ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち

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ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち

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戦後の約20年間、台湾において旧大日本帝国軍人による大規模かつ組織的な軍事支援がおこなわれていた。蒋介石の軍事顧問となった彼らは指導者・富田直亮の中国名「白鴻亮」にちなんで「白団」と呼ばれた。敗戦国の軍人が戦勝国を指導するという史上例を見ない事態はなぜ生じたのか? 足かけ七年の歳月を費やしてアメリカ、台湾、日本に散在する未公開資料を渉猟、関係者への取材から蒋介石と白団の等身大の姿が浮かび上がる。


 戦後の約20年間、台湾において旧大日本帝国軍人による大規模かつ組織的な軍事支援がおこなわれていました。密航して台湾に渡り、蒋介石の軍事顧問となった彼らは「白団」と呼ばれました。その名はリーダーを務めた元陸軍少将・富田直亮が「白鴻亮」という中国名を名乗っていたことに由来します。
 しかし、よく考えてみれば旧敵たる蒋介石を、どうして日本人たちがさまざまな危険を冒して海を渡って助けなければならなかったのでしょうか? 逆に、どうして日本の旧軍人たちに助けを乞いたいと蒋介石は考え、実行に移したのでしょうか? 蒋介石のいわゆる「以徳報怨」演説と敗戦国日本への寛大な政策への恩義、反共というイデオロギーでの一致、日本人の勤勉さへの蒋介石の畏敬の念……。さまざまな要素が絡まりあって史上例を見ない不思議な軍事顧問団が形成されていったのです。ただ、そこには当然、それぞれの思惑、建前と本音が存在しました。本書は足かけ七年を費やしてアメリカ、台湾、日本に散在する未公開資料を渉猟し、関係者を取材した記録です。蒋介石という政治家の実像と白団の等身大の姿が、いまはじめて浮かび上がってきます。


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目次

プロローグ 病床の元陸軍参謀
第1章    蒋介石とは何者か
第2章    岡村寧次はなぜ無罪だったのか
第3章    白団の黒子たち
第4章    富田直亮と根本博
第5章    彼らの成しとげたこと
第6章    戸梶金次郎が見た白団
第7章    秘密の軍事資料
第8章    白団とはなんだったのか
エピローグ 温泉路一一四号

書誌情報

紙版

発売日

2014年04月22日

ISBN

9784062178013

判型

四六

価格

定価:2,750円(本体2,500円)

ページ数

370ページ

著者紹介

著: 野嶋 剛(ノジマ ツヨシ)

1968年生まれ。上智大学文学部新聞学科卒業。大学在学中に香港中文大学や師範大学(台湾)に留学。1992年、朝日新聞社入社。佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、2001年シンガポール支局長。その後、イラク戦争の従軍取材を経験。2007年から2010年まで台北支局長を務める。現在、国際編集部次長。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人』(東洋経済新報社)などがある。

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