英雄伝

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電子あり

英雄伝

エイユウデン

講談社学術文庫

本書の著者コルネリウス・ネポス(前100頃-前25年頃)について、その詳細はほとんど知られていない。北イタリアのティキヌム(現在のパヴィア)周辺に生まれたと考えられ、ローマが内乱状態に突入する中で、キケロ(前106-前43年)と手紙のやり取りをし、アッティクス(前110-前32年)と深交を結んだほか、詩人カトゥッルス(前84頃-前54年頃)はみずからの詩集『カルミナ』をネポスに献呈している。生涯の大部分をローマで過ごしたが、政治には参加せず、もっぱら文筆業に勤しんだことが推測できるにすぎない。
他の著作家たちによる言及から、ネポスがものした著作には、世界史の概略を語った『年代記(Chronica)』、古来伝わる著名人の言行や逸話を集めた『範例集(Exempla)』のほか、『カト伝』、『キケロ伝』などがあったことが知られるが、これらはすべて失われ、今日残っているのは、さまざまな分野で活躍した偉人たちの生涯を集成した『著名な人物について(De uiris illustribus)』(前35/34年)と呼ばれる著作の一部のみである。それが『英雄伝』の名で親しまれている本書にほかならない。
本書におけるネポスの記述は、取り上げられる英雄たちをもっぱら賞賛する点に加え、彼らの性格を照らし出すエピソードを紹介しつつ、そこから倫理的教訓を導き出す点に特徴がある。これは歴史書というより伝記文学の系譜に属するものであり、対象を賞賛する姿勢と矛盾しない形で、あるいはその賞賛をより引き立たせる効果を狙って主人公の短所や悲運に言及することで、いつの世にも変わらぬ人間精神の愚鈍さ、例えば名誉心や権力欲といったものの実相に読者の目を向けさせる効果をもつ。英雄たちがたどった波瀾万丈な人生をたどる楽しみにとどまらず、古典としての教えに満ちた作品を初の文庫版でお届けするものである。

[本書の内容]
序 文
一 ミルティアデス
二 テミストクレス
三 アリステイデス
四 パウサニアス
五 キモン
六 リュサンドロス
七 アルキビアデス
八 トラシュブロス
九 コノン
一〇 ディオン
一一 イピクラテス
一二 カブリアス
一三 ティモテオス
一四 ダタメス
一五 エパメイノンダス
一六 ペロピダス
一七 アゲシラオス
一八 エウメネス
一九 ポキオン
二〇 ティモレオン
二一 諸王について
二二 ハミルカル
二三 ハンニバル
二四 カ ト
二五 アッティクス
断 片
訳者解説
固有名索引


ⒸTaro Yamashita/Kenji Kamimura

  • 前巻
  • 次巻

目次

序 文
一 ミルティアデス
二 テミストクレス
三 アリステイデス
四 パウサニアス
五 キモン
六 リュサンドロス
七 アルキビアデス
八 トラシュブロス
九 コノン
一〇 ディオン
一一 イピクラテス
一二 カブリアス
一三 ティモテオス
一四 ダタメス
一五 エパメイノンダス
一六 ペロピダス
一七 アゲシラオス
一八 エウメネス
一九 ポキオン
二〇 ティモレオン
二一 諸王について
二二 ハミルカル
二三 ハンニバル
二四 カ ト
二五 アッティクス
断 片
訳者解説
固有名索引

書誌情報

紙版

発売日

2024年09月12日

ISBN

9784065363638

判型

A6

価格

定価:1,331円(本体1,210円)

通巻番号

2833

ページ数

280ページ

シリーズ

講談社学術文庫

電子版

発売日

2024年09月11日

JDCN

06A0000000000824568E

初出

本書は、1995年に国文社より「叢書アレクサンドリア図書館」の一冊として刊行されたものを改訂して文庫版としたものです。

著者紹介

著: コルネリウス・ネポス(コルネリウス ネポス)

前100頃-前25年頃。古代ローマの作家。まとまった形で現存する著作は本書のみ。

訳: 山下 太郎(ヤマシタ タロウ)

1961年生まれ。主な訳書に、キケロー『神々の本性について』ほか。

訳: 上村 健二(カミムラ ケンジ)

1963年生まれ。主な訳書に、クルティウス・ルフス『アレクサンドロス大王伝』(共訳)。

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