講談社文庫作品一覧

この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 上
講談社文庫
数々のスクープを物してきた敏腕編集長、カワバタ。大物政治家Nのスキャンダルを追う彼の前に現れた奇妙なグラビアの女。彼女を抱いた日から、人生は本来の軌道を外れて転がり出す。不敵なまでの強引さと唐突さで物語に差し挟まれる数々の引用。小説が真理に近づく限界を極めた、第22回山本周五郎賞受賞作。(講談社文庫)
山本周五郎賞を受賞した白石作品の最高峰。スクープを次々と放つ「週刊時代」編集長、カワバタ・タケヒコ、43歳。政権党の実力者であるNのスキャンダル記事を巡って運命の歯車が大きく廻りだすが…。

新装版 正月十一日、鏡殺し
講談社文庫
ようこそ、裏本格の世界へ――(歌野晶午)
本格ミステリ大賞二度受賞作家による処女短編集を、新装版で。
彼女が勤めに出たのは、このままでは姑を殺してしまうと思ったからだった――。夫を亡くした妻が姑という「他人」に憎しみを募らせるさまを描く(表題作)。猫のように性悪な恋人のため、会社の金を使い込んだ青年。彼に降りかかった「呪い」とは(「猫部屋の亡者」)。全七編収録。鬼才初の短編集を、新装版で。
※本書は、1996年9月に講談社ノベルス、2000年1月に当文庫の一冊として刊行した作品の新装版です。

忠臣蔵異聞 <家老 大野九郎兵衛の長い仇討ち>
講談社文庫
悪家老として名高い、赤穂藩の経済官僚・大野九郎兵衛。しかし、彼こそが、先進的な製塩技術の開発と塩相場による儲けで、お取り潰しにあった浅野家再興を志す忠臣だった。赤穂浪士の討ち入り後は、真の仇を討つべく、米相場を下落させ、さらに布石は長州にも……。(講談社文庫)
類のない時代ミステリーの快作!
『死都日本』『震災列島』『富士覚醒』……サイエンス・フィクションの名手が、元禄赤穂事件から維新戦争まで、滔々と流れる歴史の大河の核心を、大野九郎兵衛の仇討ちを主旋律に、壮大なスケールで解き明かす!
悪家老として名高い、赤穂藩の経済官僚・大野九郎兵衛。しかし、彼こそが、先進的な製塩技術の開発と塩相場による儲けで、お取り潰しにあった浅野家再興を志す忠臣だった。赤穂浪士の討ち入り後は、真の仇を討つべく、米相場を下落させ、さらに布石は長州にも……。会心作!
※本書は、2007年12月に小社より刊行された『樹の上の忠臣蔵』を、改題したものです。

泣き菩薩
講談社文庫
若き日、歌川広重は定火消同心だった。
江戸のモテ男・火消三人組が謎を解く!
「東海道五十三次」を描くのはまだ先のこと。十九歳の歌川広重こと安藤重右衛門(じゅうえもん)は、江戸は八代洲河岸(やよすがし)の定火消同心。二人の幼馴染、切れ者の信之介と剛力の五郎太とともに、菩薩像を襲った小火(ぼや)騒ぎの謎を追う。相次ぐ不審火は、噂の火付集団の仕業なのか。意外な黒幕が明かされる時、三人を待つ運命とは?

皇妃エリザベート
講談社文庫
「バイエルンの薔薇」と呼ばれ、ハプスブルク家六百有余年の歴史上最も美しいといわれた皇妃エリザベート。激動の時代、彼女は嫉妬と羨望のなか、皇室の因習に抗い自由奔放に生きた。没後百年を経てもオーストリアの人々の心を捉えてはなさない“シシィ”エリザベートの波瀾万丈の人生をいきいきと描いた決定版!
愛と自由を求め運命に翻弄された世にも美しき皇妃の真実
「バイエルンの薔薇」と呼ばれ、ハプスブルク家六百有余年の歴史上最も美しいといわれた皇妃エリザベート。激動の時代、彼女は嫉妬と羨望のなか、皇室の因習に抗い自由奔放に生きた。没後百年を経てもオーストリアの人々の心を捉えてはなさない“シシィ”エリザベートの波瀾万丈の人生をいきいきと描いた決定版!

花競べ 向嶋なずな屋繁盛記
講談社文庫

京都大原 名旅館の殺人
講談社文庫
紅葉燃えさかる洛北・大原の三千院にほど近い橋から、拝むように手を合わせた女性が転落死する。女性は、気鋭のプロデューサー・源田がリニューアルを手掛けた名旅館「源(げん)・雲上楼」の辣腕支配人だった。カメラマン星井裕は、事件の背景に老舗旅館の誇りをかけた「お家騒動」があると推理する。TBS系列「美食カメラマン星井裕の事件簿」ドラマ原作、「名探偵・星井裕の事件簿」シリーズ!

吹花の風 梟与力吟味帳
講談社文庫
NHK土曜時代劇原作 大人気シリーズ、遂に完結巻! 料理に毒を盛る――。「鼠小僧次郎兵衛」を名乗る脅し文が名だたる高級料亭に届き、江戸の町は騒然とする。吟味方筆頭与力となり、探索に当たる逸馬は、薬種問屋『常磐屋』の延命丸という毒で死んだ大工の熊吉こそ、「鼠小僧」張本人ではないかとの疑いを抱く。梟与力最後の裁きを描くシリーズ完結巻。(講談社文庫)
NHK土曜時代劇原作 大人気シリーズ、遂に完結巻!
「俺も一生、背負っていく」
“梟”の名に懸けて! 崇拝する遠山を裏切ってでも通した逸馬、最後の裁きとは?
料理に毒を盛る――。「鼠小僧次郎兵衛」を名乗る脅し文が名だたる高級料亭に届き、江戸の町は騒然とする。吟味方筆頭与力となり、探索に当たる逸馬は、薬種問屋『常磐屋』の延命丸という毒で死んだ大工の熊吉こそ、「鼠小僧」張本人ではないかとの疑いを抱く。梟与力最後の裁きを描くシリーズ完結巻。<文庫書下ろし>

アイスクリン強し
講談社文庫
西洋菓子は開化の夢――。
明治の築地居留地近く、甘い香り漂う風琴屋(ふうきんや)。今日もまた、お菓子目当ての若様たちが集って嵐が巻き起こる!
お江戸が東京へと変わり、ビスキット、アイスクリン、チヨコレイトなど西洋菓子が次々お目見え。築地の居留地で孤児として育った皆川真次郎は、念願の西洋菓子屋・風琴屋を開いた。今日もまた、甘いお菓子目当てに元幕臣の警官たち「若様組」がやってきて、あれやこれやの騒動が……。キュートな文明開化(スイーツ)物語。

骸骨ビルの庭(下)
講談社文庫

骸骨ビルの庭(上)
講談社文庫

まっくらな中での対話
講談社文庫
真っ暗闇の空間で遊ぶソーシャル・エンターテインメント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」。案内役(アテンド)を務める視覚障害者と、脳科学者・茂木健一郎が、五感と脳、世界の認識の仕方について語り尽くす!
「見る文化」と「触る文化」。異なる二つの文化が、ここに交響する。
ドイツ生まれのソーシャル・エンターテインメント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」。真っ暗闇の空間へ、案内役の視覚障害者に導かれ、おずおずと入っていく参加者は、視覚が遮断されることによって、それ以外の感覚が解放される心地よさに気づく。暗闇で癒される脳と心。その謎に、茂木健一郎が迫る。<文庫オリジナル>

新装版 銀行総務特命
講談社文庫
帝都銀行で唯一、行内の不祥事処理を任された指宿修平(いぶすき・しゅうへい)。
顧客名簿流出、現役行員のAV出演疑惑、幹部の裏金づくり……
スキャンダルに事欠かない伏魔殿(メガバンク)を指宿は奔走する。
腐敗した組織が、ある「罠」を用意しているとも知らずに――
ある事件をきっかけに指宿とコンビを組むことになる美貌のキャリア・唐木怜(からき・れい)の活躍にも注目!
指宿、お前どうするよ。メガバンクの醜聞を隠し通せと言われたら。
「総務特命担当者」の運命はいかに!? 意外な仕掛けに唸らされる傑作ミステリー。

新装版 不祥事
講談社文庫
『花咲舞が黙ってない』ドラマ化、新シーズン原作!
主演・今田美桜 山本耕二 飯尾和樹(ずん) 要潤 菊地凛子 上川隆也
日本テレビ系にて4月13日(土)よる9時スタート
「ベテラン女子行員はコストだよ」そう、うそぶく石頭の幹部をメッタ斬るのは、若手ホープの”狂咲”こと花咲舞。
トラブルを抱えた支店をまわり(=臨店)、業務改善を指導する舞は、事務と人間観察の名手。
歯に衣着せぬ言動で、歪んだモラルと因習に支配されたメガバンクを蹴り上げる!
もう、黙ってられないっ。
あなたたちの常識は、世間の非常識よ!
世の中どこもかしこも、黙っていられないことばかり。でも、それをいつもただせるわけじゃない……モヤモヤした思いを抱えるあなたに替わって、花咲舞がバッサリやってくれます。
気持ちの晴れる、痛快度ナンバー1小説!

新装版 原子炉の蟹
講談社文庫
関東電力九十九里浜原発の建屋内で、一晩中多量被曝した死体がドラム缶詰めで処分されたという。失踪した下請け会社の社長か!? だが中央新聞の大スクープは一転、捏造記事に。事実は隠蔽され、原子炉という幾重にも包囲された密室が記者らの前に立ちはだかる。乱歩賞受賞の社会派の傑作! (講談社文庫)
原発建屋内の密室殺人。乱歩賞受賞作を復刊原子力発電所は巨大な密室か。社会派の傑作が甦る。九十九里浜原発。関東電力の下請け会社の社長はなぜ建屋内で殺されたのか。綿密な取材に裏打ちされたリアル。

電化文学列伝
講談社文庫
作品中の家電製品の描かれ方を軸に文学を語る、新しくて深い書評エッセイ。小川洋子『博士の愛した数式』のアイロン、吉田修一『日曜日たち』のリモコン、花輪和一『刑務所の中』の電気カミソリなど、作家が作品世界をどう構築するのか、その秘密が明かされる。書き下ろし短編小説、「導線」収録。『電化製品列伝』を改題。(講談社文庫)
作品中の家電製品の描かれ方を軸に文学を語る、新しくて深い書評エッセイ。
小川洋子『博士の愛した数式』のアイロン、吉田修一『日曜日たち』のリモコン、花輪和一『刑務所の中』の電気カミソリなど、作家が作品世界をどう構築するのか、その秘密が明かされる。
書き下ろし短編小説、「導線」収録。
『電化製品列伝』を改題。

希望の記憶
講談社文庫
ハードボイルドの新境地に挑むコーク・シリーズ、ますます好調!
今、彼女は殺されようとしている。まだたった14歳なのに。悪夢のような人生でも希望だけは捨てないできたのに――。重傷を負ったコークが避難した小さな町で身元不明の少女の水死体があがった。さらに明らかになる20年前の少女殺害事件。前作『闇の記憶』に続いて、ハードボイルドの新境地を切り拓く傑作!

インシデント 悪女たちのメス
講談社文庫
「アンフェア」シリーズ著者が、医療の聖域に挑む緊迫のメディカル・ミステリー!
女子高生のさやかは、脳機能iPS細胞再生術を用いた世界初の脳外科手術を受ける。執刀医は、日本随一のオペ技術を持つ天才女医・桧山冬実(ひやまふゆみ)。しかし、誰もが手術の成功を確信する中、悲劇は起きた。それは医療事故(インシデント)だったのか、それとも罠なのか。現代医療の矛盾に迫る緊迫の医療ミステリー。<文庫書下ろし>

天才絵師と幻の生首 半次捕物控
講談社文庫
九つの子が川縁で見つけた生首を描いた絵があまりにも見事なので多色刷りの瓦版にすると、「気味が悪い」と江戸中で大騒ぎに。それでも生首の主は分からずじまいで、そのうち生き写しの男があらわれて悪事がばれたものだから、瓦版は狂言だったと非難囂々(ごうごう)となる表題作。半次のひらめきが難題を解いていく。(講談社文庫)
ご用聞きの半次とお騒がせ男小三郎は腐れ縁九歳の天才絵師が描いた生首を瓦版に出すと、江戸中が大騒ぎに。が、死人の身元はわからないまま、その顔に瓜二つの島津家の蔵役人が御番所に突きだされて……。

新装版 三年坂
講談社文庫
親子、夫婦、兄妹……人と人の絆、それぞれの胸に去来する思い。
小説家・伊集院静の原点
七夕の笹を求めて分け入った山中で窮地に陥った父を助けようと必死に走る少年の思い(「皐月」)、店が開店した日に事故で亡くなった母親の在りし日が鮨職人の心に鮮やかに甦る瞬間(「三年坂」)……。めぐる歳月と人生の哀切を、抒情あふれる端正な文章で描き出した、著者の原点とも言うべき珠玉の作品集。
●三年坂
●皐月
●チヌの月
●水澄
●春のうららの
※本書は、1992年8月に講談社文庫より刊行された『三年坂』を改訂し文字を大きくしたものです。