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日本霊異記(下) 全訳注
ニホンリョウイキ
- その他: 中田 祝夫

日本霊異記(下)は、中巻の時代の後を受け、奈良時代末期稱徳天皇(764)から平安時代初頭嵯峨天皇(822)にわたる説話を載せる。全39話。凄惨激烈な血族間の政権争奪と権力闘争―その結果として、平城京から長岡京遷都、さらに平安京への再遷―の難世相が説話の隙ににじみ出ている。編者景戒という一人格の、艱難に苦吟した人生の告白が、烈々の句となり、深沈たる文章となって読者を魅きつけるのも(第38話)巻下の特色といえる。
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目次
序
1.因果応報の理(ことわい)
2.霊異記著作の目的
第1 法華経を憶持せし者の舌、曝(さ)りたる髑髏(ひとかしら)の中に著きて朽ちずありし縁
第2 生物の命を殺して怨(あた)を結び、狐と狗(いぬ)とに作りて互に相報いし縁
第3 沙門の十一観世音の像に憑り願ひて、現報を得し縁
第4 沙門の方広大乗を誦持して海に沈みて溺れざりし縁第5 妙見菩薩の変化して異形を示し、盗人を顕しし縁
第6 禅師の食はむとする魚の化して法華経と作りて、俗の誹りを覆し縁
第7 観音の木像の助を被りて、王難を脱れし縁
第8 弥勒菩薩の願ふ所に応じて奇形を示したたまひし縁
第9 閻羅王の奇しき表を示し、人に勧めて善を修せしめし縁
1.藤原広足、冥界に往還す。
2.広足、死せる妻に会ふ
第10 如法に写し奉りし法華経の火に焼けざりし縁
第11二つ目盲ひたる女人の、薬師仏の木像に帰敬して、以て現に眼を明くこと得し縁
第12 二つ目盲ひたる男の、敬みて千手観音の日摩尼手を称へて、以て現に眼を明くこと得し縁
第13 法華経を写さむとして願を建てし人の、断えて暗き穴に内り、願力に頼りて、命を全くすること得し縁
第14 千手の咒を憶持する者を拍ちて、以て現に悪死の報を得し縁
第15 沙弥の乞食するを撃ちて、以て現に悪死の報を得し縁
第16 女人、濫(みだりがは)しく嫁ぎて、子を乳に飢ゑしめしが故に、現報を得し縁
第17 未だ作り畢へぬ捻せふの像の呻ふ音を生じて、奇しき表を示しし縁
第18 法華経を写し奉る経師の、邪婬を為して、以て現に悪死の報を得し縁
第19 産み生せる肉団(ししむら)の作れる女子の善を修し人を化せし縁
第20 法華経を写し奉る女人の過失を誹りて、以て現に口ゆがみし縁
第21 沙門の、一つの目眼盲ひ、金剛般若経を読ましめて、眼を明くこと得し縁
第22 重き斤もて人の物を取り、又法花華経を写して、以て現に善悪の報を得し縁
1.他田舎人蝦夷(をさだのとねりえびす)、冥界に至る
2.蝦夷、法華経を写せる功徳により冥界より生還す
第23 寺の物を用
書誌情報
紙版
発売日
1980年04月07日
ISBN
9784061583375
判型
A6
価格
定価:1,298円(本体1,180円)
通巻番号
337
ページ数
320ページ
シリーズ
講談社学術文庫
著者紹介
その他: 中田 祝夫(ナカタ ノリオ)