
マイページに作品情報をお届け!
占いと中世人―政治・学問・合戦
ウラナイトチュウセイジンセイジガクモンカッセン
- 著: 菅原 正子

中世の日本人の日常生活では、占いへの需要が非常に多かったのです。中世の政府である朝廷や幕府には官人の陰陽師たちがおり、祈祷や占いをおこないました。彼らは天文学者でもあり、陰陽師の天文占いは西洋占星術とは異なった中国の占星術を用いたもので、政治的な意味がありました。また、戦国時代には、足利学校を中心に易占いが盛んになり、戦国大名たちは占い師を重用して合戦のタイミングを占わせました。
われわれ一般庶民にとって、占いは信じる信じないはともかく、身近で欠かせないものです。新聞や雑誌には西洋占星術や東洋六星術などの運勢占いが載っており、携帯電話やインターネットにはさまざまな種類の占いのサイトがあります。また、正月に神社や寺に初詣に行ったときには、おみくじを引きます。庶民ですら占いは気になる、いわんや一国の指導者においてをや、です。かつてレーガン米大統領(とその夫人)が重要事項の決定にあたって占星術師の助言に頼っていたという話がありました。
中世の日本人の日常生活では、占いへの需要が非常に多かったのです。中世の政府である朝廷や幕府には官人の陰陽師たちがおり、祈祷や占いをおこないました。彼らは天文学者でもあり、陰陽師の天文占いは西洋占星術とは異なった中国の占星術を用いたもので、政治的な意味がありました。また、戦国時代には、足利学校を中心に易占いが盛んになり、戦国大名たちは占い師を重用して合戦のタイミングを占わせました。
本書では、中世の陰陽師や易占いの世界に潜入し、実際の日常生活、政治の世界、合戦の場で占いがどのように活用されたのかを具体的にみていきます。そして、中世人と現代人に共通する心理を探りながら、なぜ中世社会で占いが重視されたのか、また占いを支えたものは何かを考え、さらに占いの底にある思想・文化もみていきます。
- 前巻
- 次巻
オンライン書店で購入する
目次
はじめに
序 章 生活のなかの占い
第一章 朝廷の占い、幕府の占い
1 宮中の占い師たち
2 天皇と御卜
3 鎌倉の怪異
第二章 陰陽師の「家」
1 安倍清明の実像
2 足利義満が好んだ陰陽道
3 若狭国名田荘上村
第三章 天変地異と政治
1 日月と惑星の変異
2 天文密奏
3 彗星・客星と徳政
第四章 儒学と易占い
1 足利学校
2 講義の内容
3 庠主による占筮伝授
第五章 戦国の世と占い
1 武田信玄と占い
2 鬮に神意を問う──島津氏の合戦
3 算木を置く公家──山科家の場合
おわりに
書誌情報
紙版
発売日
2011年02月18日
ISBN
9784062880893
判型
新書
価格
定価:814円(本体740円)
通巻番号
2089
ページ数
240ページ
シリーズ
講談社現代新書
電子版
発売日
2017年01月27日
JDCN
0628808900100011000R
著者紹介
1959年東京都生まれ。東京女子大学文理学部史学科・日本大学法学部政治経済学科卒業、早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程史学専攻修了。博士(文学)。現在、学習院女子大学・川村学園女子大学・成蹊大学・和光大学非常勤講師。専攻は日本中世史・文化史。著書に『中世公家の経済と文化』『中世の武家と公家の「家」』『日本人の生活文化』(いずれも吉川弘文館)がある。