 空飛ぶ哺乳類の受難
 2 カエルのいない世界
 3 二つの絶滅率
第二章 絶滅の考古学──キュヴィエの視線の先にあったもの
 1 ジョルジュ・キュヴィエ
 2 断層の向こう側
 3 古生物学の誕生
第三章 第六の絶滅──炭素の意味論
 1 温暖化か寒冷化か
 2 負のフィードバック
 3 正のフィードバック
第II部 第三の実験
第四章 プロメテウスの息子たち
 1 結 集
 2 ロスアラモス国立研究所
 3 人工楽園
第五章 核分裂と核融合
 1 2万トンの意味
 2 投 下
 3 爆 縮
第六章 レオ・シラードと最終兵器
 1 シラードという男
 2 光と放射能
 3 最終兵器
第七章 自然選択と破局の論理
 1 自然選択の世界
 2 ハエの論理学
 閑話休題──基準をかき回す
第III部 世界と未来の対角線
第八章 予測と変動
 1 預言者の不在──一例としての少子高齢化の行く末
 2 人口爆発をめぐるいくつかの推計
 3 二つの絶滅率について
第九章 人為選択の経験と可能性
 1 19世紀における人口爆発の危機
 2 人間による人間の選別は可能か?
第一〇章 自由市場とその継子──行為における「信」と「不信」の構造
 1 売買の憂鬱な機構
 2 カウントされる欲望とカウントされない欲望
 3 預言者の復権
 4 暴力の投射的生産のメカニズム
第一一章 核の宅配便──ドクター・カーンのふしぎな事業
 1 オランダのさまよえるパキスタン人
 2 カーン・ネットワークの興隆
 3 核不拡散システムの欺瞞と陥穽
 4 ネットワークの終わりと未来
 5 核拡散防止条約と非核三原則
終 章 ときを拓く試み
文献一覧

書誌情報

紙版

発売日

2016年11月11日

ISBN

9784062586412

判型

四六

価格

定価:2,200円(本体2,000円)

通巻番号

638

ページ数

368ページ

シリーズ

講談社選書メチエ

電子版

発売日

2016年11月25日

JDCN

0625864100100011000X

著者紹介

著: 澤野 雅樹(サワノ マサキ)

1960年、埼玉県生まれ。明治学院大学博士課程単位取得退学。現在、明治学院大学教授。専門は社会思想、犯罪社会学。主な著書に『癩者の生』(青弓社、1994年)、『記憶と反復』(青土社、1998年)、『数の怪物、記号の魔』(現代思潮社、2000年)、『ドゥルーズを「活用」する!』(彩流社、2009年)などがある。

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