講談社文庫作品一覧

魔偶の如き齎すもの
講談社文庫
所有する者に福と禍(わざわい)を齎すという”魔偶”。その、奇妙な文様が刻まれた土偶を確かめに、刀城言耶は旧家・宝亀家を訪れる。すでに集まっていた客たちは、話し込む当主と言耶をよそに次々と魔偶を収めた”卍堂”に向かうが……。表題作他、文庫初収録「椅人の如き座るもの」を含む全五編を収録したシリーズ第三短編集。
魔偶が齎すのは、福か、禍か。
妖服、巫死、獣家、椅人、
若き刀城言耶が対峙する謎の数々。
文庫初収録作を加えた
人気シリーズ第三短編集”決定版”、
待望の文庫化!

旧友再会
講談社文庫
どしゃぶりのあとには
虹だって出るさ。
人生は、ままならないことばかり。
優しさとほろ苦さが沁みる「中年共感小説」。
難問だらけの家庭と仕事に、葛藤、奮闘、四苦八苦しているうちに、気がつけば「老い」のとば口に差しかかった男たち。
その戸惑いと寂しさを分かち合えるのが旧友なのか、旧友だからこそ、すれ違ってしまうのか……。
「もう若くはないんだから」が口癖になった人と、なりつつある人にエールを贈る5篇を収録。

三姉妹、恋と罪の峡谷 三姉妹探偵団26
講談社文庫
三姉妹の綾子、夕里子、珠美が訪れたレストランを、国友刑事がまさかの張り込み中! 彼が追っていたのは社長殺害事件。しかし犯人の無実を信じる被害者の娘が、三姉妹に真相解明を依頼。ところが、会社の勢力争いに巻き込まれるわ、夕里子に恋のライバルが現れるわ……。三姉妹は今日も大忙し!

晴れ、時々くらげを呼ぶ
講談社文庫
彼女と出会った。僕の日常は変わった。
純度100%! 小説現代長編新人賞受賞作。
売れない作家だった父が病死してから、越前亨は日々をぼんやり生きてきた。亨は、最後まで家族に迷惑をかけながら死んだ父親のある言葉に、ずっと囚われている。
図書委員になった彼は、後輩の小崎優子と出会う。彼女は毎日、屋上でくらげ乞いをしている。雨乞いのように両手を広げて空を仰いで、「くらげよ、降ってこい!」と叫んでいるのだ。いわゆる、不思議ちゃんである。
くらげを呼ぶために奮闘する彼女を冷めた目で見ていた亨だったが、いつしか自分が彼女に興味を抱いていることに気づく。
自分の力ではどうにもできないことで溢れている世界への反抗。本への愛。父への本当の想いと、仲間たちへの友情。青春のきらきらがすべて詰まった一作。

侠骨記 〈新装版〉
講談社文庫
侠骨――それは、
真の勇気。
古代中国を彩る英雄たちを鮮やかに描く傑作短編集
初めて宮城谷文学を読むなら、この一冊!
春秋時代、大国魯は文化国家としては中華で第一級ながら、軍事は二流。
それゆえ、隣国斉に存続を脅かされていた。
苦悩する君主・同の前に現れた里人・曹カイは、
魯を勝利させるとの言葉を現実にする。
曹カイの指揮で連勝続きの魯軍であったが、斉の反撃が始まり――(表題作)。
著者の初期を代表する、清新な短編集。

密告の件、Mへ
講談社文庫
法科大学院の教授、平手理沙子が都内の運河で水死体となって発見される。平手教授の遺品に
「密告の件、水戸Lへ」と書かれたメモが見つかり、弁護士の水戸裕介に警視庁の刑事が事情を訊きにくる。
水戸は「密告の件」について、心当たりがなかった。
才色兼備で世間から注目を浴びている弁護士の丘野ヒロ子が、水戸がパートナーを務める法律事務所を訪れる。
丘野が扱う交通訴訟の依頼人が弁護士会に懲戒請求し、弁護士会から「業務停止六ヵ月」の処分を宣告されたという。
処分に納得がいかない丘野は、日弁連に異議を申し立てるため水戸への助力を求めてきたのだ。
弁護士業界に潜む苦々しい実態に、水戸は怒りを隠せない。さらにその丘野弁護士が平手教授殺害の容疑で逮捕されてしまう!
ふたりの女性の間に何があったのか? 気鋭の若き弁護士が法曹界の腐敗に切り込む、熱きリーガルサスペンス!
『法廷弁論』を文庫化に際し、改題。

瓦礫の死角
講談社文庫
父親の性犯罪によって瓦解した家族。その出所が迫り復讐を恐れる母。消息不明の姉。17歳・無職の貫多は……。傑作「私小説」4篇。
性犯罪による父親の逮捕を機に瓦解した家族。出所後の復讐に怯える母親。家出し、消息不明の姉。罪なき罰を背負わされた北町貫多は17歳、無職。犯罪加害者家族が一度解体し、瓦礫の中から再出発を始めていたとき、入所から7年の歳月を経てその罪の張本人である父親が刑期を終えようとしていた。──表題作と“不”連作の私小説「病院裏に埋める」、〈芝公園六角堂跡シリーズ〉の一篇「四冊目の『根津権現裏』」、“変化球的私小説”である「崩折れるにはまだ早い」の全四篇を収録。

謀聖 尼子経久伝 風雲の章
講談社文庫
月山富田城を奪取した経久は、いよいよ出雲統一の戦いに乗り出した。そこで繰り広げられたのは戦史に残る激闘の数々。こうして、類まれなる計略家・尼子経久の名は、山陰のみならず日本中に響き渡ることとなった!
戦国初期に活躍した山陰の雄、尼子経久。「謀聖」と言われるほど計略に優れた人物でありながら、「天性無欲正直の人」と評された得体のしれない個性。そして、東の北条早雲とともに、下剋上大名の代名詞的存在である経久が、旧秩序の破壊を志した本当の狙いとは?
「妖草師」シリーズの武内涼が描く、大河歴史小説シリーズ、躍動の第二巻!

決戦!賤ヶ岳
講談社文庫
ますます進化を続ける「決戦!」シリーズ。今回の舞台は豊臣秀吉の天下を決定づけた、もう一つの天下分け目である「賤ヶ岳の戦い」。そして、描かれるのは「賤ヶ岳の七本槍」として名高い、加藤清正、福島正則、片桐且元ら七人の武将。新進気鋭の若手歴史小説家たちが、若武者たちの戦いと、その後の人生を活写する!

湘南夫人
講談社文庫
湘南を舞台に巨大企業グループを擁する一族の栄枯の美を描いた石原文学の真骨頂。急逝した三代目の残された夫人は複雑な関係の中で。
湘南の地に広大な邸宅を構え、巨大企業グループを擁する北原家。手掛ける事業は鉄道から機械、観光開発にまで及ぶ。その三代目社長・勝彦が急逝し、残された妻の紀子は亡夫の異母兄弟・志郎と結ばれることでその血脈を繋いでいた。だが、縁戚で音楽評論家の野口による音楽事業の提案や、その甥・明からのレジャーの誘いなどによって、複雑に入り組んだ一族同士の関係に微妙な変化が起こりつつあった。その美貌で男たちの心を捉え、また並外れたピアノの才にも恵まれた紀子。彼女の人生にこれから待ち受けているものとは……。

動乱の刑事
講談社文庫
一九五二年、サンフランシスコ講和条約発効直前。東京都内の駐在所が爆破された。死者は二名。ひとりは駐在巡査、もうひとりの身元は不明。
刑事の高峰は、共産党過激派の関与を睨むが、秘密主義の公安から情報が流れず、捜査は難航する。高峰は、親友で公安に所属する海老沢に協力を仰ぎ、共同戦線を張って真相に近づこうとする。
だが、あくまで個人への犯罪として捜査する「捜査一課」に対し、事件を利用し過激派の瓦解を目論む「公安一課」という相反する立場が、ふたりの関係に影を落とす。
時代の乱れが、警察という「組織」の矛盾を生み出していく。
戦後警察の光と闇を炙り出す一大叙事詩、待望の第二幕!

神楽坂つきみ茶屋4 頂上決戦の七夕料理
講談社文庫
笑顔と「美味しい」があふれる場所を守るため――
この勝負、ぜってぇ負けねぇ!
170年前から続く因縁に終止符!? 運命のグルメバトルの幕が上がる!
美味くて泣ける傑作「グルメ×ファンタジー」第4弾!
平穏だったつきみ茶屋にまたもや波乱!? 近所に創作江戸料理を出す「お江戸屋」が開店、なんと献立が盗用されていた! かつて玄を毒殺した武士の魂を身に宿す黒内武弘の暗躍を前に、心穏やかでない剣士たち。そんな中、つきみ茶屋とお江戸屋が料理対決番組に出演することに。時空を超えた因縁の勝負が始まる!

湯けむり食事処 ヒソップ亭
講談社文庫
老舗温泉旅館「猫柳苑」の食事処「ヒソップ亭」。勤め先を理不尽な理由で首になった腕のいい料理人・章は、幼なじみ夫婦のはからいで店の主となる。丹精込めた料理と旨い酒が、悩んだり傷ついたりしている人の癒やしになれば――。疲れて頑なになった心を柔らかくする、おいしくてあったかい新シリーズ!
疲れたら ちょっと寄りたい店がある
心づくしの料理と酒で、いらした方を癒やします。
『居酒屋ぼったくり』の著者の人気新シリーズ、待望の文庫化!

料理沖縄物語
講談社文庫
冬至の日のじゅうしぃ(雑炊)、正月に欠かせないなっと味噌、三月三日の女たちの祭りの重箱、折り目の日に食べるそうきのお汁、お墓の前の宴会・清明祭、祝いの席を彩るあんだぎい、一汁・白飯で肉親の野辺送り・・・戦前の沖縄・首里に生まれた著者が語る、記憶のなかの沖縄の味覚と、それを培った沖縄の心。

高架線
講談社文庫
新刊『長い一日』が各紙誌で大評判。
若手随一の小説の名手、芥川賞作家の滝口悠生、初の長編小説。
思い出すことで、見出され、つながっていくもの。注目の芥川賞作家、初めての長篇小説。
風呂トイレつき、駅から徒歩5分で家賃3万円。古アパート「かたばみ荘」では、出るときに次の入居者を自分で探してくることになっていた。部屋を引き継いだ住人がある日失踪して……。
人々の記憶と語りで綴られていく16年間の物語。

東京棄民
講談社文庫
これは、日本の未来に対する警告である。
感染者、重症者、死者、最多更新。最凶の新型コロナウイルス・東京株が蔓延した未来。政府は東京を見捨てる決意をした!
令和4年。新型コロナは再び変異を起こし、東京固有の株が猛威を振るっていた。大量の感染者。死者。なすすべがなくなった政府はいよいよ、「東京逆ロックダウン」、すなわち感染者を残し、東京都民を全国に分配し、東京をロックダウンすることを決意する。しかしろくな学歴もなく、正社員の立場も失い、漫画喫茶に寝泊まりしている主人公のイサムは政府の避難指示を受け取ることができず、東京に取り残されることになってしまった。
山本周五郎賞候補、大藪春彦賞受賞、業界最注目作家、初の文庫書下ろし。

鬼統べる国、大和出雲 古事記異聞
講談社文庫
橘樹雅(たちばなみやび)は研究テーマ「出雲」を調査するうちに、
国を追われて京都に連行されていた出雲族の存在を知る。
在野の研究者・金澤千鶴子(かなざわちづこ)に、
大神(おおみわ)神社の主祭神・大物主(おおものぬし)神が
素戔嗚(すさのお)尊同様「出雲」の神だと聞いた雅は、
奈良に出雲族の痕跡を探し求める。
二人を監視する何者かの不穏な動き。
大和に存在した出雲村と野見宿禰(のみのすくね)伝説が、雅を真相へ導く。
神話に秘匿された出雲王朝の真の姿が蘇る。
出雲編完結!

Cocoon 京都・不死篇-蠢-
講談社文庫
最強の花魁が、帰ってきた! 京都で新たな闘いが始まる!
最強の鬼・平将門を倒し、江戸を破滅から救った瑠璃。しかしその代償は生半可なものではなく、義兄を失い、友の炎を失い、自らも片腕を失った。江戸を離れ、京都にたどり着いた瑠璃は最愛の人を想わせる男性に出会う。つかの間の平穏を得たかに思えたが、京都では陰陽道を使う、不気味な集団が動き出そうとしていた。

独裁者のラブレター
講談社文庫
新興マルギダ国の独裁者アント・カーネの来日を絶好のチャンスとして、カーネ暗殺を計るマルギダの革命派。一方、日本の商社・富士物産と大協実業は、マルギダ進出を狙って激しいしのぎをけずっている。大協実業の秘密社員・島田は、会社のためばかりでなく、彼自身の意地と、マルギダ革命派の美しい女グローズへの恋を賭けて、どこまでもカーネ暗殺を追求しつづける。革命家の暗躍、企業間の葛藤、政治、死、恋。『私は貝になりたい』の筆者が、もっとも今日的な主題を乾いた男性的筆致で描く、スリルあふれる長編サスペンス小説。

金田一少年の事件簿 小説版 雷祭殺人事件
講談社文庫
金田一少年をなにわ男子の道枝駿佑が演じてドラマ化した人気コミックシリーズの小説を講談社文庫版で堪能できる。
高校の元クラスメイトが住む雲場村(くもばむら)を訪れた
金田一一(きんだいち・はじめ)と美雪(みゆき)。
その村では雷を崇める夏祭りが催されるという。
雷鳴の轟音が祭りの始まりを告げたのち、友人の屋敷で
”空蝉”(うつせみ)――蝉の抜け殻に覆われた死体が発見される。
この空蝉は、雷に捧げられた呪わしき供物なのか。
陽炎の中から現れた美少女の悲しき秘密とは--。
ハジメは事件現場から消えた足跡のからくりを見破れるのか。
表題作のほか短編「共犯者X」と「迷い込んできた悪魔(デモン)」の2編を収録。