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日本軍と日本兵 米軍報告書は語る
ニホングントニホンヘイベイグンホウコクショハカタル
- 著: 一ノ瀬 俊也

日本軍というと、空疎な精神論ばかりを振り回したり、兵士たちを「玉砕」させた組織というイメージがあります。しかし日本軍=玉砕というイメージにとらわれると、なぜ戦争があれだけ長引いたのかという問いへの答えはむしろ見えづらくなってしまうおそれがあります。本書は、戦争のもう一方の当事者である米軍が軍内部で出していた広報誌を用いて、彼らが日本軍、そして日本人をどうとらえていたかを探ります。(講談社現代新書)
私たちは、日本軍、とくに日本陸軍というと、空疎な精神論ばかりを振り回したり、兵士たちを「玉砕」させた組織というイメージがあります。しかし、実際には、「玉砕」ばかりしていたわけではありません。孤島で追い詰められた場合はともかく、ニューギニア、フィリピンなどの大きな島では、徹底抗戦、持久戦がとられましたし、沖縄でも、最後に出された指令は、組織的抵抗を最後まで継続せよ、というものでした。
もちろん、だからといって、日本軍が玉砕をしなかった、あるいは合理的な組織だったということではありません。ただ、日本軍=玉砕というイメージにとらわれると、なぜ戦争があれだけ長引いたのかという問いへの答えが見えづらくなってしまうのです。
日本軍、とくに日本陸軍の実像をどうとらえるべきなのか、本書は、戦争のもう一方の当事者である米軍が軍内部で出していた広報誌『Intelligence Bulletin(『情報広報』)を用いて、彼らが、日本軍、そして日本人をどうとらえていたかを探ります。
『情報広報』には、例えば、日本人はLとRの区別がつかないので、戦場で日本人か中国人か判別がつかない場合には、それらが入った文章を言わせることといったことが書かれています。また、日本兵個人の特徴として、規律は良好、準備された防御では死ぬまで戦う、とある一方で、予想していなかったことに直面するとパニックに陥る、自分で物を考えないといった分析がされています。
さらに、日本の兵士らがじつはさまざまな不平不満を抱えていて、投降させることもできた、といったことが書かれているのです。
本書は、気鋭の研究者が、米軍内部の資料をもとに、従来の日本軍イメージをとらえなおす一冊です。
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目次
第一章 「日本兵」とは何だろうか
第二章 日本兵の精神
第三章 戦争前半の日本軍に対する評価 ガダルカナル・ニューギニア・アッツ
第四章 戦争後半の日本軍に対する評価 レイテから本土決戦まで
書誌情報
紙版
発売日
2014年01月17日
ISBN
9784062882439
判型
新書
価格
定価:1,056円(本体960円)
通巻番号
2243
ページ数
272ページ
シリーズ
講談社現代新書
電子版
発売日
2014年02月28日
JDCN
0628824300100011000B
著者紹介
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