
マイページに作品情報をお届け!
落語の言語学
ラクゴノゲンゴガク
- 著: 野村 雅昭

扇子に手ぬぐいというわずかな小道具のほかは、ただ演者の「一枚の舌」によって、庶民はもちろん将軍や大名を高座に呼び出すこともできれば、遊郭や冥界に遊ぶこともできる不思議な話芸、落語。この落語の面白さを支えているものは何か、少年時代からの落語ファンでもある言語学者が、「ことば」の面から分析した、異色の落語論。志ん生や文楽、円生、小さん、談志などの実例を引用しながら、特異な芸能の特徴・構造・魅力を解読。
扇子に手ぬぐいというわずかな小道具のほかは、ただ演者の「一枚の舌」によって、庶民はもちろん将軍や大名を高座に呼び出すこともできれば、遊郭や冥界に遊ぶこともできる不思議な話芸、落語。この落語の面白さを支えているものは何か、少年時代からの落語ファンでもある言語学者が、「ことば」の面から分析した、異色の落語論。
落語は、マエオキ、マクラ、本題、オチ、ムスビ、という構造からなる「言語空間」である。先人が築いたこうした「型」の上に、多くの演者が才能を開花させていった。彼らの「ことば」にはどんな特徴があって、一般の言語活動とはどう違うのだろうか。噺家はなぜ、「えー、一席お笑いを申し上げます」とマエオキをいうのだろうか。そもそもなぜ、落語にオチが必要なのだろうか。落語の「演題」はどのように決められているのだろうか。
志ん生や文楽、円生、小さん、談志などの実演の例を多彩に引用しながら、落語という特異な芸能の特徴・構造・魅力を解読する。
1994年と2002年に平凡社より刊行された同名書籍の文庫化。
- 前巻
- 次巻
オンライン書店で購入する
目次
第一章 落語の言語空間
話芸としての落語
落語のことば・落語家のことば
談話としての落語
落語の構造
第二章 マエオキはなぜあるのか
マエオキについてのまえおき
桂文楽のマエオキ
一九六〇年ごろの落語家たち
現代の落語家たち
落語速記以前の状況
三遊亭円朝のマエオキ
第三章 オチの構造
オチとはなにか
オチの成立
これまでのオチの分類
ワライにおける緊張と緩和
落語とクライマックス
オチからみた噺の構成
枝雀の四分類
ジグチの構造
談話行動からみたオチの類型
発話行動によるオチの分類
第四章 演題の成立
落語の演題の特徴
命名の視点
演題における造語・命名の特徴
上方落語の演題との比較
演題の意味するもの
わが青春の全落連と早稲田大学
書誌情報
紙版
発売日
2013年10月11日
ISBN
9784062921985
判型
A6
価格
定価:1,155円(本体1,050円)
通巻番号
2198
ページ数
336ページ
シリーズ
講談社学術文庫
電子版
発売日
2013年11月22日
JDCN
0629219800100011000P
初出
1994年に平凡社より刊行され、その後、2002年に平凡社ライブラリー版として刊行された。
著者紹介
1939年東京生まれ。東京教育大学文学部卒業。都立高校教諭、国立国語研究所、早稲田大学教授を経て、現在、早稲田大学名誉教授。専攻は国語学、日本語学。主な著書に『漢字の未来』『日本語の風』などのほか、「落語の言語学シリーズ」として『落語レトリック』『落語の話術』がある。共編書に『日本語辞典』『新選国語辞典』『朝倉漢字講座』など。
オンライン書店一覧
関連シリーズ
-
圓生の録音室
-
たい平の野菜シャキシャキ噺
-
落語横車
-
本日の高座
-
柳家さん喬 大人の落語
-
「落語家」という生き方
-
いつも心に立川談志
-
落語 師匠噺
-
米朝ばなし
-
志ん生的、文楽的
-
なぜ「小三治」の落語は面白いのか?
-
落語論
-
落語名人芸「ネタ」の裏側秘蔵資料三越落語会十一名人
-
落語手帖
-
落語の国からのぞいてみれば
-
平成落語論-12人の笑える男
-
上方落語 こばなし絵本
-
昭和戦前傑作落語選集
-
小沢昭一的新宿末廣亭十夜
-
師匠は針 弟子は糸
-
江戸落語 誕生と発展
-
古典落語
-
記憶する力 忘れない力
-
マンガ落語大全
-
こんな噺家は、もう出ませんな 落語[百年の名人]論
-
この落語家をよろしく いま聴きたい噺家イラスト&ガイド