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幽界森娘異聞
ユウカイモリムスメイブン
- 著: 笙野 頼子

彼女、彼女、この故人のこの活字の世界での名をいきなり「森娘」と命名する。本名森茉莉をそのまま使わないのは、私の描いているこの故人が、どう考えても本物の森茉莉とはずれた人物だから。鴎外と志けの娘、では決してないから。私が知っている森娘は、……「贅沢貧乏」という1冊の本の中に住まった1体の妖怪だ。私という作家の雑念と思い違いがそこにこごった、活字の怪でしかない。「作家は死んだ時その本の中に転生する」
声の作家と天才森茉莉
鏡花賞作家2人の言葉のセッション
猫たちを拾った森で、“彼女”に会った。生前は一度も会ったことがなかったのに。文豪の娘にして耽美の祖?! 森茉莉と運命的に遭遇した作家は、様々なイメージに翻弄される。作品の中に生きている彼女、この活字の森の中では「森娘」、と作家の関係性が、うねりながら浮かび上がり、符合する。泉鏡花文学賞受賞作。
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目次
幽界森娘異聞
幽界森娘異聞後日譚
神様のくれる鮨
あとがき──猫達と「彼女」のその後
書誌情報
紙版
発売日
2006年12月15日
ISBN
9784062755894
判型
A6
価格
定価:692円(本体629円)
ページ数
384ページ
シリーズ
講談社文庫
電子版
発売日
2013年10月11日
JDCN
0627558900100011000B
初出
『群像』’00年3月号~10月号。’01年7月に小社より単行本として刊行。