
マイページに作品情報をお届け!
日本霊異記(中) 全訳注
ニホンリョウイキ
- その他: 中田 祝夫

日本霊異記(上・中・下)3巻は、日本最古の仏教説話集で、奈良末期に成った。全篇約120話が年代順に配列されており、この中巻の説話は、聖武天皇ごろの42話。第1話は長屋親王(ながやのおおきみ)(天武天皇の皇孫、太政大臣)の冤罪、服毒自殺事件だが、卑賤の僧を傷つけた罪の報いと説く。第3話では、九州に遺された武蔵国多摩郡(むさしのくにたまのごおり)の防人が、若妻を愛する余り、母親を殺害しようとして地獄に落ちる。この種の腥(なまぐさい)い強烈な因果応報談が多い。
オンライン書店で購入する
目次
序
1.聖武天皇の仏教尊信
2.著者景戒と仏教説話
第1 己が高徳を恃み、賤形の沙弥を刑ちて、以て現に悪死を得し縁
第2 烏の邪淫を見て世を厭ひ、善を修せし縁
第3 悪逆の子の、妻を愛みて母を殺さむと謀り、現報に悪死を被りし縁
第4 力ある女の、力くらべを試みし縁
第5 漢神(からたみ)の祟りに依り牛を殺して祭り、又放生の善を修して、以て現に善悪の報を得し縁
1.富者、漢神の祟りにあふ
2.富者、閻羅(えんら)王の王宮に往還す
3.那天堂縁起
第6 誠心を至して法華経を写し奉り、験有りて異しき事を示しし縁
第7 智者の変化の聖人を誹り妬みて、現に閻羅の闕(みかど)に至り、地獄の苦を受けし縁
1.僧智光、行基菩薩を憎む
2.僧智光、地獄の責苦にあふ
3.僧智光、行基菩薩に前非を悔いる
第8 蟹と蝦(かえる)との命を贖(あか)ひて放生し、現報を得し縁
第9 己に寺を作りて、其の寺の物を用ゐ、牛と作りて役はれし縁
第10 常に鳥の卵(かひご)を煮て食ひ、以て現に悪死の報を得し縁
第11 僧を罵むと邪婬するとにより、悪病を得て死にし縁
第12 蟹と蝦との命を贖ひて放生し、現報に蟹に助けらえし縁
第13 愛欲を生じて吉祥天女の像に恋ひ、感応して奇しき表を示しし縁
第14 窮れる女王の吉祥天女の像に帰敬して、現報を得し縁
第15 法華経を写し奉りて供養することに因り、母の女牛と作りし因を顕しし縁
第16 布施せぬと放生するとに依りて、現に善悪の報を得し縁
1.富者、貧しき老爺・老婆を恵む
2.富者、冥界より還る
第17 観音の銅像と鷺の形と、奇しき表を示しし縁
第18 法花経を読む僧を呰りて、現に口ゆがみて、悪死の法を得し縁
第19 心経を憶持せし女の現に閻羅王の闕に至り、奇して表を示しし縁
第20 悪夢に依りて、誠の心を至して経を誦ぜしめ、奇しき表を示して、命を全くすること得し縁
第21 摂の神王のこむらの光を放ち、奇しき表を示して現報を得し縁
第22 仏の銅像の盗人に捕られて、霊しき表を示
書誌情報
紙版
発売日
1979年04月06日
ISBN
9784061583368
判型
A6
価格
定価:1,353円(本体1,230円)
通巻番号
336
ページ数
279ページ
シリーズ
講談社学術文庫
著者紹介
その他: 中田 祝夫(ナカタ ノリオ)