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英文収録 日本の覚醒
エイブンシュウロクニホンノカクセイ

日本における民族意識の目覚めの過程を歴史的に論じ、東洋、ことに日本が育んできた思想や文化の特質・独自性を威風堂々たる英文で述べる。翻訳もその香りをよく伝える。日露戦争の当時に米国で刊行された本書には、西欧近代文明への懐疑を投げかける深く鋭いまなざしが貫かれ、「近代」を超えうる「アジアの原理」の提示を試みる。(講談社学術文庫)
生涯を日本美術に捧げ、著作が多く残る天心が、生前に刊行した単行本は、意外にも本著の前の『東洋の理想』、後の『茶の本』と併せて英文三部作と呼ばれる著作のみである。両書はともに学術文庫のロングセラーであり、残る本著も、本名のOkakura-Kakuzo名で書かれた原著の英文とともに収録することとした。
日本における民族意識の目覚めの過程を歴史的に論じ、東洋、ことに日本が育んできた思想や文化の特質・独自性を威風堂々たる英文で述べる。日露戦争の当時に米国で刊行された本書には、西欧近代文明への懐疑を投げかける深く鋭いまなざしが貫かれ、「近代」を超えうる「アジアの原理」の提示を試みる。
「友愛の熱情がたかまり、世界の協力が実現されたとして、そのとき、それは何を目的とするのであろうか? …富をえようと競って、真の個性はそこなわれ、幸福と満足は、たえずつのってゆく渇望の犠牲にされている。…中世の迷信から解放されたことを誇っているが、富の偶像崇拝にかわっただけのことではないのか? 」
- 前巻
- 次巻
目次
一 アジアの夜
二 蛹
三 仏教と儒教
四 内からの声
五 白 禍
六 幕閣と大奥
七 過渡期
八 復古と維新
九 再 生
十 日本と平和
書誌情報
紙版
発売日
2014年09月11日
ISBN
9784062922531
判型
A6
価格
定価:924円(本体840円)
通巻番号
2253
ページ数
240ページ
シリーズ
講談社学術文庫
初出
本書は岡倉天心が1904年、本名の覚三(Okakura-Kakuzo)で発表した英文の著作“The Awakening of Japan”とその翻訳を併せて収録し、文庫化したものです。英文の底本は、1904年に刊行されたニューヨークのCentury社版を用いた。ただし、訳者は1939年に刊行された三省堂版(石田幹之助による英文脚注)を用いています。翻訳の底本は、1970年に中央公論社から刊行された『日本の名著 39』(責任編集 色川大吉)に収録された「日本の目覚め」(夏野広訳)を用いました。なお、タイトルは現在、より一般的と思われる『日本の覚醒』としました。
著者紹介
1862-1913。横浜生まれ。本名岡倉覚三。東京大学文学部卒。フェノロサに師事。東京美術学校校長を経て、横山大観らと日本美術院を創立。ボストン美術館東洋部長として国際的に名を知られた。生前刊行した単行本として、本著の前に『東洋の理想』、後に『茶の本』の英文三部作がある。
1926 ~1972。静岡県生まれ。本名帯金豊。 東京大学文学部卒業。翻訳家。『日本の名著 39岡倉天心・志賀重昂』では本著のほか「東 洋の目覚め」「東洋の理想(共訳)」を担当。 本名での訳書に『ロシア大十月革命史』など。