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中国経済「1100兆円破綻」の衝撃
チュウゴクケイザイイッセンヒャクチョウエンハタンノショウゲキ
- 著: 近藤 大介

「中国経済は、いったいどうなってしまうのか?」実はこうした質問に対する「回答」を、2015年の「国慶節」(10月1日の建国記念日)の直前に、中国政府自身が作っている。国務院(中央官庁)で財政分野と投資分野をそれぞれ統括する、財政部と国家発展改革委員会の官僚たちが、共同でまとめたとされる〈中国経済の近未来予測〉なるものの内容が漏れ伝わってきている。それは一言で言えば、悲観的な未来予測だった。
「中国経済は、いったいどうなってしまうのか?」
実はこうした質問に対する「回答」を、2015年の「国慶節」(10月1日の建国記念日)の直前に、中国政府自身が作っている。中国国務院(中央官庁)で財政分野と投資分野をそれぞれ統括する、財政部と国家発展改革委員会の官僚たちが、共同でまとめたとされる〈中国経済の近未来予測〉なるものの内容が漏れ伝わってきている。それは一言で言えば、悲観的な未来予測だった。
まず短期的には、生産過剰、(不動産や株式などの)資産価格バブルの崩壊、地方政府債務の増大という「三大要因」によって、中国経済がかなり深刻な状態に陥るだろうと予測している。
この危機的状況から脱却する最も望ましい方策は、中国経済を牽引する「三頭馬車」と言われる輸出、投資、消費のうち、消費を伸ばすことである。実際、2014年のGDPにおける消費が占める割合は、51・9%と過半数を超えた。だが経済の悪化に伴い、国民の消費は、今後頭打ちになると見込まれる。また輸出も、世界同時不況の様相を呈してきているため、急回復は望めない。そうなると中国経済は結局、政府主導の投資に頼らざるを得ない。
しかしながら、経済は下降傾向にあり、資産価格バブルは崩壊し、利率は高く、政府が全国に下達する各種通達は矛盾に満ちている。これらがすべて、投資を抑制する要素として働くため、投資を増大させることもまた、困難だとしている。実際、2015年上半期の固定資産投資は、前年同期比で11・4%増加しているものの、その前年の15・7%増に比べて増加の幅は後退している。その結果、中国経済はこの先、かなりのレベルまで下降していくだろうというのが、中国政府の見立てなのだ。
さらに、経済の悪化が雇用の悪化を招く。2015年7月には、中国全土で749万人もの大学生が卒業したため、いまでさえ雇用は大変厳しい状況だ。
そのため、2016年-2020年の「国民経済と社会発展の第13次5ヵ年計画」では、GDPの目標については言及しないだろうとする見方が、中国政府内部で広がっている。高い目標を掲げても、単なる絵に描いた餅になる可能性が高いからだ。
(本文 まえがき「中国政府が自ら予測する『最悪の近未来』」より一部省略)
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目次
まえがき
中国政府が自ら予測する「最悪の近未来」
第1章
中国株大暴落の全真相
「中国政府が胴元の賭博場」は限界だ
第2章
中国経済はもはやレッドゾーン
ウソだらけの統計数値と経済オンチの国家主席
第3章
人民元切り下げ騒動のゴタゴタ
IMF乗っ取り・AIIB設立に垣間見える中国の野望
第4章
権力闘争という経済損失
習近平と江沢民「仁義なき最終戦争」の行方
書誌情報
紙版
発売日
2015年10月21日
ISBN
9784062729185
判型
新書
価格
定価:836円(本体760円)
通巻番号
ページ数
216ページ
シリーズ
講談社+α新書
電子版
発売日
2015年11月06日
JDCN
0627291800100011000A
著者紹介
1965年生まれ、埼玉県出身。東京大学卒業後、「月刊現代」「週刊現代」「フライデー」などで記者・編集者を務める。2009年から2012年まで講談社(北京)文化有限公司副社長。現在、「週刊現代」編集次長、明治大学講師(東アジア論)。中国を中心とした東アジア問題の研究をライフワークとする。 著書には、『習近平は必ず金正恩を殺す』『日中「再」逆転』『対中戦略』(以上、講談社)、『深紅の華』(廣済堂出版)、『中国人の常識は世界の非常識』(ベスト新書)、『「中国模式」の衝撃』(平凡新書)などがある。現在ウェブメディア「現代ビジネス」で「北京のランダムウォーカー」連載中
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