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元号通覧
ゲンゴウツウラン
- 著: 森 鴎外

令和元年5月1日刊行。
「明治」は10回も元号候補になっていた――。文豪森鴎外(1862-1922年)が、最晩年に宮内省図書頭森林太郎として執筆した本書をひもとけば、「大化」にはじまり「大正」までの240を超える元号が列挙され、その典拠から不採用になった候補に至るまで、日本の元号が一望できる。繰り返し挙がる人気候補は何か、どんな理由で改元されるのかなど、知的好奇心を存分に満たしてくれる一冊!(解説:猪瀬直樹)
「明治」は10回も元号候補になっていた――。「大化」にはじまり「大正」に至るまでおよそ1300年、240を超える元号をすべて網羅しています。『書経』や『文選』などの出典や改元の理由はもとより、候補に挙がった元号も出典とともに示した本書は、まさに日本の元号が一望できる、元号の辞典といえるものです。
世にも稀なこの一冊を執筆した人物こそ、文豪森鴎外(1862-1922年)でした。森鴎外、本名森林太郎は、陸軍軍医の最高位にあたる陸軍軍医総監、陸軍省医務局長を辞したのち、1917年に帝室博物館総長兼宮内省図書頭として再び官職につきました。歴代天皇の諡号(おくりな)の出典を考証した『帝謚考』(1921年)を刊行したあと、文字通り最後の命を燃やしながら取り組んだ仕事が本書(原題『元号考』、文庫化にあたって改題)です。実に病没する数日前まで手を入れ続けたものの未完に終わりますが、晩年に歴史小説さらに史伝に転じた鴎外の考証学的執念もうかがえます。
本書をひもとけば「明治」同様、「大正」も採用までに3回、候補になっていることがわかります。また15世紀に初めて候補になった「明治」に対し、江戸時代の元号「天明」や「天保」は古代から繰り返し提案されていることもうかがえます。人気の元号候補はなにか、それはどの典籍からの引用なのか。あるいは時代によって典拠の流行りすたりがあるのか。即位以外に大災害や飢饉、疫病などでも改元されますが、いつどんな理由で改元されたのか……。『天皇の影法師』(1983年)で本書に光を当てた猪瀬直樹氏による解説とあわせて、元号をめぐる知的好奇心を存分に満たしてくれる一冊です!
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目次
はじめに
大化―朱鳥(645-686年)
大宝―延暦(701-806年)
大同―昌泰(806-901年)
延喜―長保(901-1004年)
寛弘―康和(1004-1104年)
長治―正治(1104-1201年)
建仁―正安(1201-1302年)
乾元―応永(1302-1428年)
正長―明応(1428-1501年)
文亀―慶長(1501-1615年)
元和―元禄(1615-1704年)
宝永―寛政(1704-1801年)
享和―大正(1801-1926年)
後記
解説(猪瀬直樹)
書誌情報
紙版
発売日
2019年05月02日
ISBN
9784065157404
判型
A6
価格
定価:1,353円(本体1,230円)
通巻番号
2554
ページ数
336ページ
シリーズ
講談社学術文庫
電子版
発売日
2019年04月26日
JDCN
06A0000000000114124M
初出
本書は、1953年に岩波書店より刊行された、『鷗外全集』第一三巻に収録された『元号考』を改題して文庫化したものです。
著者紹介
1862-1922年。小説家、評論家、翻訳家。本名は森林太郎。陸軍軍医として最高位を極める一方で、旺盛な文筆活動を展開し、晩年は歴史小説、さらに史伝に転じた。1917年から没するまで帝室博物館総長兼宮内省図書頭を務め、歴代天皇の諡号(おくりな)の出典を考証した『帝謚考』(1921年)を刊行。主な著作に『舞姫』(1890年)、『高瀬舟』(1916年)など。
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