講談社文庫作品一覧

異動辞令は音楽隊!
講談社文庫
三十年間犯罪捜査ひと筋、「足を使え」が口癖のゴリゴリ昭和気質の刑事・成瀬司は、世が令和になってもかまわず「刑事の勘」を頼りに法律スレスレの捜査を行い、コンプライアンスを無視した行動を続けた結果、パワハラの告発を受け捜査の最前線から、これまで存在すら知らなかった広報課警察音楽隊への異動を命ぜられる。
社会のため組織のため家族のためと一心不乱に働いてきたのに、気づけば組織からは時代遅れとはみ出してしまい、家族はバラバラ。異動先にも当然なじめず、人間関係にも、音楽隊の演奏にも、不協和音が鳴り響いてーー。
ロングヒットを記録した映画「ミッドナイトスワン」の内田英治監督が、ミドルエイジの葛藤、生き様、そして音楽が繋ぐ絆を描く爽快なエンターテインメント!〈文庫書下ろし〉
刑事(デカ)→ドラム奏者!?

本格王2022
講談社文庫
一編15分、世界がぐるりと裏返る。
本格ミステリ作家クラブが選んだ2022年の本格ミステリ短編の最高峰!
☆☆☆
目次
序 本格ミステリ作家クラブ会長 東川篤哉
道尾秀介「眠らない刑事と犬」
大山誠一郎「カラマーゾフの毒」
芦沢央「アイランドキッチン」
方丈貴恵「影を喰うもの」
浅倉秋成「糸の人を探して」
森川智喜「フーダニット・リセプション」
解説 廣澤吉泰
☆☆☆

真理のひびき 天風哲人 新箴言註釈
講談社文庫
人生はただ一回限りである。ならば何としても生き甲斐のある人生を送らなければならない。「健康や運命が意のままにならないときほど『心』を積極的にする」「自己の言行をできる限り人の世のためになることに重点を置く」「不平不満を口にしない」「気取ったり、ぶったりしない」「どんな場合にも慌てない」「不幸に直面しても、現在生きていられることに感謝する」「腹を立てている人には決して過度の共鳴をしない」「自己自身を正しく向上させるために反省を行う」など──、価値ある人生建設に必要とされる心得を集録した、天風哲人絶筆本。

将軍の宴 公家武者信平ことはじめ(九)
講談社文庫
舞うは義のため
斬るは人世のため
累計140万部突破!
これぞ江戸活劇!
実在した公家武者を描く大人の時代小説
―――
四代将軍家綱の御台所顕子女王暗殺の謀あり。
将軍の宴を汚すは天下の一大事。
信平は情報源の公家・千田有能に協力を求めるが、
どうやら元公家の信平に二心があるらしく……。
宴に沸く庭園、進む武舞と迫る危機に信平の秘剣が瞬く(将軍の宴)。
実在した公家武者の爽快無比な立身譚、始まりの物語第九弾!

りぽぐら!
講談社文庫
超絶技巧!!!
「30音で小説は書けるのか!?」
活字を愛するすべての人に捧ぐ、言葉遊びの真骨頂!!
文庫書下ろしリポグラムも収録!
特定の語や特定の文字を使わないという制約のもとに書かれた小説=リポグラム。
何文字あれば小説は書けるの!?
「妹は人殺し」「ギャンブル『札束崩し』」「倫理社会」の3編を、
それぞれ異なる文字制限に従い、4パターン執筆。
言葉遊びの奇才が放つ、超絶技巧の小説集!
文庫書下ろし掌編「地球にスペースはない」収録。

檸檬の棘
講談社文庫
絶縁して10年――。
私はまだ、父に囚われ続けている。
歌手にして作家、唯一無二の才能がはなつ渾身の私小説。
こんなふうに鮮やかに世界を描写する言葉があったのかと、ページを繰るたびに衝撃を受けました。
澄み切った劇薬のような、忘れ難い物語です。――小島慶子(エッセイスト)
挨拶もなく消えた父。「特別な子供」になりたかった十四歳の栞は、父への怒りを拠り所に青春期を過ごす。十年後、父がもう長くないとの連絡が入る。あれだけ囚われ、憎しみ続けた存在が死ぬ――。空虚な現実を前に、栞の胸に去来するものは。鋭利な筆致で心を抉る、歌手にして小説家の異才が放つ魂の私小説。

異邦の使者 南天の神々
講談社文庫
天下三百二十年、四国は安寧の時代を迎えていた。
徐国に立ち寄った飛牙は、南異境のマニ帝国からきたクワール族の少年に助けを乞われる。
宮殿で皇太子毒殺未遂事件が起こり、妃のダーシャに嫌疑がかけられているという。
飛牙は、少年時代にクワール族に助けられた恩に報いるため、裏雲と共に南異境へ旅立つ。
『天空の翼 地上の星』に書かれなかった、飛牙が少年王からすれっからしになりながら生き延びた日々を描く外伝。

沃野の刑事
講談社文庫
富む日本、惑う警察。
この国は、守る価値があるのか――。
1970年。大阪万博を控え、高度経済成長で沸き立つ日本。捜査一課と公安一課を対立させたある事件以降、袂を分かった刑事の高峰と公安の海老沢は、それぞれ理事官に出世し、国と市民を守ってきた。だが、かつてふたりの親友だった週刊誌編集長の息子の自殺をきっかけに、再び互いの線が交わっていく。単なる自殺と思われたが、独自に調べを進めるうち、日本全土を揺るがすスキャンダルの存在が、徐々に明るみに出る。尊重すべきは国家なのか、それとも名もなき個人なのか。「警察の正義」を巡り、苦悩してきた高峰と海老沢の答えは――。
戦後警察の光と闇を炙り出す一大叙事詩、待望の第三幕!

魔偶の如き齎すもの
講談社文庫
所有する者に福と禍(わざわい)を齎すという”魔偶”。その、奇妙な文様が刻まれた土偶を確かめに、刀城言耶は旧家・宝亀家を訪れる。すでに集まっていた客たちは、話し込む当主と言耶をよそに次々と魔偶を収めた”卍堂”に向かうが……。表題作他、文庫初収録「椅人の如き座るもの」を含む全五編を収録したシリーズ第三短編集。
魔偶が齎すのは、福か、禍か。
妖服、巫死、獣家、椅人、
若き刀城言耶が対峙する謎の数々。
文庫初収録作を加えた
人気シリーズ第三短編集”決定版”、
待望の文庫化!

旧友再会
講談社文庫
どしゃぶりのあとには
虹だって出るさ。
人生は、ままならないことばかり。
優しさとほろ苦さが沁みる「中年共感小説」。
難問だらけの家庭と仕事に、葛藤、奮闘、四苦八苦しているうちに、気がつけば「老い」のとば口に差しかかった男たち。
その戸惑いと寂しさを分かち合えるのが旧友なのか、旧友だからこそ、すれ違ってしまうのか……。
「もう若くはないんだから」が口癖になった人と、なりつつある人にエールを贈る5篇を収録。

三姉妹、恋と罪の峡谷 三姉妹探偵団26
講談社文庫
三姉妹の綾子、夕里子、珠美が訪れたレストランを、国友刑事がまさかの張り込み中! 彼が追っていたのは社長殺害事件。しかし犯人の無実を信じる被害者の娘が、三姉妹に真相解明を依頼。ところが、会社の勢力争いに巻き込まれるわ、夕里子に恋のライバルが現れるわ……。三姉妹は今日も大忙し!

晴れ、時々くらげを呼ぶ
講談社文庫
彼女と出会った。僕の日常は変わった。
純度100%! 小説現代長編新人賞受賞作。
売れない作家だった父が病死してから、越前亨は日々をぼんやり生きてきた。亨は、最後まで家族に迷惑をかけながら死んだ父親のある言葉に、ずっと囚われている。
図書委員になった彼は、後輩の小崎優子と出会う。彼女は毎日、屋上でくらげ乞いをしている。雨乞いのように両手を広げて空を仰いで、「くらげよ、降ってこい!」と叫んでいるのだ。いわゆる、不思議ちゃんである。
くらげを呼ぶために奮闘する彼女を冷めた目で見ていた亨だったが、いつしか自分が彼女に興味を抱いていることに気づく。
自分の力ではどうにもできないことで溢れている世界への反抗。本への愛。父への本当の想いと、仲間たちへの友情。青春のきらきらがすべて詰まった一作。

侠骨記 〈新装版〉
講談社文庫
侠骨――それは、
真の勇気。
古代中国を彩る英雄たちを鮮やかに描く傑作短編集
初めて宮城谷文学を読むなら、この一冊!
春秋時代、大国魯は文化国家としては中華で第一級ながら、軍事は二流。
それゆえ、隣国斉に存続を脅かされていた。
苦悩する君主・同の前に現れた里人・曹カイは、
魯を勝利させるとの言葉を現実にする。
曹カイの指揮で連勝続きの魯軍であったが、斉の反撃が始まり――(表題作)。
著者の初期を代表する、清新な短編集。

密告の件、Mへ
講談社文庫
法科大学院の教授、平手理沙子が都内の運河で水死体となって発見される。平手教授の遺品に
「密告の件、水戸Lへ」と書かれたメモが見つかり、弁護士の水戸裕介に警視庁の刑事が事情を訊きにくる。
水戸は「密告の件」について、心当たりがなかった。
才色兼備で世間から注目を浴びている弁護士の丘野ヒロ子が、水戸がパートナーを務める法律事務所を訪れる。
丘野が扱う交通訴訟の依頼人が弁護士会に懲戒請求し、弁護士会から「業務停止六ヵ月」の処分を宣告されたという。
処分に納得がいかない丘野は、日弁連に異議を申し立てるため水戸への助力を求めてきたのだ。
弁護士業界に潜む苦々しい実態に、水戸は怒りを隠せない。さらにその丘野弁護士が平手教授殺害の容疑で逮捕されてしまう!
ふたりの女性の間に何があったのか? 気鋭の若き弁護士が法曹界の腐敗に切り込む、熱きリーガルサスペンス!
『法廷弁論』を文庫化に際し、改題。

瓦礫の死角
講談社文庫
父親の性犯罪によって瓦解した家族。その出所が迫り復讐を恐れる母。消息不明の姉。17歳・無職の貫多は……。傑作「私小説」4篇。
性犯罪による父親の逮捕を機に瓦解した家族。出所後の復讐に怯える母親。家出し、消息不明の姉。罪なき罰を背負わされた北町貫多は17歳、無職。犯罪加害者家族が一度解体し、瓦礫の中から再出発を始めていたとき、入所から7年の歳月を経てその罪の張本人である父親が刑期を終えようとしていた。──表題作と“不”連作の私小説「病院裏に埋める」、〈芝公園六角堂跡シリーズ〉の一篇「四冊目の『根津権現裏』」、“変化球的私小説”である「崩折れるにはまだ早い」の全四篇を収録。

謀聖 尼子経久伝 風雲の章
講談社文庫
月山富田城を奪取した経久は、いよいよ出雲統一の戦いに乗り出した。そこで繰り広げられたのは戦史に残る激闘の数々。こうして、類まれなる計略家・尼子経久の名は、山陰のみならず日本中に響き渡ることとなった!
戦国初期に活躍した山陰の雄、尼子経久。「謀聖」と言われるほど計略に優れた人物でありながら、「天性無欲正直の人」と評された得体のしれない個性。そして、東の北条早雲とともに、下剋上大名の代名詞的存在である経久が、旧秩序の破壊を志した本当の狙いとは?
「妖草師」シリーズの武内涼が描く、大河歴史小説シリーズ、躍動の第二巻!

決戦!賤ヶ岳
講談社文庫
ますます進化を続ける「決戦!」シリーズ。今回の舞台は豊臣秀吉の天下を決定づけた、もう一つの天下分け目である「賤ヶ岳の戦い」。そして、描かれるのは「賤ヶ岳の七本槍」として名高い、加藤清正、福島正則、片桐且元ら七人の武将。新進気鋭の若手歴史小説家たちが、若武者たちの戦いと、その後の人生を活写する!

湘南夫人
講談社文庫
湘南を舞台に巨大企業グループを擁する一族の栄枯の美を描いた石原文学の真骨頂。急逝した三代目の残された夫人は複雑な関係の中で。
湘南の地に広大な邸宅を構え、巨大企業グループを擁する北原家。手掛ける事業は鉄道から機械、観光開発にまで及ぶ。その三代目社長・勝彦が急逝し、残された妻の紀子は亡夫の異母兄弟・志郎と結ばれることでその血脈を繋いでいた。だが、縁戚で音楽評論家の野口による音楽事業の提案や、その甥・明からのレジャーの誘いなどによって、複雑に入り組んだ一族同士の関係に微妙な変化が起こりつつあった。その美貌で男たちの心を捉え、また並外れたピアノの才にも恵まれた紀子。彼女の人生にこれから待ち受けているものとは……。

動乱の刑事
講談社文庫
一九五二年、サンフランシスコ講和条約発効直前。東京都内の駐在所が爆破された。死者は二名。ひとりは駐在巡査、もうひとりの身元は不明。
刑事の高峰は、共産党過激派の関与を睨むが、秘密主義の公安から情報が流れず、捜査は難航する。高峰は、親友で公安に所属する海老沢に協力を仰ぎ、共同戦線を張って真相に近づこうとする。
だが、あくまで個人への犯罪として捜査する「捜査一課」に対し、事件を利用し過激派の瓦解を目論む「公安一課」という相反する立場が、ふたりの関係に影を落とす。
時代の乱れが、警察という「組織」の矛盾を生み出していく。
戦後警察の光と闇を炙り出す一大叙事詩、待望の第二幕!

神楽坂つきみ茶屋4 頂上決戦の七夕料理
講談社文庫
笑顔と「美味しい」があふれる場所を守るため――
この勝負、ぜってぇ負けねぇ!
170年前から続く因縁に終止符!? 運命のグルメバトルの幕が上がる!
美味くて泣ける傑作「グルメ×ファンタジー」第4弾!
平穏だったつきみ茶屋にまたもや波乱!? 近所に創作江戸料理を出す「お江戸屋」が開店、なんと献立が盗用されていた! かつて玄を毒殺した武士の魂を身に宿す黒内武弘の暗躍を前に、心穏やかでない剣士たち。そんな中、つきみ茶屋とお江戸屋が料理対決番組に出演することに。時空を超えた因縁の勝負が始まる!