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安倍首相の「歴史観」を問う
アベシュショウノレキシカンヲトウ
- 著: 保阪 正康
昭和20年8月14日の日本を上空から偵察した米軍は驚いたという。降伏が決定し、爆撃を控えたにもかかわらず、日本各地で炎が舞い上がっている。その理由は後から知ることになるが、軍部の命令により戦争史料が徹底的に焼却されていたのである。もちろん、敗戦後に問われる戦争指導の責任追及をかわすためである。
昭和史の実証的研究のため、残された史料を発掘し、延べ4000人の人々から直接聞き書きを行ってきた筆者にとり、近年目につく事実を歪曲・曲解し、自分たちの立場に都合の良いように歴史解釈を図る、いわゆる歴史修正主義の動きはゆゆしき事態である。これまで重ねられてきた歴史学者・研究者の成果と誇りを傷つける動きと言ってもいい。
そのなかで特に危惧しなければならないのが、歴史修正主義者たちが権力と一体化している風潮である。8月に発表される安倍首相の「談話」には、歴史研究から得られた教訓が活かされるのか。世界的に注目を集めるそのステイトメントを前に、昭和史研究の第一人者があえて首相の立ち位置に異を唱える。
また、従軍慰安婦問題で指弾された朝日新聞の、第三者委員会のメンバーとして同問題の報道を目の当たりにしてきた筆者が、報告書には盛り込めなかった慰安婦問題の本質を書き下ろす。「軍隊と性」「戦場と性」の問題にも深く言及する。
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目次
軍服を着た首相―まえがきに代えて
第1章 謙虚に史実と向き合うということ――戦後七十年と安倍政権の歴史観
第2章 戦後民主主義の崩壊の中で――「戦時体制」にどう抗うべきか
第3章 昭和史のかたち――歴史の教訓から現在を解読する
第4章 慰安婦問題試論――「軍隊と性」をめぐる歴史的検証について
書誌情報
紙版
発売日
2015年07月29日
ISBN
9784062196086
判型
四六
価格
定価:1,760円(本体1,600円)
ページ数
274ページ
著者紹介
1939年、札幌市生まれ。同志社大学文学部社会学科卒業。ノンフィクション作家・評論家。「昭和史を語り継ぐ会」主宰。昭和史の実証的研究のために、これまでに延べ4000人の人々に聞き書き取材を行い、独自の執筆活動を続けている。2004年、個人誌『昭和史講座』刊行の功績で、第52回菊池寛賞受賞。 主な著書に、『東條英機と天皇の時代』(ちくま文庫)、『瀬島龍三―参謀の昭和史』(文春文庫)、『昭和史七つの謎』(講談社文庫)、『昭和陸軍の研究』(上下、朝日文庫)、『あの戦争は何だったのか』(新潮新書)などがある。自伝に『風来記 わが昭和史』(1、2 平凡社)、近刊は『昭和天皇実録 その表と裏1』(毎日新聞社)。
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