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真幸くあらば
マサキクアラバ
- 著: 小嵐 九八郎

南木野淳は、金欲しさに盗みに入り犯罪の目撃者となった男女を殺害した。刑務所の中で多くの書籍、思想に出会った淳は「新エロイーズ」読書を機に愛についての思考を重ねる。自分の犯行の愚かさを知り、深く罪を自覚した彼は、罪を償うため控訴も取りやめ、死刑が確定する。淳は、教会ボランティアの榊原茜に恋い焦がれるが、茜は被害者男性の婚約者だった……。刑務所のなかの奇蹟のような愛を描く慟哭の純愛小説。(講談社文庫)
衝動殺人で死刑囚となった南木野淳。他の女と寝ていた婚約者を殺された榊原茜。
弁護士の勧めで茜は拘置所の淳を訪ねる。交わるはずのなかった2人は、奇蹟の恋におちた。差し入れの聖書の行間に書き込まれた秘密通信だけが真実を語る。死刑執行までの愛。人が人を裁く意味を深く考えさせる慟哭の純愛小説。
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目次
序 『淳と茜』
第一章 『炎の終りか、はじまりか』
第二章 『虚無の嵩』
第三章 『生の量』
第四章 『殺しの負荷』
第五章 『自分の命を憎まないなら』
第六章 『傷ならぬ傷』
第七章 『眼差しの終着駅』
第八章 『時は、ためらう』
第九章 『時よ、止まれ』
第十章 『癒しの時は遠く』
第十一章 『病のごとく』
第十二章 『触れあわずとも』
第十三章 『屍となるまで』
第十四章 『あ、扉』
終 『なぜわたしを』
書誌情報
紙版
発売日
2009年11月13日
ISBN
9784062765091
判型
A6
価格
定価:901円(本体819円)
ページ数
480ページ
シリーズ
講談社文庫
電子版
発売日
2012年10月26日
JDCN
0627650900100011000T
初出
1998年11月に小社より刊行。
著者紹介
1944年秋田県能代市生まれ。早稲田大学政経学部卒業。『鉄塔の泣く街』(実業之日本社)、『清十郎』(文藝春秋)、『おらホの選挙』(講談社)、「風が呼んでいる」(講談社『いっさい、一妻ブルース』に収録)がそれぞれ直木賞候補に。'95年には『刑務所ものがたり』(文藝春秋)で吉川英治文学新人賞を受賞。新左翼の活動家27人の軌跡を記した『蜂起には至らず 新左翼死人列伝』(講談社)で話題になる。歌集に『おわりとね』(角川書店)、近著に『悪たれの華』(講談社)、『水漬く魂』全五巻(河出書房新社)などがある。