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学び直し高校物理 挫折者のための超入門
マナビナオシコウコウブツリザセツシャノタメノチョウニュウモン
- 著: 田口 善弘

プロローグより
物理に挫折したあなたに
この本は、高校物理の挫折者や、履修はしなかったが、あらためて学び直したいという初学者を想定して書かれたものだ。
基本コンセプトは天下りにしない、ということに尽きる。高校の物理の教科書はややもすると「世界はこうなってる」という法則や公式が「どん!」と与えられて「信じる者は救われる」とばかりに話が進んでいく。疑問を提示すると「じゃあ、実験で実際にそうなっていることを確認しなさい」といなされてしまう。しかし、実際に実験で確認できたからといって納得感があるかというとそれは別問題だろう(実際のところ、高校物理の教科書の立て付けでは実験をすることが推奨されているが、現実は教育の現場で実験が多用されることは稀である)。(中略)
「こうなりました。昔の人が考えた結果です!」じゃなく、「改めて一から考えたら今の公式や法則って自然な考え方ですよね」と納得できたら、物理に対する苦手意識が払拭できるのではないだろうか。
「なぜそのように考えるか?」の「理由」を説明することができれば、よいレシピを学ぶことで自作の料理を考案できるように、目の前の現実に対して「自分で考えて答えを出す」ことができるようになるかもしれない(中略)。
教科書というよりは楽しんで読めるように、たとえ話や歴史的なエピソードを交えて、随分とかみ砕いて解説した。高校物理の教科書にお馴染みの数式や無味乾燥な記述も極力控えた。
本書が想定しているのは、高校物理の挫折者や物理に対する憧憬を捨てきれない文系物理ファン、そして高校物理の無味乾燥で天下り的な記述に違和感を覚えている読者である。数式や計算式などをがっつり盛り込んだ本格的な高校物理の解説書を期待される方には、「思っていたのと違う」となってしまうので、別の成書をご覧になることをお勧めしたい。
Ⓒ田口善弘
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目次
第1部 力学編
Chapter 1 物理は質量がすべて(質量とはなにか)
Chapter 2 曲がっていても実は真っすぐ(等速直線運動)
Chapter 3 兵器とは切っても切れない力学(斜方投射)
Chapter 4 飛行機はなぜ飛ぶのか?(揚力)
Chapter 5 トラックと乗用車が衝突すると、なぜ大事故になるのか?(運動量保存則)
Chapter 6 隕石はなぜ爆発するのか?(エネルギー保存則)
Chapter 7 実はよくわかっていない摩擦のしくみ (摩擦力)
幕間劇 力学と電磁気学のあいだ(重力と静電気力)
第2部 電磁気学編
Chapter 8 「電流の向き」間違えちゃいました! (電荷と電流)
Chapter 9 点電荷の間の静電気力(クーロンの法則)
Chapter 10 ブラウン管で知る「電場」の謎(電場)
Chapter 11 エジソンと白熱電球(電流・電圧・電力)
Chapter 12 電気回路に不可欠の電子部品「コンデンサー」の 謎を解く(電気容量)
Chapter 13 知名度は低いけど、身近に存在する電磁気学的な力(ローレンツ力)
Chapter 14 テスラとエジソン 電流戦争の死闘 (直流と交流)
幕間劇 電磁気学と熱力学のあいだ
第3部 熱力学編
Chapter 15 雲はなぜできるのか(熱力学第二法則ほか)
Chapter 16 深海魚はなぜ水圧に押しつぶされないのか? (圧力)
Chapter 17 いまとなってはトンデモ仮説 熱素説を科学者が信じたのはなぜ?(熱力学の第一法則)
Chapter 18 マクスウェルの悪魔はいなかった (熱力学の第二法則)
Chapter 19 「モーターにはまだ負けません!」熱機関が現役でいられる理由(熱機関)
Chapter 20 冷蔵庫はなぜ冷えるのか?(冷却)
第4部 波動編
Chapter 21 なぜ、人は音を見ることができないのか? (光の直進性)
Chapter 22 宇宙と野球とドップラー効果の意外な接点 (ドップラー効果)
Chapter 23 アルゴリズム体操から学ぶ屈折のふしぎ
第5部 原始・分子編
Chapter 24 なんとも不条理な「不確定性原理」
Chapter 25 この世の物質は「波」である!
おわりに
書誌情報
紙版
発売日
2024年02月22日
ISBN
9784065346921
判型
新書
価格
定価:1,320円(本体1,200円)
通巻番号
2738
ページ数
272ページ
シリーズ
講談社現代新書
電子版
発売日
2024年02月21日
JDCN
06A0000000000764680E
著者紹介
田口 善弘(たぐち よしひろ) 1961年、東京生まれ。中央大学理工学部教授。1995年に執筆した『砂時計の七不思議―粉粒体の動力学』 (中公新書)で第12回(1996年) 講談社科学出版賞受賞。その後、機械学習などを応用したバイオインフォマティクスの研究を行う。スタンフォード大学とエルゼビア社による「世界で最も影響力のある研究者トップ2%」に2021年度から2023年度まで3年連続で選ばれた(分野はバイオインフォマティクス)。最近はテンソル分解の研究に嵌まっており、その成果を2019年9月にシュプリンガー社から英語の専門書(単著)として出版した。最新作は『生命はデジタルでできている』『はじめての機械学習』(講談社ブルーバックス)
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