文芸(単行本)作品一覧

背中の記憶
背中の記憶
著:長島 有里枝
文芸(単行本)
幼き眼に焼き付けた、哀しくも愛おしい家族の肖像。 記憶の奥にしまわれた原風景が鮮やかに甦り、置き忘れてきたいくつもの感情が揺り起こされる、珠玉の物語、全13篇。 これは過去の思い出なんかではなく、かさぶたの下の、新しい肌だ。――加瀬亮(俳優) 年代の違う写真家の、目と皮膚で切り取ったような、ごく個人的な家族の記憶なのに、なぜだろう、このぜんぶ、私は知っている。知りすぎていて、泣けた。もう帰らない日々と、決して失われないものをまざまざと見せつけられて、泣いたのである。――角田光代(作家) 「中学3年生の2月、大好きだった祖母をわたしは亡くした。それは突然の、そしてわたしにとって初めての喪失だった。……祖母がどうやってわたしを叱り、やさしく見つめたか、そんなことも思い出せなくなってしまった時、わたしの中で残っていたのは、居間でつまらないテレビを見て、タバコを吸っているあの背中だった。……いまでも、誰かの背中にシャッターを切ってしまうことがある。祖母の後ろ姿を取り戻せるのではないかという期待とともに。」――<本文より> 第26回講談社エッセイ賞受賞
桜下の決闘 吉岡清三郎貸腕帳
桜下の決闘 吉岡清三郎貸腕帳
著:犬飼 六岐
文芸(単行本)
宮本武蔵をこの上なく憎み、武蔵の二刀流に通じる「二」という数字が大嫌い。孤高を貫く剣豪の破天荒な生き様を描く、痛快時代小説 書評家各氏、大絶賛! 吉川英治もびっくりの因縁の対決は正に絶好調。これがいま、最も旬で最もイキがよく最も泣ける時代小説の本命だ。――縄田一男氏 吉岡清三郎が円明流木頭道場一門に単身で立ち向かうラストの決闘場面が圧巻。吉川英治『宮本武蔵』“一乗寺下り松の決闘”の逆バージョン、壮大なアンチテーゼでもある。――清原康正氏 絶妙な剣が凄みを見せる。主人公のキャラクターも一段と光彩を放つ。楽しみなニューヒーローの誕生だ。――菊池仁氏
創作の拠点
創作の拠点
著:森村 誠一
文芸(単行本)
作家になれる人、なれない人。 その違いは、才能のあるなしではない! 日本ミステリー文学大賞受賞など、文学の王道を営々と歩んできた著者が、文芸作品創作のヒントを詳言。芥川龍之介の才能や、司馬遼太郎の観察力、松本清張の作家の業にも渉る、刺戟と衝撃(インパクト)に富んだエッセイ集! ●表現と無限の可能性――芥川作品は文芸の深海を照らす、きらめきである。 ●歴史を操る未知(イフ)の狩人――私の精神的拠点は、精神の自由のない時代に根を下ろした。 ●潜在する才能の発掘――松本清張は、永遠の売り手市場だった。 ●趣味からの展開――こだわりとは、自分の人生に対するロイヤリティである。 ●未知数と人生の探求――名言名句は人生の活性剤であり、私の作品の発条(バネ)でもある。 ●永遠の志――新田作品には、可能性の限界を推し進める志と挑戦の姿勢がある。
遠藤周作文学論集 宗教篇
遠藤周作文学論集 宗教篇
著:遠藤 周作,編:加藤 宗哉,編:富岡 幸一郎
文芸(単行本)
評論家 遠藤周作の軌跡! 自らの意志でなく受洗し苦悩した作家は、いかにして日本人と西洋の「神」の問題をとらえ、受け止めていったのか? 彼の諸宗教に対するコムプリヘンシブ(包括的)なその理解は、日本という宗教的にも思想的にもシンクレティズム(混合主義)を避けられない歴史風土において、セム族に由来する一神教(キリスト教)を全身全霊を以って受け止めたからこそできたものであったろう。本書をあえて「宗教篇」としたのも、遠藤周作のこの宗教への真の理解(コムプリヘンション)の長い苦闘をあらためて現在の問題としてみたいからに他ならない。――<解説より>
遠藤周作文学論集 文学篇
遠藤周作文学論集 文学篇
著:遠藤 周作,編:加藤 宗哉,編:富岡 幸一郎
文芸(単行本)
遠藤周作 初の評論集! 単行本未収録の幻の評論「フランス・カトリック文学展望」を所収。評論家として出発した遠藤の現代への予見とは? 遠藤文学はきわめて理論的で西洋的な支柱をもつ作品と言うことができるが、考えてみるとその小説の成立過程には、どうやら「評論家遠藤周作」が大きく作用していたという確信が、こうして本書が出来上がってみると新たになる。それは逆に言えば、この作家の評論にもまた「小説家遠藤周作」が大きく作用していた、ということになる。つまり「小説家と評論家の同居」こそが、遠藤文学を支えた要因なのにちがいない。――<解説より>
排出権商人
排出権商人
著:黒木 亮
文芸(単行本)
空気が大金に化ける。これが「排出権ビジネス」の実態だ! 温室効果ガス削減か、排出権の購入か。 温暖化防止の美名の下で生まれた、まったく新しい国際ビジネス。 利権に群がるしたたかな商人たちの、ターゲットは日本──。 世界11ヵ国に及ぶ徹底した取材で描く、緊迫のリアルフィクション! 排出権(カーボンクレジット)。それは温室効果ガスを「排出する権利」。 京都会議で、実現不可能な排出削減目標を負った日本は、 莫大な金額で外国から「排出権」を買わなくてはならない。 国民負担は、5年間で1兆円──。 新日本エンジニアリングの松川冴子は、 地球環境室長として排出権ビジネスの開拓を命じられる。 巨大排出権市場・中国を奔走する冴子が、見たものはなにか。
KENZAN! vol.10
KENZAN! vol.10
著:梶 よう子,著:秋山 香乃,著:荒山 徹,著:伊東 潤,著:稲葉 稔,著:高 陽,著:神野 オキナ,著:菊地 ひと美,著:北森 鴻,著:金 重明,訳:九月,著:西條 奈加,著:佐藤 友哉,著:田牧 大和,著:中村 彰彦,著:山崎 洋子
文芸(単行本)
充実のラインナップで時代小説界に問題提起 新連載は松本清張賞受賞の梶よう子が描く富山藩お家騒動と、ベテラン乱歩賞作家・山崎洋子による得意の明治初年の横浜。この他にもバラエティに富んだ連載満載。
20
20
著:かしわ 哲
文芸(単行本)
1970年。音楽とナンパに賭ける青春物語 映画化決定の『茅ヶ崎のてっちゃん』が20歳になった。実家を出て念願の東京一人暮らしを始めた大学生のてっちゃん。バンドを結成し、女の子と××する日々。
月華の銀橋 勘定奉行と御用儒者
月華の銀橋 勘定奉行と御用儒者
著:高任 和夫
文芸(単行本)
元禄、財政再建に生涯をかけた男の熱き想い 貨幣は国家が認めれば瓦礫でも良い―世界に先駆けた発想で財政再建を目指した勘定奉行・荻原重秀と貨幣を神聖視する儒官・新井白石。異能二人の対立の行方とは。
昨日みたバスに乗って
昨日みたバスに乗って
著:小林 紀晴
文芸(単行本)
異国に生きる人々の「今」を描いた小説集 同時多発テロ直後のニューヨーク、メキシコ、インド、そして3年ぶりのニューヨーク。出会った人たちと交わす言葉に、思いがけぬ感情が湧き上がる。全4編収録。
丸太町ルヴォワール
丸太町ルヴォワール
著:円居 挽,絵:純
文芸(単行本)
ようこそ、甘美とミステリの世界へ。 祖父殺しの嫌疑をかけられてしまった青年、城坂論語。祖父の屋敷で療養中だった彼のアリバイを証明するのは、跡形もなく消えてしまった女性、ルージュだけ。
428~封鎖された渋谷で~3
428~封鎖された渋谷で~3
著:北島 行徳,絵:N村,原作:チュンソフト
文芸(単行本)
午前10時、渋谷駅前。運命はLINKする この街にひそむあらゆる人々の運命がLINKし、滅亡から世界を救う――CHUNSOFT×講談社BOX、LINK!プロジェクト第一弾、大人気ゲームの小説化
うみねこのなく頃に Episode2(上)
うみねこのなく頃に Episode2(上)
著:竜騎士07,絵:ともひ
文芸(単行本)
『うみねこのなく頃に』ついに小説に! 「うみねこのなく頃に」の原点ともいえる小説形態で出版。今夏にはアニメ化も決定!竜騎士07が、再び一大ムーブメントを巻き起こす!!
コノヒトタチ つっつくべからず
コノヒトタチ つっつくべからず
著・絵:シェル・シルヴァスタイン,訳:川上 弘美
文芸(単行本)
シルヴァスタインの奇妙ないきもの図鑑! シルヴァスタインの奔放な想像力が生み出した奇妙ないきものたちが勢揃い。著者唯一のフルカラー絵本が、川上弘美の名訳をえて、新たな魅力をまとって登場!
アンジェリク 緋色の旗
アンジェリク 緋色の旗
著:藤本 ひとみ
文芸(単行本)
アルプスに近い国境、城砦司令官の娘アンジェリクは、パリの寄宿学校に通う従弟から革命の話を聞く。美貌の貴族青年との結婚が間近に迫っている時だった。その夜突然、城砦を民衆が襲う。すべてを失ったアンジェリクは、凶悪犯として投獄されていた少年と共にパリを目指した。家も、仕事もないままに犯罪者の仲間に身を落とし、婚約者の行方を探すが……。革命の渦中を生きる人々の愛憎と成長を描き出す傑作長編ロマン。 フランス革命期を生き抜くアンジェリーク 貧乏貴族の娘アンジェリーク。革命の炎は、そのささやかな生活をも焼き尽くした。革命期の激動と、主人公の成長を描き、読者の目をそらさない、魅力溢れる物語。
電子あり
葛野盛衰記
葛野盛衰記
著:森谷 明子
文芸(単行本)
血が流れ、多くの屍が土となったが、平安京(みやこ)は生き続けた。 桓武天皇から平氏滅亡までを、都という存在に託して語る一大叙事詩。 平安京の持つ魔力に、人はただ動かされるばかり。 桓武帝に始まる平安京。帝に縁を持つ多治比の女の一族は、遠くから帝を見守り、長く都に想いを寄せ続けた。300年後、桓武平氏が歴史の表舞台に躍り出て、多治比一族に再び希望の光が射したのも束の間――。栄枯盛衰を繰り返す人間たち。ただ平安京のみが、変わらず栄え続けたが……。
世界はロックでできている
世界はロックでできている
著:阿部 真大,絵:渡辺 ペコ
文芸(単行本)
自由なれど孤独な「セカロック」が加速する! 気鋭の社会学者が「発見」した、ビートルズからアジカンまで鳴り響く音楽史の福音 「セカロック」とは、自由、苦悩、過剰、日常、娯楽、雑食性で語られる音楽のことである! 「ロックは僕が自信のある僕になれる魔法のようなものなんですよ。」――トライセラトップス 和田唱 ●特別収録! トライセラトップス和田唱と語り尽くした、ビートルズのこと、マイケル・ジャクソンのこと……ロックと一緒に生きてきた男2人の人生対談。
ツグミはツグミの森
ツグミはツグミの森
著:竹本 健治
文芸(単行本)
夏休み――僕らミラノ高校の天文部一同は、1週間の天体観測合宿を予定していた。あの美しくも不吉なツグミの森で。だが、そのとき刻々と超大型台風が接近していた。そして悲劇が幕をあける。僕らの声は吹き荒ぶ嵐に掻き消されてしまうのだろうか。
千里伝 五嶽真形図
千里伝 五嶽真形図
著:仁木 英之,絵:ちぇこ
文芸(単行本)
日本発、超大作ファンタジー! 五歳の体躯に天賦の弓才、少年の名は―千里。日本ファンタジーノベル大賞受賞の作者が、奇跡溢れるこの世界に向け放つ、震天動地のヒロイック・ファンタジー。
猫の水につかるカエル
猫の水につかるカエル
著:川崎 徹
文芸(単行本)
静かなユーモア・優しいペーソス、淡々と沁みる小説集。「父母の、友の、猫の、己の死を深く見つめる作者の眼差しが、今ここにあるかけがえのない生に向けられる時、すべての事物が記憶を語りはじめる――。 静かなユーモア・優しいペーソス・淡々と沁みる・小説集 「父母の、友の、猫の、己の死を深く見つめる作者の眼差しが、今ここにあるかけがえのない生に向けられる時、すべての事物が記憶を語りはじめる――。 静かなユーモア。優しいペーソス。 小説家・川崎徹の充実一途を示してやまない、これは生きとし生けるものへの優しい“死者の書”なのである。」――豊崎由美氏 どんな悪天候でも猫たちは待っている。濡れない、風のあたらぬ場所に体を押し入れ、全身が入らなければ頭だけでも突っ込んで待っている。わたしが現れると小さく鳴いて、自分の居場所を教える。「おじさん、ここ、ここ」と。だからわたしは雨でも雪でも休むわけにはいかないのだ。世話を続けるうちにそう思い込んでしまった。誰に強いられたのでもなかった。風雨をしのいで待つ彼等の姿を案じて気をもむより、行ってしまった方が楽なのだ。――<本文より> 収録作品 「傘と長靴」 「猫の水につかるカエル」
電子あり