文芸(単行本)作品一覧

怪訝山
文芸(単行本)
「遠慮はいらないよ。わけいって、わけいって、深く入っておいで」
土と草の匂い。横溢する生と性の渦。女という山へ、深く深く潜り込み、男は、安息の一瞬に沈み込む。
豊穣なる自然と性への回帰。都市生活者の再生を謳う物語。
――自分が充電されているような感覚があり、ああ、ありがたい、とイナモリは思った。携帯電話を他人の家で充電するような感覚だった。後ろめたさとありがたさと。自分のペニスを抜くことができなくなった。もうすこし、あともうすこし、からだに山が、満ちるまで。――<本文より>

絵で見る美しい日本の歴史
文芸(単行本)
次世代に伝えたい創世神話から明治維新まで
歴史で学ぶ日本人のこころ
天照大神、素戔嗚尊、大国主神、日本武尊……国造りの神々をはじめ、聖徳太子、中大兄皇子、紫式部、源氏や平氏、西行、楠木正成、信長、秀吉、家康、徳川光圀、吉田松陰など、時代を生き抜いた人物たちの光芒を描き出す。
※本書は、平成11年5月から平成15年6月までPHP研究所「歴史街道」に連載された「絵で見る日本の歴史」に加筆、訂正したものです。

緑金書房午睡譚
文芸(単行本)
表と裏の世界をつなぐ奇蹟の古本屋――
緑金書房にまつわる「8つの謎」を知った16歳の少女を襲う不思議な事件!「建築探偵」シリーズの著者によるミステリ
本を愛する人へ贈る古書ファンタジー
高校に通わなくなって数ヵ月。16歳の木守比奈子は大学教授である父が研究休暇でイギリス行きを決めたため、古本屋「緑金書房」に居候をすることに。その店を営む青年は亡き母の親戚だというが、時代遅れの格好をし、どこで寝ているのかもわからない。秘密めいたお店で手伝いをする比奈子は、ひとりになると不思議な気配や視線を感じるように……

雨に添う鬼 武市と以蔵
文芸(単行本)
幕末に散った「人斬り以蔵」の真実。傑作歴史長編!(時代小説誌KENZAN!発)
至福の人斬り。
武市は勤王のために愛弟子を鬼に変えた。以蔵は師に認められたい一心で次々と人を斬った。師弟愛を踏みはずした先に待つものは――。
武市に遠ざけられたと思い込んだ以蔵は、京に潜伏していたところを捕縛され、武市に不利な自白を繰り返した――。
この世でもっとも大切なものを汚して死んでいく。武市に見捨てられるよりは、ずっと幸せだった。

サキモノ!?
文芸(単行本)
本邦初、先物取引「新入社員」小説!
これも仕事だ。でも、これが人生だ。
「私はまだまだ頑張れる……か?」
小説現代長編新人賞受賞作『地獄番鬼蜘蛛日誌』でデビューした注目作家の注目作
新入社員・青木照子は入社直後に後悔する。飛び交う罵声、終わりなきテレアポ。一寸先は闇の「先物業界」って軍隊系?
思い返せば、入社面接から何かヘンだったのだ――
「自由になりたい」――それって何から?

営業零課接待班
文芸(単行本)
第1回ドラマ原作大賞受賞者作品!
涙も。笑いも。挫折も。成功も。すべてつまった営業スペクタクル!
絆の力が、人を動かす。会社を動かす。奇跡を起こす!こんな時代に接待営業!?人の絆は何より強い!!
苦手な営業部署に異動となりリストラ勧告を受けてしまった青年は、20代最後の1年を懸け、ふたたび接待営業に挑戦する。仲間と臨む数々の修羅場に、果たして奇跡は起こるのか――。
2009年4月1日、接待営業を専門とした新規開拓営業の部署を設立する。
●営業対象……営業1課で取引関係のない中堅企業~大企業。
●人員……8名(課長1名、内勤1名含む)
●売上目標……初年度売上50億円
●その他特記事項……売り上げ目標不達の場合、課を解散する。
――専務取締役営業本部長 井岡武利

「愛されなさい」
文芸(単行本)
自分でも気づかなかった大切なものを引き出してくれたのはこの言葉だった。
今の世を生きにくいと感じるすべての人に贈る、書き下ろし長篇。
信用金庫でジミな年長女子行員となってしまった江夏愛花は、支店長から退職をほのめかされる。ちょうどその頃、お得意様の銀座のオーナーママに目をつけられて、ホステスとしてクラブに入店する。容姿も性格もぱっとせず指名もない愛花は退店を考えるようになった。そんなある日、閉店後の店内で待っていた人から不思議なアドバイスをもらう。

弱い神
文芸(単行本)
弱いがゆえに、神の言葉は強い。自らの死の直前まで、作家が求めつづけた永遠の問い。20年の歳月をかけ完成した小川国夫文学の最高傑作。
ここで是非触れておきたいのは、死者にあてて文章を書くことです。死者も読者であり得るでしょうか。言うまでもなく、あり得ます。……この場合、私は自分で喋るよりも、主として相手に質問するでしょう。相手の言葉を呼び出そうとして、それから耳を澄ますのです。……その気になって働きかければ、返事を引き出せると私は思っているのです。……このようにして、小説家は亡くなった友達とやり取りができる、と私は信じています。聞こえるのは相手の声ですから、私がこしらえた言葉ではありません。――<本文より>

メフィスト 2010 VOL.1
文芸(単行本)
矢吹駆シリーズ始動!
笠井潔「夜と霧の誘拐」第1回 一挙300枚掲載!!
<新連載>
笠井潔/乾くるみ/北山猛邦/円堂都司昭
<読切小説>
竹本健治/芦辺拓/柄刀一/あさのあつこ/化野燐/日日日/西尾維新/山本弘/太田忠司/麻耶雄嵩/ほしおさなえ/浅暮三文/加賀美雅之/大倉崇裕/小路幸也/山下貴光
<連載小説>
法月綸太郎/恩田陸/綾辻行人/有栖川有栖/我孫子武丸/喜国雅彦/石黒正数
<巻末>
座談会

異邦の香り――ネルヴァル『東方紀行』論
文芸(単行本)
「東方の甘美な香りに誘われ、女性探求の旅が始まる……」
プルーストが、サイードが愛した≪世界≫文学の先駆者ネルヴァルの傑作を読む
『東方紀行』のページを開くとき、読者はたちまち切れ目なく続く旅の運動に引き込まれる。パリからウィーン、ウィーンからエジプトへ、さらにはシリアを経てコンスタンチノープルへ。その遠心的な足取りに従うことは、いまの読者にとって、2世紀前の世界へのタイムスリップをも意味する。幾重にも超えがたい距離がそこには確かにありながら、ネルヴァルの文章自体はまさに魅惑としかいいようのない力を及ぼしてくる。それはいったいなぜなのか。――<「第1章 遊歩への誘い」より>
第62回読売文学賞[研究・翻訳賞]受賞

魔法使いの弟子たち
文芸(単行本)
著者9年ぶり待望超大作
全てを奪われ特殊能力を与えられた3名の選ばれし者。「俺たちは龍だ」人類とウイルスの最終戦争――
大変長らくお待たせしました!
壮大なる井上ワールド、驚愕の終末――
山梨県内で発生した致死率100パーセント近い新興感染症。生還者のウイルスから有効なワクチンが作られ拡大を防ぐが、発生当初の<竜脳炎>感染者で意識が戻ったのは、3名だけだった。病院内での隔離生活を続ける彼ら3名は、「後遺症」として不思議な能力を身につけていることに気づき始める。

女優
文芸(単行本)
あなたには、人生を変えるチャンスがある!
芸能界の表裏を精緻に描ききった禁断の物語。
「あなたには、人生を変えるチャンスがあるわ」その言葉に、1人の少女が女優としての人生を踏み出した。
揺るぎなく君臨する大女優・夏樹菜々に導かれて、少女から女へと変貌していく朝倉京子。華やかな光の陰で繰り広げられる権謀術数。憧憬と嫉妬、情熱と裏切りが渦巻くサバイバル・ワールド。まったくの素人が女優としての欲望を実現していく生きざまを、芸能の世界に生まれ育った著者ならではの、リアルな筆致で描ききった、禁断の物語。
人の運命は、出会いによって左右される。けれど、せっかくの出会いに気づかず、みすみす幸せを逃している人も少なくない。何歳であろうとも、自分の可能性を信じて、決して諦めない人は、必ずチャンスを掴む。輝かしい未来に向かって力強く歩んでいる、そんな全ての人に、この作品を捧げます。――寺西一浩

人間的なアルファベット
文芸(単行本)
エロスとユーモア溢れる丸谷版“A to Z”
ACTRESSからZIPPERまで――色っぽくって面白い!知的雑学満載の、軽妙洒脱な“よみもの辞書”
●ACTRESS(女優、女役者)
明治時代の女歌舞伎は、尻をまくるパフォーマンスで大人気に。
●BARRISTER(弁護士)
阿部定事件を扱った、竹内金太郎弁護士の硬軟に通じた見識。
●COMMANDMENT(戒律)
ばれても平気、むしろ肯定されていた王朝期の僧の女犯。
……などなど、著者が選んだA~Zの単語にまつわる百科全書的冗談。

遍路みち
文芸(単行本)
楽しいことも嬉しいこともあったはずなのに……悔いのみを抱いて生きてゆく遍路みち
夫・吉村昭氏の死から3年あまり、生き残ったものの悲しみを描く小説集
洗面所のコップの中の2本の歯ブラシを見ると、1本も虫歯のないことを自慢していたことを思い出した。夫の母親が、おまえは口もとがいいね、と言っていたという話をからかいながら口にすると、かれはふざけて口角を少し上げて笑ってみせた。育子はその笑顔を思い出して嗚咽した。――<「遍路みち」より>

うみねこのなく頃に Episode3(下)
文芸(単行本)
まさかの黄金発見!?
「赤字システム」再現は常識
幻想世界で展開する、魔女との絶望的な対戦!『ひぐらしのなく頃に』の竜騎士07が挑発する、圧倒的“推理小説”!!
「あの手紙の差出人はあなた?なら私は全ての黄金と右代宮家(うしろみやけ)の家督を引き継げるのよね……?」
碑文の謎を解いた者は、右代宮家の黄金と家督を引き継ぐことができる――魔女“ベアトリーチェ”から届いた手紙の導くままに、ついに黄金を探し当てる長女・絵羽(えば)。そして、ベアトリーチェの名を襲名することで絶大なる魔力を得て、殺戮を繰り返す。そんな様子をチェス盤の外側から見つめる戦人(ばとら)は、凄惨な魔女幻想の中に、真実を見つけることができるのか……!?
※本書は、2008年発表の同人ゲーム『うみねこのなく頃に Episode3』のシナリオをもとに著者である竜騎士07氏自らが全面改稿し、小説化したものです。

こぼれおちる刻の汀
文芸(単行本)
SFとミステリの大胆な融合。独自の世界を創り続ける西澤保彦の最終到達点! デビュー前に書いた、作家の原点とも言える3つの物語を今の西澤保彦が20年の時を経て、1つに結びつける! SFとミステリの融合にこだわり新境地を拓いてきた著者の最終到達点にして最高峰、ここに誕生!
SF×ミステリの大胆な融合
独自の世界を創り続ける西澤保彦の最終到達点!
デビュー前に書いた、作家の原点とも言える3つの物語を今の西澤保彦が20年の時を経て、1つに結びつける!SFとミステリの融合にこだわり新境地を拓いてきた著者の最終到達点にして最高峰、ここに誕生!!
「時間が止まっている!?」不条理な出来事に遭遇する女性宇宙パトロール隊員のSF――「カデンツァ」
「1つの出来事に記憶が2つ!?」世界の揺らぎに翻弄される女性科学者のSF――「オブリガート」
「殺されては幾度も中学時代へ!?」<時間の環>に嵌っていく老女のミステリ――「コーダ」

密閉都市のトリニティ
文芸(単行本)
衝撃のデビュー作
京大教授が挑む、人類進化と狂気のミステリー
テロウィルスに襲われた京都を巡る壮大な陰謀
関口苑生
「愛と性と暴力が……ヤバイ!スゴイ!ハンパない!」
大森望
「小松左京『継ぐのは誰か?』×半村良『石の血脈』の興奮。驚愕のSF巨編」
(本文より)――
深夜から未明にかけて、花火のような閃光を目撃した人が多数いた。結晶化した病原体が大気中に撒き散らされた。夜明け前から感染者に激しい症状が現れた。3日間のうちに京都市民の約3分の1、498,860余名が死亡した。

「とうさんは、大丈夫」
文芸(単行本)
児童相談所に勤め、温かい家庭を持つ主人公、澤村。父として家族の柱となり、児童福祉司として他の家庭を救うなか、突如事件は訪れた――。妻の声も子どもの声も、もう心には届かない。正しく生きてきたやさしい男の人生は、ひとつのできごとに殺された。果たして最後に彼を救うのは、叫びか、ささやきか、誰の声なのか。
頑張りすぎて、いませんか?
よい父、よい児童福祉司であり続けた、やさしい男がひとつの暴力に音もなく撃ち抜かれる――。
野間文芸新人賞受賞の著者が、心と力をこめて描き切った、渾身の長編小説。
児童相談所に勤め、温かい家庭を持つ主人公、澤村。父として家族の柱となり、児童福祉司として他の家庭を救うなか、突如事件は訪れた――。妻の声も子どもの声も、もう心には届かない。正しく生きてきたやさしい男の人生は、ひとつのできごとに殺された。果たして最後に彼を救うのは、叫びか、ささやきか、誰の声なのか。

真昼なのに昏い部屋
文芸(単行本)
せめて、きちんとした不倫妻になろう。
満ち足りているはずの生活から、逃れようもなくどんどんと恋に落ちていく。
恋愛を、言葉の力ですべて白日の下にさらす、江國作品の新たなる挑戦!
私は転落したのかしら。でも、どこから?
会社社長の夫・浩さんと、まるで軍艦のような広い家に暮らす美弥子さんは、
家事もしっかりこなし、「自分がきちんとしていると思えることが好き」な主婦。
大学の先生でアメリカ人のジョーンズさんは、純粋な美弥子さんに心ひかれ、
二人は一緒に近所のフィールドワークに出かけるようになる。
時を忘れる楽しいおしゃべり、名残惜しい別れ際に始まり、
ふと気がつくとジョーンズさんのことばかり考えている美弥子さんがいた――。
恋愛のあらゆる局面を、かつてない文体で描きつくす意欲作!

ピストルズ
文芸(単行本)
荒廃していく世界の片隅で、少女は奇跡を起こせるか!?
「神の町」に住まう哀しき一族をめぐる大サーガ、開幕!
「若木(おさなぎ)山の裏手には、魔術師の一家が暮らしている――」
田舎町で書店を営む石川は、あるキッカケから、町の外れに住む“魔術師一家”と噂される人々 に接触する。その名は菖蒲(あやめ)家。謎に包まれた一族の秘密を探るべく、石川は四姉妹の次女・あおばにインタビューを敢行するのだが……。そこで語られ始めたのは、一族の間で千年以上も受け継がれた“秘術”にまつわる目眩めく壮大な歴史だった。史実の闇に葬り去られた「神の町」の盛衰とともに明かされていく「アヤメメソッド」の正体と、一族の忌まわしき宿命とは。そして秘術の後継者である末娘・みずきが引き起こしてしまった取り返しのつかない過ちとは 一体――?やがて物語は二〇〇五年夏に起きた“血の日曜日事件”の隠された真実を暴き出してゆく……!
箱庭的ユートピアを思わせる幻想的な冒頭 から、不穏な緊張感で急展開を迎える終盤、思いもかけないラストまで、まさに著者頂点をきわめる3年ぶり傑作巨編!
・この一冊の本が差し出す構造と運命を思えばガルシア・マルケスの『百年の孤独』を想起することでしょう。鳴り続ける音、焼きつく映像。あらゆる表現の醍醐味が縦横無尽に編みこまれたこの「大きな小説」に一〇年代の初めに出合えたことが嬉しい。
――川上未映子(作家)【読売新聞4/4書評より】
・今年はこの本を読めたからもうそれだけで良い、と思えました。
――伊坂幸太郎(作家)
・植物、動物、鉱物の博物誌にして暴力、性愛、幻影の博物誌。魔法となった言葉によって過去の歴史が現在の物語として甦り、未知なるものへと変容を遂げる。表現の時空を刷新してしまう、危険で魅惑的な試み。
――安藤礼二(文芸評論家)
・物語の底が抜けたような浮遊感に、我々は作家の技巧に翻弄される歓びを噛み締めることになるだろう。
――斎藤環(精神科医)【朝日新聞4/4書評より】
・書かれてはならない小説が書かれてしまった! それが誰にもすらすらと読めるのだから、これは僥倖と呼ぶしかない稀有の事態である。
――蓮實 重彦(評論家)