中国春画論序説

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中国春画論序説

チュウゴクシュンガロンジョセツ

講談社学術文庫

中国は「開放的」、日本は「褻視的」である
風水・タオが教える「気」の満ちた空間での情交を夢みた中国人の身体観・宇宙観・肉麻観を読み解く

身体よりも象徴に、絵よりも文字に、性器よりも行為に、肉が麻(むずむず)する中国的感性は、独特の春画世界を創出した。屋外風の場所で、無表情(ニル・アドミラリ)かつ性差不明の男女が交合するのだ。老荘思想、房中術、煉丹術、園林術、纏足愛好、怪異趣味などが織りなす中国春画の不思議な文法(グラマー)とは? 日本、インド、西欧の春画との縦横な比較で、中国的快楽の源泉を探る。

中国美術でいうところの絵画、すなわち山水画、花鳥画、人物画などに、それぞれのグラマーがあるように、「低俗」な春画にもまた、しかるべきグラマーがあるはずだ。グラマーとは、たとえば「中国の山水画には絶えて地平線が引かれたことはない」といった素朴な基本原理(グラマー)のことである。そのグラマーのキーワードは、庭園と肉体にあると、私はかねてから考え、すこしずつ書いてもいた。それらの考えを新たに再構成し、書きおろしたのが本書である。――<「あとがき」より抜粋>

※本書の原本『肉麻図譜 中国春画論序説』は2001年、作品社から刊行されました。


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目次

序.『金瓶梅』はなぜ「肉麻(いやらしい)」か?
1.ホルトゥス・エロティカ――官能の庭
2.非在の肉体――からだ抜きの行為
3.文字か絵画か――肉麻性のゆくえ

書誌情報

紙版

発売日

2010年08月11日

ISBN

9784062920070

判型

A6

価格

定価:1,265円(本体1,150円)

通巻番号

2007

ページ数

368ページ

シリーズ

講談社学術文庫

初出

原本「肉麻図譜 中国春画論序説」は2001年、作品社から刊行された。

収録作品

  • 作品名

    「金瓶梅」はなぜ「肉麻」か?

    初出

    週刊朝日百科「世界の文学」90「エロスの誘惑」、2001

  • 作品名

    春画のなかの庭園

    初出

    「龍の住むランドスケープ-中国人の空間デザイン」、福式書店、1991所収に加筆

  • 作品名

    鞦韆のシンボリズム

    初出

    「ルプレザンタシオン」、1992年秋号初出/「奇景の図像学」、角川春樹事務所、1996所収に加筆

  • 作品名

    天の井戸と地の井戸

    初出

    「幻想文学」第44号、1995年初出/「奇景の図像学」、角川春樹事務所、1996所収に加筆。

  • 作品名

    男の性的階層化

    初出

    「仙界とポルノグラフィー」、青士社、1989/河出文庫、1995所収「仙界とポルノグラフィー」に加筆

  • 作品名

    春画におけるジェンダー

    初出

    岩本裕訳著「完訳カーマスートラ」平凡社・東洋文庫、1998「解説」に加筆

  • 作品名

    ポドエロトマニア

    初出

    岡本隆三著「纏足物語」、福式文庫、1990「解説」に加筆

著者紹介

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