
マイページに作品情報をお届け!
孟嘗君(1)
モウショウクン
- 著: 宮城谷 昌光

1本の槐(えんじゅ)の樹からすべては始まり、函谷関(かんこくかん)に至る!青年風洪の光と夢に祝された華麗なる物語世界。
青欄はこの月のはじめに男子を産んだ。そのとき田嬰は不在であり、10日ほどして帰ってくると、わが子の誕生を大いに喜び、青欄をねぎらい、この男子に文という名をあたえた。ところが数日後に、荒々しい足どりで青欄の部屋をおとずれた田嬰は、恐ろしい形相で、「何日に生まれた」と、念をおすように問うた。青欄はおびえがちに、「5日でございます」と、こたえた。「5月5日の子か。やはりな」田嬰は吐きすてるようにいうと、自分の子をひとにらみして、青欄のほうへ目をもどし、「殺せ」と、低い声でいった。──本文から
オンライン書店で購入する
書誌情報
紙版
発売日
1995年09月20日
ISBN
9784062066525
判型
四六
価格
定価:1,708円(本体1,553円)
ページ数
314ページ
初出
『東京新聞』1993年3月から連載された