
マイページに作品情報をお届け!
キリスト教綱要 初版
キリストキョウコウヨウショハン

本書は、フランス東北部ピカルディーに生まれ、スイスで宗教改革を実践して改革派を指導したジャン・カルヴァン(1509-64年)の名を知らしめた主著の初版です。
パリに出たカルヴァンは、マルティン・ルター(1483-1546年)によって推進されていたドイツの教会改革の影響を受けながら人文主義を身につけたあと、オルレアン、次いでブルージュで法学を修め、パリに戻って聖書の言語の研鑽を積みました。転機が訪れたのは1534年。この年の10月にフランスで「檄文事件」が起き、パリの町中にミサに対する攻撃的な文書「教皇のミサの恐るべき、重大な、耐えがたい弊害について真正な諸箇条」が貼り出されました。これに激怒したフランソワ1世は宗教改革者8名を焚刑にし、カルヴァンはスイスのバーゼルへの亡命を決意するに至ります。この地でキリスト教信仰の内容を概説するためにカルヴァンがラテン語で書き上げ、1536年に初版が公刊されたのが、本書にほかなりません。
本書は、ルターの宗教改革が第一段階である「破壊」だったとすれば、第二段階にあたる「形成」の基礎となりました。その根底にあったのは若き日のカルヴァンが身につけた人文主義的な知識とセンスであり、それが本書を唯一無二のものにしています。そうして改革派の基盤をなすことになった本書は、「福音主義」や「予定説」の名とともに広く知られるようになりました。その代表が『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(1904-05年)でカルヴァンとカルヴィニズムを「禁欲的プロテスタンティズム」の諸類型の一つとして取り上げたマックス・ヴェーバー(1864-1920年)でしょう。
本書は出版されると増刷を繰り返し、カルヴァン自身はフランス語版を出版した上、改訂の作業に取りかかります。改訂は5回にわたり、初版では全6章だったものが、最終版(1559年)では全80章に及ぶ巨大な書と化しました。日本語訳で1600頁に及ぶ最終版は簡単に手を出せるものではありませんが、初版は分量の点のみならず、のちにさまざまな展開を見る思想の原型を見出せる点、そしてカルヴァンの聖書解釈の技巧を知ることができる点で、最良の入門となることでしょう。初の文庫版となる新訳を、ここにお届けいたします。
[本書の内容]
〔献 辞〕
第一章 律法について、十戒の説明を含む。
第二章 信仰について、使徒信条の解説を含む。
第三章 祈りについて、主の祈りの講解を含む。
第四章 サクラメントについて。
第五章 これまで世の人々によってサクラメントと考えられてきた残りの五つのサクラメントはサクラメントではないことを証明し、ならば何であるかを明らかにする。
第六章 キリスト者の自由、教会の権能、国政について。
ⒸTomoaki Fukai
- 前巻
- 次巻
オンライン書店で購入する
目次
〔献 辞〕
第一章 律法について、十戒の説明を含む。
第二章 信仰について、使徒信条の解説を含む。
第三章 祈りについて、主の祈りの講解を含む。
第四章 サクラメントについて。
第五章 これまで世の人々によってサクラメントと考えられてきた残りの五つのサクラメントはサクラメントではないことを証明し、ならば何であるかを明らかにする。
第六章 キリスト者の自由、教会の権能、国政について。
訳者解題
訳者あとがき
書誌情報
紙版
発売日
2025年02月14日
ISBN
9784065387825
判型
A6
価格
定価:2,310円(本体2,100円)
通巻番号
2850
ページ数
568ページ
シリーズ
講談社学術文庫
電子版
発売日
2025年02月13日
JDCN
06A0000000000872856B
著者紹介
1509-64年。フランス生まれの神学者。ジュネーヴで神政政治を実現するための教会規則を定め、宗教改革を推進した。本書は、主著の初版(1536年)にあたる。
1964年生まれ。愛泉教会牧師。主な訳書に、マルティン・ルター『宗教改革三大文書』(講談社学術文庫)、アントニー・シュナイダー『クリスマスまであとなんにち?』ほか。
オンライン書店一覧
関連シリーズ
-
天国と地獄 キリスト教からよむ世界の終焉
-
「弱い父」ヨセフ
-
キリスト教入門
-
すらすら読めるイエス伝
-
イミタチオ・クリスティ キリストにならいて
-
ローマ法王の言葉 The Words of Pope Francis
-
聖遺物崇敬の心性史
-
七十人訳ギリシア語聖書入門
-
ヨハネの黙示録
-
キリスト教史
-
ガリラヤからローマへ
-
アウグスチヌス『告白』講義
-
キリスト教の歳時記
-
ユダとは誰か 原始キリスト教と『ユダの福音書』の中のユダ
-
キリストとイエス 聖書をどう読むか
-
教会領長崎 イエズス会と日本
-
イエス・キリストの生涯
-
聖書
-
使徒的人間 カール・バルト
-
使徒教父文書
-
わが子キリスト
-
ふしぎなキリスト教
-
キリスト教問答
-
キリスト教文化の常識
-
キリスト教は邪教です!
-
キリスト教の歴史
-
キリスト(児童)
-
エウセビオス「教会史」